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子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)

価格:¥ 819 (税込)
出版:岩波書店
カテゴリ:新書
ページ:256頁
JAN:9784004311577
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で3950位
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 2009年4月に読んだ本? 子どもの貧困 [ ”エビケンの政治” 茅ヶ崎で活動するエビケンの政治活動日記 ] at 2009-04-11 19:53:33
子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)阿部 彩 / 岩波書店スコア:  非常の豊富なデータにより、タイトルにある「子どもの貧困」を証明していくだけでなく、そのデータにより、日本人が抱いていた様々な思いや、メディアの報道で問題と思わされてしまっていることが確かに問題ではあるが、本当はそちらよりも大きな問題があることが証明されます。  抱いていた思いとしては、子どもの貧困といった問題について、恐らく日本では税制度や社会保障により再分配機能が働き、アメリカよりは格差が是正され、貧困率も改善されているだろうと思いますが、実際には、先進国では唯一日本だけが子どもの貧困率が...
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レビュー
説得力のある理詰めの本 Date:2010-02-06
おすすめ度
 この本については、多くのレビュアーさんが高い評価をされており、私はそれらのレビューを参考に、この本を手にとった。
 そして、読んでみると、期待以上に説得力のある良書だった。

 貧困をテーマにした本は、個々の具体的ケースを取材して記述するものと、統計からアプローチするものに大別されるが、本書は(一部アンケートによるナマの声が紹介されるものの)ほとんどが統計からのアプローチとなっている。
 
 (a)貧困家庭に育った子どもは大人になっても貧困となる確率が高いこと、(b)世界の中でも日本の子どもは比較的貧困率が高いこと、(c)日本は家族関係の給付水準が国際的にみて低いこと、(d)政府の所得再分配によってかえって貧困率が高まっていること(これは非常に驚き! 何のための政府なのかと思う)、などなどがデータを用いて説得力をもって語られる。

 日本では、これまで「均質で高いレベルの教育によって質の高い国民が生み出され、そのことが社会の安定や産業の競争力の基礎となっている」と信じられてきたが、結局その教育水準というのは親の負担で成り立っていたわけで政府は無策であったことが、この本を読めばよくわかる。
 そして、経済格差やワーキング・プアの問題が顕在化している現状においては、(a)大人、子どもともに個人一人ひとりの幸せが確保できなくなっていること、そして(b)子どもの貧困がこれからの日本社会の重大な危機を招きかねないことが理解できる。
 一刻も早く、少しでも多くの人が読むべき、必読の書といえると思います。
子どもの貧困から見えてくるもの。 Date:2010-01-24
おすすめ度
本書を読むと、子どもの貧困にも増して母子家庭差別の告発という要素が強いようにも
感じられ、そもそもなぜそれほどまでに母子家庭は差別されるのかといったところに問
題の本質があるように思われ、そこを突き詰めない限り結局は子どもの貧困問題の解決
も難しいのではないかという気がします。

不況の影響が社会的弱者といわれる人たちに最も顕著に現れるのは当然であり、その端
的な例が子どもの貧困というわけですが、その背景にある母子家庭への社会的排除も、
あまり省みられない父子家庭の困窮も、高齢独身女性の貧困も、結局は性別役割分業と
いうこれまでの価値観が強固に存在していることが根本にあり、男性稼ぎ主モデルを軸
とした現状の制度的制約が大きく影響しているものと思われます。

よって経済政策以前に、価値変化を伴う社会構造の転換が必要であり、そのキーワード
が最近よく言われる、ワークライフバランスであったり、QOLといったものだと思い
ますが、それらがまだ経済成長阻害要因として後回しにされがちなのは、慣習と言う名
の既得権益が社会に根強く存在しているからではないかと考えられます。

指摘のように、日本の政策は福祉の視点ではなく労働すなわち経済対策の視点で行われ
ているようだというのはその通りであり、そのような政府や親のための「少子化対策」
ではなく、子どもの幸せを考えた子どものための「子ども対策」を行って欲しいという
著者の主張には強く賛同します。

本書は、子どもの貧困の現実を明らかにし、その状況を何とかしたいという著者の切実
な訴えの書であると同時に、日本人の子どもの必需品に対する支持の低さや、母子家庭
への厳しい目に象徴される自己責任意識に基づく社会的不寛容さと、その背後にある男
性原理に基づく社会システムの歪みの是正を迫る意識改革の書でもあると思います。
今の高齢者も若い頃は苦労したのだろう。しかしこれを読んだらもらい逃げは出来ないはずだ! Date:2009-12-27
おすすめ度
子ども自身が貧困ではなく、子どものいる家庭が貧困に陥っているということだが、昔のように貧困家庭に育っても社会的に成功するチャンスがわれわれの親の世代程多くなく、むしろ貧困家庭に育つ→高等教育を受けるチャンスが激減→就職で不利に→自身が貧困層から抜け出すことができない、と貧困層が固定化してしまう傾向が強まりつつあるようだ。

