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カラマーゾフの兄弟〈第1巻〉 (岩波文庫)

翻訳 米川 正夫
価格:¥ 693 (税込)
出版:岩波書店
カテゴリ:文庫
ページ:434頁
JAN:9784003261491
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で181369位
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レビュー
岩波文庫第一巻にはすばらしい解説がついている! Date:2009-12-01
おすすめ度
私は最初に光文社文庫の『カラマーゾフの兄弟』(亀山郁夫訳)を読みました。
その中で文脈からして疑問に感じる箇所がいくつかあり、その確認のために
岩波版を読んでみました。すると非常に明快に色々な箇所の疑問が解けました。

以下、光文社亀山版と岩波米川版とを比較した感想です。
亀山訳には人の名前などロシア文学初心者にとって親切な解説があり、文字や
段落の工夫などでぐんぐん読み進めることができますが、ドストエフスキーの
意図をきちんと読み解くには米川訳は必携。亀山訳で『カラマーゾフ』にはま
った人は是非米山訳も手にとってみられることをお奨めします。

何より岩波文庫1巻の最初についている解説がすばらしい。
高々23頁の短い解説ですが、江川卓や亀山郁夫による色々な解説本と比較し
ても、この米川正夫の解説は非常によくまとまった優れた内容のものです。
色々な新機軸の説を読む前に、まずはこの解説を読まれてはどうでしょうか。
(さらに詳しい解説としては『評伝ドストエフスキー』モチューリスキー、
筑摩書房が定評あり。)
宗教的な背景についてこの岩波の解説よりももっと簡潔概観的なものが必要な
場合は『講談社学術文庫 キリスト教の歴史』小田垣雅也(うち、9章10章)
が参考になります。

欲を言えば、字をもっと大きくして欲しい。
岩波文庫には米川正夫訳で『悪霊』『未成年』『作家の日記』もあるはずですが、
品切れ重版未定のまま、というのはいかにも惜しい気がします。
私は岩波文庫の訳が良い。 Date:2009-10-22
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数年前、新潮から出ているカラマーゾフを買いましたが、字面が読み辛くて挫折しました。

その後、岩波文庫の方を発見して即、買いました。
岩波は文字が小さく感じるものの、読みやすそうに感じたので。
そして、4巻まであっという間に読み通しました。

4巻を買いに書店へ行った時、学生が亀山訳のカラマーゾフを探しており、店員に案内されて傍に来ました。
そんなに話題になっているなら、と、私も亀山という人の訳の本も手に取ってみましたが、
言葉の使い方に重みが感じられず、軽薄で浅い内容に感じてしまいました。

読み易い、とっつきやすい、のは確かかもしれませんが、こうした文学を読むなら、
難しくても、言葉が古臭くても、私は、こちらの米川訳の方が断然好きです。

活字だけはなんとかならないか Date:2007-05-21
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光文社文庫の新訳や新潮文庫の改版で『カラマーゾフ』が売れている昨今、岩波文庫はこのままでいいのか。読み比べでアピールするチャンスなのにあの活字では・・・。今年から始まった「岩波文庫の改版重版」は、真っ先にこの作品を扱うべきではなかったか。それとも『戦争と平和』のように新訳が出るまでこのままで通すのか。
世界最高峰の文学 Date:2007-05-12
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ドストエフスキーの代表作にして世界最高峰の文学。ドストエフスキーの構想では、次作以降で「アリョーシャを神にする」超大河小説の第一部として書かれたものだが、本作だけでその充実した内容に圧倒される。

物語は"神の子"アリーョシャの精神的成長を底流に、私生児スメルジャコフの父親殺しを表向きのテーマにして進む。だが、そこには様々な仕掛け・謎かけが用意されている。"去勢派"のキリスト、スメルジャコフの父親殺しが殉教行為であった事。そのスメルジャコフの自殺との対比で、アリョーシャが真のキリストである事を示唆する工夫。放蕩息子ドミートリイが最後で見せるキリスト教的寛容精神の謎。スヴィドロガイロフ風超人的無神論者のイワンが最後でスメルジャコフに精神的に屈服する様を、当時のロシア民衆の勢力台頭の反映として描く手法。そして、それらの重層的構造を締め括る形で、最後にアリョーシャが12人の少年使徒の前で演説する場を設け、彼らが新しいキリスト教団を設立する事を示唆するラスト。勿論、この中から将来のユダが出る予定だったのであろう。アリョーシャは皇帝暗殺者に模されていたらしい。熱心なロシア正教の信者だったドストエフスキーが、アリョーシャの師ゾシマ長老を敢えてカトリックにし、その死に際して腐臭を放った様子を書いたのも、旧来のカトリックを乗り越え、アリョーシャが新しいキリストになる事の強調だった(ドストエフスキーはカトリック嫌いだった)。

これら、人間と宗教に係るあらゆる問題を圧倒的な心理描写で綴っているのだから、その迫力と深遠さは人智を超えていると言っても過言ではない。これまでの文学が持ち得た世界最高峰の作品。
「教養」を考える Date:2005-09-11
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 どの本に書いてあったか忘れてしまったが(たぶん内田樹だと思う)東大の大学院でミハイル・バフチンのドフトエフスキー論の講義をしているときに、ひとりの大学院生が突然こう質問したという。
 「先生、ドストエフスキーって誰ですか?」
 この逸話を受けて著者は「ついに来るべき日が来たか」という感想を漏らしているのだが、この感想が「信じられない」ではなく、「ついに来てしまった」というところに、現代日本の憂慮すべき問題がある。
 つまり、教養が崩壊する、ということで、「最近の若い者はモノを知らない」というオジサン的観点から苦言を呈しているのではない。それによって、もはや自らと価値観の異なるひとびとへの理解の根が断ち切られつつある現状に警鐘を鳴らしたいのである。つまり、「教養」とは、対話のための最低限の共通の知識である。
 この作品については特に言を費やすまでもあるまい。ここでは次の二点のみに触れたいと思う。一点は、米川氏の訳について。戦前の翻訳であるにも拘らず、二十一世紀のこんにちにおいても味読に耐えるものである。若干みなれない表現にでくわすかもしれないが、特にわたくしは気にはならなかった(例えば「闡明」など)。もう一点は、ドストエフスキーの作品群全体についてである。この作家は死ぬまで成長を続けた作家のひとりであり、小説としては後期の作品になればなるほど面白い。よって、この最晩年の作品が、もっとも優れていると思うし、また初めて彼の作品に触れる方にとっても、第一に手にするべき作品だと思われる。長編であるが、途中で飽きたり投げ出すことはなかろうと思う。
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