デミアン (岩波文庫)
出版:岩波書店
カテゴリ:文庫
ページ:227頁
JAN:9784003243558
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エディターレビュー
父母のちいさな「正しい世界」の外側をかいま見る少年時代、既成の価値観を受容できずに荒れ、自分の感性をたよりに理想を追い求め、時には人、とりわけ自分を傷つけながらも自分の内面を見詰め直す青年時代。そして、ついにありのままでかけがえのない自己をみいだしたときに体全体にみなぎるパワーと歓喜。少年期のにおいたつような追憶、嵐のような青年期の放蕩と混乱、霊的な初恋などの描写はヘッセ独特の叙情的なもの。実吉氏の典雅な訳文がひかる。
さらに、この作品は隠れた真実や無意識の願望の「謎かけ」や「暗示」に満ちていて、読者を否応なく引きつける。ヘッセは作品発表当時まだ目新しいものであった心理学の手法をよく咀嚼(そしゃく)し取り入れている。
既成価値や世間への違和感、自分は特別な存在であるという自意識、一方で密かに自分をさいなむ劣等感や罪悪感。人生の混迷期を乗り越えたヘッセが、この普遍的な青年の内面を渾身の力をこめて掘り下げるとき、読者はゆさぶられるような衝撃と共感を覚えるだろう。
心理学的な「解釈」をするなら、超自然的な雰囲気をたたえ、ジンクレエルを導く謎の青年デミアンはジンクレエルのアルター・エゴ(alter ego)であろうし、結末でジンクレエルが瀕死に陥るのはデミアン=分身との同一化を果たし、本来の自己として再生するためのいわば必然的なプロセスでなのであろう。
しかし、自分の中に静かに脈動する生命力が「本来の自己」という形を得たとき、人はこのいのちという奇跡を、何も恐れることなく十二分に「生ききる」パワーを得るのだ、というメッセージは、余分な知識なしでも十分受けとめられる。自己探求のさなかにある「青年」に、何度も読み返してほしい1冊である。(小野ヒデコ)
レビュー
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新潮文庫の訳より読みやすい! Date:2010-01-07 おすすめ度 ![]() この岩波版は1959年の翻訳だが、新潮の高橋氏の訳(1951年の翻訳)よりすごく読みやすい。 高橋氏の訳をまず20pぐらい読んでみて、難しいなあと思ったらこちらの岩波版を手に取ってほしい かなり内容がスルスル入ってくると思う。 ただ訳を簡単にしすぎたり、文章が冗長になったりしてる部分もあったり雑な部分も時々見られる。そういう部分は高橋氏の訳も参考にして読んだ(結局2つとも買ってしまった!)。 あと平仮名の部分が異常に多い。「かの女が言うには〜」という部分とか最初「かのおんな」ってまた古めかしいいい方だなあって思ってたら、途中で「彼女」って読むと気づいたりした その他「えいきょう力」とか「さいちゅう」、「せっとう」とかなぜこんな平仮名なんだ(笑)!って思うところもあり、もう少し洗練してほしいなあと思う。(そろそろ改版を出してほしい) しかし全体的には新潮文庫より読みやすいと思うのでおすすめ。 内容はかなり突飛で幻想的なシーンも出てくるが、主人公シンクレールの10歳〜20歳ぐらいに至るまでの「青年の苦悩」が車輪の下よりも緻密に描かれてる(特に前半から中盤までがかなり素晴らしい!)。 若い時に読んでおきたい「世界の名著」 ※追記 2009年4月に改版が出てたらしい。気付かなかった。全部見比べたわけじゃないけど、若干ひらがなの部分が修正されてる?。まあ何にしろ文字の大きさがかなり見やすくなってるので、今から買う人は2009年4月以降のバージョンをおすすめする。 |
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ただただ狂おしい・・・ Date:2010-01-03 おすすめ度 ![]() 10代の頃読み、読み終わった直後の3日ぐらいは様子がおかしくなった程影響を受けました。 美しくて切ない、そんな胸をつまされるような心理描写が、 大人になった今でも、思い出すたびに甦ってくる特別な作品です。 若い人に、若い感性があるうちに是非一読していただきたいと思います。 自分にとっての「とっておきの一冊」になりうるかも?! |
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宗教葛藤を心に持ちつつも、徹底的に自己を追及する青春 Date:2009-03-01 おすすめ度 ![]() 禁欲的にひとつのことを成し遂げようとする姿は、励まされる。 職業、役割を選ぶための人生観ではなく、自分自身に到達することこそが真の人生観だという。そして、多くの孤独を体験してこその、自己への到達には、もっと深い孤独がある。 人は外に出て、また家に帰ってくるのと同じように、心もまた、悩み、立ち返りながら、日々をすごし、成長し、生きていくものなのだろう。 そして、その過程こそが、美しいものなのかもしれないと思った。 |
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この本に出会えて良かったと思いました Date:2008-08-30 おすすめ度 ![]() このような本があったことすら最近まで知らなかったので、恥ずかしさを覚えると同時に、この本に出会えて心から幸福と思いました。 大衆と迎合できない主人公と私自身とても似通っている印象を受けたこと、友人デミアンの施しなど、大変感銘を受けました。 物語のラストはたいへん切ない印象でしたが、物語の途中にあった自己の探求と人生の意味について書かれていた内容に共鳴します。 孤独だと感じていた自分にとっては勇気を貰った本でした。(アンソニー・ストーなど色々読んでいます) 人それぞれ、大勢と慣れ親しむことよりも、自分が大事だと感じたことにこだわって進んでいる人には共鳴する本ではないでしょうか? もう私は40歳ですが、この年でこの本を知ったことに落胆し暗くなってしまいますが、しかし勇気を貰ったことの方が大きく、これから自分が明るくなれる生き方を進んで行けそうです。 |
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ぼんやりとしたものが形を持つとき Date:2008-08-29 おすすめ度 ![]() 「デミアン」を読んでいく中で、誰しも必ず「こういう風に思うとき、あるある!」と思うと思う。 人によってその箇所は違うかもしれないけれど、ぼんやり思っていたこと、感じていたことを言葉にしてもらえる感触。 そういう共感って、気持ちいい。 自分の心の中が少し整理されてすっきりしました。 読んでみて下さい。 |
