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天使のナイフ

価格:¥ 1,680 (税込)
出版:講談社
カテゴリ:単行本
ページ:350頁
JAN:9784062130554
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で129542位
おすすめ度:

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 天使のナイフ [ 読書三昧 ] at 2008-06-30 22:56:08
天使のナイフ 薬丸 岳 久しぶりにドシンとした重さのある面白い本を読んだ気分。 ガチガチの社会派小説といったテーマを取り上げながら、ミステリとしてもとてもよくできている。 少年犯罪と少年法という、そう珍しいわけでもないテーマのものだけど、これは秀逸かもしれない。 罪を犯した少年を更生させるというモットモらしい言い分。 だからといってその被害者の遺族が排除されている現実。 例えばアタシがこのテーマでディベートを迫られたら、きっとどこかで理論破綻してしまうんだろう。 どっちもどこか間違えていて、どっちも全く間違えてはいるわけではなくて、とても悩ましくて腹立たしい問題。 妻を殺された男が主人公として出てくるんだけど、ここまで主人公然とした主人公というのも今どき珍しいのかも。 そんなふうに思えるほど、この本ではこの主人公を際立って巧く描いている。 そして犯罪被害者である彼を丁寧に描くのと同時に、犯罪者の側についてもやっぱりきちんと描かれいて、それらが積み重ねられて重みのある小説に仕上がっている感じ。 犯罪者と被害者遺族。 彼らが交わることなく全てが片付けられてしまう世界。 この法律の世界はどこかやっぱりおかしいと感じる。 被害者遺族が犯罪者に対して求めるものは何か。 犯罪者は贖罪を求めて何をするのか。 とても重いテーマを、その双方から丁寧に描いている。 そしてコレ、ミステリとしても読み応え十分。 最初のほうは静かに話が進んでいくんだけど、後半はもうドミノ倒しのような展開。 単純なアタシなんかは、「アンタが悪者か!」などと思いながら読み進んでいたんだけど、途中で実はすっかり作者に騙されていたのに気付き、さらに読み進むとまたこれが二転三転して……。 読み手は書き手にいいように振り回される感じ? そういう意味でもこの小説はとても面白い。 っていうかこの作者の本は初めて読んだんだけど、これがデビュー作って本当かしら? ものすごい力量なんじゃないの? 強いて言えばこの主人公はあまりにも不幸すぎるんじゃないか?ってことぐらい。 両親を事故で亡くし、妻を少年たちに殺され、その妻も、妻の死に心を許す妻の友人までもが……。 ちょっとヒドすぎやしませんか? とはいえ、これだけ重いものを伏線いっぱいでこれだけ複雑にしながら、それでもなお途中で読みあぐねることなく最後まで楽しく読ませるこの文章力。 これは見逃せないな〜。 お気に入り作家が一人増えたかもしれない。 内容紹介 生後五ヶ月の娘の目の前で惨殺された妻・祥子。 夫・桧山貴志は耳を疑った。 犯人は、十三歳の少年三人。 四年後、犯人の少年の一人が殺され、桧山は疑惑の人となる。 少年たちの事件後を追う桧山に付き付けられた、信じがたい真実、恐るべき過去――。 更生とは何か。本当の贖罪とは何なのか。 少年法をめぐる論争の死角に迫るとともに、”読み出したら止まらない”ミステリーの醍醐味を両立させた、選考委員も絶賛の話題作、ついに刊行!! 第51回江戸川乱歩賞受賞作。 単行本: 350ページ 出版社: 講談社 (2005/08) ISBN-10: 4062130556 ISBN-13: 978-4062130554 発売日: 2005/08
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この書籍を買った人はこんな書籍も買っています
レビュー
同テーマの中では出色 Date:2010-02-02
おすすめ度
少年法をテーマとしたミステリーは数多くあります。
しかしこの作品は、その全体的に流れる悪意と諦念は出色です。
あらゆる登場人物が根底で不信があり、また長年の恨みを持ち続けているというのは、寒気がするほどです。
少し考えさせられるテーマです。
全てが最後に納得できる! Date:2010-01-30
おすすめ度
自分が意識してこなかった、少年法の意義と問題点が、登場人物を通じて複眼的に語られていき、
なかなか考えさせられることの多い社会派の小説です。
心情描写も巧みで、主人公が犯人扱いされ追い詰められていく息苦しさを、ありありと感じました。
最後は、ちょっと付け足して的な部分もありますが、それまでの全てのプロットが全て綺麗にはまり、
あんな所にも伏線が張ってあったのかと驚きました。
「国家が罰を与えないなら、自分の手で犯人を殺してやりたい」 Date:2009-11-03
おすすめ度
 本書は第51回江戸川乱歩賞受賞作(平成17年)に輝いた少年犯罪を題材としたサスペンス小説である。
 生後五ヶ月の娘の目の前で妻・祥子を惨殺された夫・桧山貴志。犯人が十三歳の少年三人で刑事罰の対象外である事を知り、怨嗟する日々であった。四年後、犯人の少年の一人が殺され、疑惑の人となった彼は、事件後の少年たちの行方を追うが、そこには信じがたい真実や恐るべき真相があった…。

