滅びのモノクローム

価格: (税込)
出版:講談社
カテゴリ:単行本
ページ:317頁
JAN:9784062114585
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エディターレビュー
   骨董市で買った古い釣り用リール。それと共に入手した柳行李(やなぎごうり)に昔のフィルムが入っていた。好奇心に駆られたコピーライターの日下哲は、フィルムの再現を試みる。過去の映像が現代に蘇ったその時、日下の周りでは不穏な動きが…。1個のリールが結ぶ過去と現代。日本人が封じてきた忌まわしい出来事は、今もなお、人々の心の奥底に澱(おり)のように潜んでいた。

   2002年度の江戸川乱歩賞受賞作。長崎の原爆投下の生々しい描写から幕は開ける。すぐに舞台は現代へと変わり、日光の骨董市で主人公、日下哲が運命のリールに出会う場面が描かれている。突然の場面転換に少々戸惑いを覚えるが、全く異なる2つの場面がどのように重なっていくのかを読み解くことも、本書の楽しみ方の1つなのである。

   物語の序盤は、フライフィッシングの説明やコマーシャルの制作風景などの専門的な記述が多い。自身もフリーのコピーライターである著者の得意分野なのであろうが、知的好奇心を満たすには興味深い半面、ミステリーの流れとしてはやや遠回りな印象を受ける。しかし中盤にさしかかると、リールの売り主である女性、月森花と主人公や雑誌記者との会話がテンポよく進み、ストーリーが広がりを見せ始める。なかでも、雑誌記者が熱く語る現代政治への批判は、本書の中核をなす「反戦」メッセージとなっており、一読に値する。(冷水修子)

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