パトロン物語―アートとマネーの不可思議な関係 (角川oneテーマ21)

価格: (税込)
出版:角川書店
カテゴリ:新書
ページ:231頁
JAN:9784047040878
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で684070位

[ Amazonの詳細ページへ ]
エディターレビュー
   芸術家を金銭面から援助するパトロンという存在。これまでの美術史は、作品だけを取り出して純粋に評価しようとしており、金銭と人脈とのかかわりあいについての研究は進んでいなかった。パトロンについて言及されることがあっても、イタリアのメディチ家などに代表されるルネサンス期から18世紀までが中心で、近代のパトロンについてはほとんど扱われなかったという。しかし1990年代に入ってから、芸術を政治や経済、社会全体との交流のうちにとらえようという動きが出てきた。そんな「人間くさい芸術史」を描いたのが本書である。

   第1部では古代から近代美術が登場する直前までを取り上げているが、本書のおもしろさは、第2部の近代美術、そして第3部のアメリカのパトロンの動きをまとめた部分にある。万事金の時代に画商が大きな力を持ち、美術館というシステムが登場、そして、新興国のアメリカで繰り広げられたパトロンと芸術家の関係など、美術通史では触れられることの少ない部分が、生き生きと描かれている。また、現在ではおなじみの、作品を際立たせる真っ白な壁で囲まれたギャラリーを最初に作ったのはアメリカの女性画廊主であったというエピソードなど、パトロンの、金銭面だけではない貢献も垣間見ることができる。

   著者はあとがきで、「マネーが絡んでアートの価値が汚されるかというと、そんなことはなく、むしろいきいきした人間的な魅力を語ってくれる」と述べている。アートがある限り、それを助けるパトロンの存在がなくなることはない。(朝倉真弓)

Amazonレビュー
amazon検索