The Shadow of the Wind
出版:Orion (an Imprint of The Orion Publishing Group Ltd )
カテゴリ:カセット
JAN:9780752869223
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エディターレビュー
1945年、バルセロナ――終戦後、ひっそりと自らの傷を癒していた世界的大都市。少年ダニエルは11回目の誕生日に目覚め、自分がもう母親の顔を思い出せなくなっていることに気づく。古書売買人で男やもめのダニエルの父は、一人息子を慰めるため、彼を「忘れられた本の墓地」へ連れていく。そこはバルセロナの稀覯(きこう)本売買人組合が管理する図書館だった。そこには、すでに世の中から忘れ去られ、いつかまた誰かが興味を持ってくれるのを待っている本ばかりが置かれていた。父はダニエルを説きつけて、らせんの迷路のような書棚の列から1冊を選ばせる。それはダニエルにとって特別の意味を持つことになる1冊だった。ダニエルは自分が選んだジュリアン・カラクス作『風の影(The Shadow of the Wind)』に魅了され、この作者のほかの作品を探し始める。しかし、驚いたことに、それらはすべて、故意に処分されていた。事実、ダニエルが手にしている本が、この作者の残された最後の1冊であるようだった。ダニエルは無邪気な探究心から、バルセロナの暗い秘密――殺しと魔法と狂気と悲劇の愛に満ちた壮大な物語――に通じるドアを、自分でも気づかぬうちに押し開けている。やがて彼は気づく。自分がジュリアン・カラクスの真実を発見しなければ、自分も、自分の愛する人々も、とてつもない苦しみを味わうことになるのだと。
驚くべき小説に出あったときの例にもれず、『The Shadow of the Wind』を読むと、これに匹敵する小説があるだろうかと考えてしまう。『The Crimson Petal and the White』はどうだろうか? アルトゥーロ・ペレス・レベルテの小説は? あるいはヴィクトル・ユーゴーの小説は? 『Love in the Time of Cholera』はどうか?――だが結局、驚くべき小説の例にもれず、匹敵する小説などどこにもない。スペインの著名な書評家はこう語っている。「ルイス・ザフォンの作品は非の打ちどころがないほど独創的で、魔術的な才能すら感じさせる。『The Shadow of the Wind』は、スペイン文学界おける奇才の登場を告げる作品だ」。本書は神秘に満ちた歴史ミステリーであり、心を刺し貫くロマンスであり、本の持つ不思議な力への頌歌でもある。物語作家が創造しうる最高の芸術といえよう。

