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忘れられた日本人 (岩波文庫)

価格:¥ 735 (税込)
出版:岩波書店
カテゴリ:文庫
ページ:334頁
JAN:9784003316412
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 □忘れられた日本人 | 宮本常一 [ 都市×建築×趣味 ] at 2009-10-29 23:24:43
忘れられた日本人 (岩波文庫) 宮本 常一 /1984.01/ 岩波書店 昭和14年以来、日本全国をくまなく歩き、各地の民間伝承を克明に調査した著者(1907‐81)が、文化を築き支えてきた伝承者=老人達がどのような環境に生きてきたかを、古老たち自身の語るライフヒストリーをまじえて生き生きと描く。辺境の地で黙々と生きる日本人の存在を歴史の舞台にうかびあがらせた宮本民俗学の代表作。 内容(「BOOK」データベースより) 関西大学の岡先生に宮本常一を勧められた購入. 本当は「村のなりたち」「町のなりたち」を勧められたのだが、古書ということで図書館で借りてざっと目を通し...
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レビュー
物事を見る目が少し変わった気がする Date:2009-11-25
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 「忘れられた日本人」とは、文字によって伝えられることなく語りによって伝えられる日本人と捉えたらよいのであろうか。おそらく宮本氏が全国を歩き話を聴いて廻らなければいずれは忘れられてしまったであろう風俗。語られた内容を文字に表し記録した著者の偉業に心から敬意を表したい。

 なかでも深く感銘を受けたのは対馬における「寄りあい」。村で取り決めをおこなう場合には、みんなの納得のいくまで何日でもはなしあう。多数決で決めるような乱暴なことをしない。そのような発想がないことに驚きを禁じ得ない。すばらしい文化ではないか。

日本の農業の下力を見ました。 Date:2009-11-16
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日本を、江戸期から昭和に掛けて、底辺から支えた農業の力をまざまざと見た思いがします。
農家だから学がない、と思いがちな心を打ち破ってくれました。
農業従事者だから見える世間・政治・経済などがあるのだと。
農業従事者だから判る人間の底力。
何事にも囚われない自由な心が、そこに集まっていたのですね。
朝早くから夜遅くまで、それこそ休むことなく働き続け…だからこそ見える真実ってあるのですね。
本当の意味での「自由」を見ました。
まさに「自らを由とする」自由を持っていたのです。
日本を影から支え続けた農業人に乾杯したいです。
祖父に捧げられた宮本常一<最大の賛辞>は格別 Date:2009-07-10
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『忘れられた日本人』では、日本の原風景とも言える農村漁村に生きた無名の人々が主人公です。山村の古老たちが村の変遷を語る「名倉談義」からは、村という生活共同体での日々の暮らしぶり、人間関係の濃密さ、道路建設により文物の往来から人的交流の仕方までが様変わりした事実を教えられます。

過酷な農作業の合い間での女性たちの絆の深さを若い頃の旅参りや家出の手伝いなどの挿話で紡いだ「女の世間」や、視力を失った元博労の物乞いが自らの牛追い人生と女性遍歴を独白調で語る「土佐源氏」は、大変面白く、楽しく読んだ後に、少しばかり物悲さに包まれます。

リュック担いで辺鄙な村々や離島にまでいそいそと調査旅行に出掛ける民俗学者の物好きさには呆れますが、こういう<エロ話>めいた秘話を聞き出す<至福の瞬間>に取り憑かれた哀れな人たちなんだと納得がいきました。いいえ、その瞬間に立ち会うことができたむしろ幸運な人たちと呼ぶべきなのでしょう。

対馬に移住した老漁師「梶田富五郎翁」の昔語りは、著者同郷(山口県)の大先輩に対する敬意と哀惜に満ち満ちています。更には、温和な百姓でありながら、真剣を抜いた武士二人と脇差一本で相対した逸話の持ち主=祖父宮本市五郎に対する著者の愛情の深さ、細やかさに、身贔屓を超えた格別なものを感じます。

亀やカニとも友だち同様に接するべく幼い孫を導いたこの祖父は、「納得のいかぬことをしてはならぬ」という信条を貫いた人物だったようです。「世間話はあまり持たぬ人だったが、その生涯がそのまま民話といっていいような人であった。」宮本常一最大の賛辞は、ライフワークの原点を育んだ最愛の人に捧げられています。
日本人の原点 Date:2009-06-17
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戦後、日本文化の均一化が進み、一般的な社会規範に反するものはどんどん姿を消していった。今では、そのようなことがあったことさえ、どこか後ろめたいこととして、語られることも、ましてや、メディアで紹介されることも無い。しかしながら、本著では、著者の丹念なフィールドワークにより、それこそ「忘れられた日本人」の生き様が、活字として残されたことに大いに意義を感じる。

夜這いは平安貴族の専売特許かと思っていたが、語り部である農村部の老人たちの昔語りによると、かつて普通に行われており、今の世の中とは違って、金も余暇も少ない、若い男女の交際方法とされていたようである。大阪府太子町では明治の終わり頃まで、一年に一回聖徳太子廟会式(えしき)の夜は男女ともに誰と寝ても良く、「太子の一夜××」と言って、近隣から多くの男女が集まった…ということも出てくる。

その他、子売り、子譲り、山の民との関わり、芸人、盗人宿、盗賊が病に効くと言われて何人もの子供の生き肝を食う話など、アンダーグラウンド的な話も紹介されている。
人間の流動性はかなり少なかったと思いきや、諸国を奔放に旅して見聞を広めて戻ってきて、村の文化や産業振興に貢献する人が意外と多くいたようで、また、村人たちも貴重な意見として彼らの見聞を有難たがった。

昔の農村の人たちは、苦しい生活を耐え忍んで生涯を送ったイメージが強くあったが、この本を読んで、確かに生産性は低かったし、電気もガスもなかったが、そのような日々の生活の中にも自分たちの心の拠り所を持ち、強く活力に満ちた日本人の暮らしがあったことを改めて知った。
アカデミックかはさておき Date:2009-05-30
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戦時中もフィールドワークを続けていたというのがすごい。
一般的な人類学の例にもれず、宮本常一も
観察者である自分が「エージェントから見られている」という視点は欠落しているものの、
彼らへの誠実さは十分に伝わってくる。
あとがきは結構泣ける。
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