 事件後も粛々と過ごすカフェ店オーナー・妻・桧山貴志、4歳になる一人娘・愛実、祥子と中学時代の親友で愛実の通う保育園の保育士・早川みゆき、カフェ店の従業員・福井健と新人アルバイト・仁科歩美、当時の事件担当である埼玉県警刑事・三枝利幸、少年犯罪を取材するノンフィクションライター・貫井哲郎、殺された少年と幼馴染で桧山に協力する少女・加藤友里、犯人の少年の担当弁護士・相沢秀樹などなど…。

 昨今、少年犯罪を扱った作品は数多くあり、本書も読み始めた頃の印象として少年犯罪の背景に隠された真相を暴くありふれた物語だと思っていたが、登場人物の関係性がよく練られており、読み進めるうちに真相が徐々に明るみになっていき、物語が一段落ついた所で終焉だと思っていたが、さすがは乱歩賞受賞作というべきか終章である最後の最後にもう一つ物語の真相を明るみにする展開は面白く堪能した。
止まらない衝動 Date:2008-11-18
おすすめ度
 久々に読み始めたら止まらない本に出会った。これだから小説は面白いと思わせる一冊だった。
 「少年犯罪」という重いテーマにもかかわらず読んでいてとても心地よいいと思ったのは、「少年犯罪」の問題点を指摘しながら、そのどれも押しつけがましくなく、普通の人間が悩み苦しむというスタンスからから逸脱しない点だ。こういった小説の場合、作者がどちらか一方の意見に傾倒している点が見えてしまうと一気に興ざめする可能性があるが、あくまでそのどちらの意見をも斟酌しつつ、どうにか答えを見つけ出そうとしていく所が多くの人に受け入れやすい作品になっている理由だろう。一考では、それは作者の人間味が現れた部分だろうとも思える。
 また、そういった葛藤を物語の中に落とし込み、一級品のエンターテイメントへと昇華させた技術も素晴らしいと思う。最後の方は少し物語を複雑化させすぎたきらいもあるが、そこは作者の人間の内面描写の妙が埋めて余りあるものになっていると思う。
 一気に読めた、という満足感を持って書を置きたい人にはぜひお勧めの一冊だと思う。
白黒つけられない面白さ Date:2008-09-05
おすすめ度
事件という形では決着がついた、
課題は残ったけど…って終わり方かと思いきや!
とラストにもう一度驚かされる本でした。
どこまでが葉でどこからが花かわからない花のように、
重なり合い、白でも黒でもない状態がずっと続く感じ。
でも読後感はすっきり、でありながら、結論の出ない投げかけもある。すごいミステリーですです。
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