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岩宿の発見―幻の旧石器を求めて (講談社文庫 あ 16-1)

価格:¥ 470 (税込)
出版:講談社
カテゴリ:文庫
ページ:209頁
JAN:9784061340220
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で271814位
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レビュー
科学者の卵たちや子供たちの心を打つでしょう。 Date:2009-10-01
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 本書は、納豆行商の傍ら赤城山ろく周辺の遺跡を調査し、ついに旧石器発掘という偉業を成し遂げた相沢忠洋さんの記録である。

 著者の幼少期から発掘成功までをまとめたものだが、その大半が貧しい生活の日記と、戦争時代の思い出となっている。今のように恵まれた時代ではなく考古学だけに専念をするなどということが夢のまた夢のような時代に、幼少期の夢を持ち続け、学者たちも驚愕するような著者の発見の記録にはとても感銘しました。

 著者の純粋な好奇心に対する探究心が実るまでの物語りは、科学者の卵たちや子供たちの心を打つでしょう。
特別な親しみを感じる大発見と著者の気骨 Date:2009-08-16
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本書「「岩宿」の発見」については中学校の時に先生から紹介され、感慨を覚えた記憶がある。古代史上の大発見が隣県で行なわれたと言う内容だったから。

この発見の意義は大別すると次の2点であろう。
(1) 関東ローム層中において、土器を伴わない石器文化の存在を示した事
(2) この発見を在野の研究者(と言うか熱心な好事家に近い)が行なった事

本書は、著者がこの大発見をする過程を、生い立ちから始まり、両親の離婚、戦場体験、戦後の喪失感、少年時の"古代史への夢"の回復、歴史学界の権力闘争への嫌悪と人間不信、周囲の毀誉褒貶などを挟んで淡々と綴ったもの。"赤城おろし"が吹きすさぶ中、土器片を偶然見つけた事をキッカケに大地に旧石器時代の黎明期を感じた少年が、変人と呼ばれながら、その夢を実現する道程が見事に描き出されている。著者の気骨も控えめながら、しっかりと映し出されている。

私事ながら、本書で再三言及される笠懸村(現みどり市)は義父の出身地で(岩宿も現みどり市)、桐生は家内の出身地である。私も自転車通学の際、"赤城おろし"には悩まされたものだ。この事もあって、本書の記述には懐かしさと共に魅かれるものがある。

「それでは考古学ではなく好古学」だと窘められた事に発奮して、日本における旧石器文化の研究の新分野を開拓した男の夢とロマンの記録文学。
「学ぶことの意味」を教えてくれる、素晴らしい本です。 Date:2007-08-24
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「土器採集」が好きだった小学生の頃、母がこの本(当時は単行本)を僕に買い与えてくれました。
写真の少ない地味な本の作りに最初は憤慨したものの、時が経ってふと手に取り、読み始めてみると、一気に引き込まれていったことを今でも覚えています。
ふと、この素晴らしい本が現在、どうなっているのかと思って検索してみたら、3人もの方から好意的なレビューが寄せられていてうれしくなりました。

著者の相沢忠洋さんは、在野にして不世出の考古学研究家でした。
幼い頃は家庭環境に恵まれず、だんらんへの憧れが、1万年以上もの時間を経た先史時代の人々の暮らしの匂いを嗅ぎ当てる原動力となりました。文章を通じて確かに伝わってくるそのひたむきさに、僕は今でも、何度でも胸を打たれます。
「こんなにせつない、そして美しい学問への姿勢というものがあるんだ」

考古学といえば、何か新しい発見がある度に新聞がそれを大々的に書きたて、挙句の果てには舞い上がった学者が偽装まで行なっていたことがありましたね。
相沢さんの追い求めた考古学は、そんな見てくれだけの栄誉とは何の関係もない、真に人間的なものでした。
僕は、この本で考古学に対する姿勢というものを教えてもらった気がします。
考古学に特に興味のない方も、機会があったら是非一度この本を読んでみてくれませんか。
人としてひたむきに生きるというのがどういうことなのかが、きっと伝わってくるはずです。
信念の人 Date:2005-05-13
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どんな逆境があっても自分にできる最善を尽くして前向きに行動する。
失敗しても誰も恨まず、己の至らなさが原因と自省する。
過大な脚色が施された子供用の伝記以外でこんな本は読んだことがありません。
お亡くなりになったのが本当に残念です。

文庫本で廉価ですし、是非お読みください。
どんな人でも何か得るものがあると思います。

その生き方に感銘を受けた Date:2003-06-28
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 岩宿で石器を発見し、日本にも旧石器時代があったことを実証するきっかけを作るまでの人生をつづったもの。
 考古学関係のことは極力抑えてあり、それまでの人生を押さえた筆致で描いている。
 もともと遺跡や土器に興味があったことの他に、恵まれぬ家庭環境であったため、常に何かを求めて生きていたことが発見につながった、ということがよくわかる。

 岩宿の遺跡が大きく報道され、それでそれまでの地道な活動が脚光を浴びるのだが、かえって空虚な気持ちを抱くことになる、というのが正直であり、感銘を受ける。
 自分一人のものだったのが、社会的な存在となり、自分の手から離れて行ってしまったのだ。

 文章は非常にうまく、わかりやすい。こういう時のことはこう書くものだ、という型が身に付いている。
 最後に明かされるのだが、筆者の心中に常にあるのは人間への嫌悪、不信である。
 同志と信じた人が裏切り、妨害し批判を浴びせてくるようになる。「先生」をつけて呼んでいる人物が、途中から呼び捨てになる。

 学会の派閥の対立も目の当たりにする。
 最初の発見から三年目にして、自分の発見を公にするのだが、それまで誰も信じられなかったのではないだろうか。
 発見の後、著者がどのような人生を送ったのかは、この本では分からない。冒頭の描写からすると、納豆の行商を続けていたようだ。
 考古学に興味がない人が読んでも深い感銘を受ける本である。

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