 だれもすき好んで貧困になりたいとは思わないはずだが、貧困層が増加することで本人が苦しむのみならず、貧困がさらなる悲劇や苦痛をもたらすこともあるだろう。もっと言えば社会が不安定になることにもつながるかもしれない。その意味では「本人の責任」といって放置することはできないのである。

 その上、ショックだったのは、子どもの貧困率を家族給付や減税等による再配分の前後で比較したグラフ(p96)だ。OECD18カ国中、日本だけが再配分後の方が貧困率が増加している。社会保障制度や税制度によって日本の子どもの貧困率は悪化している!こんな国はない。

 なぜ日本だけこのようにお粗末な状態になっているかは、終身雇用と年功序列により会社が社会保障の役目を果たしていたため国が制度を考えなくても良かったからだというのが筆者の分析である。

 今後少子高齢化がどんどん進む中、若い人の活力をより一層引き出せるような社会制度をつくっていかねばならないのに、今の日本はその逆を行っている。このままではジリ貧である。

 こんな日本の現状を何とかすべく11の提言を著者は行っている。またイギリスの貧困研究学者ピーター・タウンゼントが提唱する「相対的剥奪による生活水準の測定」という手法を紹介していて、このような数値指標を用いて為政者や国民の心に訴えないと政府支出を増やすための原動力にならないという意見には納得である。
 
こんなすごい本の著者は左翼系の論者か政治家かと思っていたら、国立社会保障・人口問題研究所の室長であるというところがまたまた驚きであった。先日の経済財政諮問会議においてはこの本でも提言されている「給付付き所得減税」が民間議員の意見として出されており、与党野党ともに検討することと聞いている。役人でもムーブメントをおこすことが可能ということである。見習いたい。
危ない橋を渡るよりも、みなで渡れる橋をかけよう Date:2009-12-02
おすすめ度
子どもの貧困率は15%だそうだ。
日本の子どもの6人に一人、7人に一人は「貧困」であるという率になる。

「貧困」という言葉の強さになんだかピンとこないわけなのだけれど、
経済的不利、の状態から、ずっとずっと抜け出しえない、
スタートラインに立てない、逆転の可能性を永遠に失われている状態、
「日本の子どもについて、社会が許すべきでない生活水準=子どもの貧困」
と阿部さんは定義している。

阿部さんが浮き彫りにする事実に圧倒される。
貧困層にいつなんどき、落ちこむともかぎらない細い細い橋の上を私たちは生きている。
だからこそ、私だけは落ちないように、身を守る術を、と教えるのではなく、
みなで手をつないで渡れる橋を持ちたい。

阿部さんが見出した「日本版子どもの貧困ゼロ社会へのステップ」11を提示してくださっていることに感謝。
いつだって、指針は灯台のように、目指す先を照らしてくれる。
11のステップは、読むと、これが実現できたら私が楽になる・・・。
社会に生きる大人が少し楽になれる内容ばかり。
子どもに注ぐまなざしは、そのそばに立つ大人のゆとりの確保にほかならないと、あらためて感じる。
のは、私自身がとってもとってもゆとりのない、大人、だから。
勝手に貧困3部作 その3 子供達 Date:2009-11-01
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 不謹慎とは思うが最初に書いておく。結構面白いです。
 ばか笑いする内容ではないが、好奇心は刺激されます。
 例えばアメリカにおける「親の収入と子供の学力の関係」を調べる方法が紹介されてる。同一地区から無作為に選んだ二つのグループの片一方にのみ数年間援助しその後の学力の違いを見る。その結果、他の条件が全て同じでもお金で成績は変わるという結果が出てくる。
 評者は結果の意外性や研究者の実験アイデア、アメリカの自由な研究文化に驚き、面白いと感じました。

 著者は研究者であり、本書には人目を引く派手な逸話が並んでいるわけではない。母子家庭のアンケート結果は胸が詰まる内容だが、それくらいです。総じてデータの裏付けのある事実を述べている。
 それだけに著者の主張は重く受け止めるべきです。
 特に社会保障の逆進性による貧困率の上昇や、母子家庭の低賃金過重労働や、日本社会の貧困児童に対する冷淡さは、普通の日本人が抱いている日本のイメージとは大きく異なる。実態を世間に伝え、民意を形成していく事が必要と思う。

 本書の前半では親の貧困が子供の将来に渡って生活や能力に悪影響を与えており、豊かになった日本でも珍しくないことを記している。これは、自由競争の倫理的正当性を担保する機会の平等が達成されてない事を意味していると思う。
 また、子供達が十分に能力を発揮するためには、給食費や遠足費も含めた教育関連費用全般の無料化による就学機会の確保と、親が子供の面倒をみる余裕を得るだけの家庭への支援が重要だと述べている。

 元々人的資源しかない日本で、子供達は最も重要な財産である。少子化の進む中、彼らの能力を最大限に生かす方策は、経済合理性からも正しい政策であろう。
 弱者に過度に同情的なのは感情論だが、合理性のない冷淡さも感情論だ。
 日本の将来や子供達の将来より、親の自助努力不足に対する酬いを優先させたいのなら、その人はただの感情的で偏屈な、良心の吝嗇家だと思う。
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