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星と半月の海

価格:¥ 1,680 (税込)
出版:講談社
カテゴリ:単行本
ページ:257頁
JAN:9784062137348
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で547164位
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レビュー
生物のむこうに見る自分 Date:2007-12-10
おすすめ度
色鮮やかな表紙には、パンダ、ペンギン、小猿、恐竜、クジラ(ジンベイザメ)。
この動物たちに関わる人を主人公に据えた連作小説集です。

飼育員、古生物学者、解剖学者などの、日々こだわり、心意気などが描かれています。
出てくるパンダや恐竜のインパクトが強く、そこがまた面白い読みどころです。
が、動物と接しながら、主人公達が語る家族のこと、今の自分のルーツ、これからの自分などは、
日常に追われ普段忘れていても、誰もが確認したいことであり、この物語集のテーマに思えます。

ちょっと違った生活が見え、低刺激の良い気分転換になりました。
こうゆう小説が欲しい時がありますよね。
川端作品の世界樹 Date:2007-01-25
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動物と人との関わりを描く動物小説。
ですが 川端氏のこれまでの作品同様 氏の世界観が背後を貫き流れて おとぎ話のよう・・・

”みっともないけど本物のペンギン””パンダが町にやってくる”はストレートに読者の感情に訴えてくる作品。

”星と半月の海”はジンベエザメの話だが 人間の中の海から 生命の海 時間を超えた宇宙という海まで拡がる感覚がある。

時間を超えた生命 という感覚は ”ティラノサウルスの名前””墓の中の生きている”も同様。
原初の生命から今の自分へと繋がる生命 というものを考えさせる。

最も印象に残ったのが ”世界樹の上から”。
各界に通じる根を持ち宇宙を貫くという世界樹。(北欧神話)
その名の通り 各作品(世界)を貫き 他作品に登場する人物がこの樹の上で交差し それぞれの海(生命の源)に思いを馳せる・・・
西オーストラリアにあるこの世界樹が 頭上に拡がる宇宙を貫くイメージが浮かんだ。
生命の歴史。 Date:2007-01-06
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川端さんの文章は飽きる。
この言い回し、この一人称。
せっかくの面白いテーマが台無しじゃないの。

とか思って「みっともないけど本物のペンギン」から順に読み始めたのではありました。
ところが、物語が進むに連れて、ずぶずぶと沼地に足を取られるかのように、
わたしはいつの間にか生命の歴史に思いを馳せていました。

六つの連作のうち四番目の「世界樹の上から」が書き下ろしで、
この話がここに入ることで、全てがつながる印象になったのだと思います。
人間の中にも海があるのは、命をつなぐため。受精するには水(海)が必要です。
そのことを意識することが書かれています。
個人的にすきなのは「パンダが町にやってくる」。
自分の野生はどこにあるのかと思ったりしました。

欲を言えば、意地悪い棘のような引っかかりがもっともっとあったらいいのに。
もっと立ち止まって反芻して、自分でも何かを追いかけて行きたくなるような。
わがままで貪欲な読者としては、この連作を元にした長編が読みたいと思ったのでした。
含蓄深い青の感覚 Date:2006-12-22
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 清冽で、シンプルな文章の、テンポのよさに引き込まれる。
 表題作は、ジンベエザメを飼育・観察する女性獣医を主人公としている。「星」と「半月」が二頭に名付けたニックネームであることが途中で分かる。「わたし(リョウコ)」は外人の研究者エルマ、リンジーとともに海中に潜って魚たちの生態を観察している。その体験・記録のようであって、心の動きと自分の人生(娘美月を産み落とす母親)まで重ねて述べられており、生命の輝きを感じさせる作品に仕立てられている。「半月」は死んでしまったが、「星」は放流する。やがて、青い海に溶け込むように消えていく。
 その瞬間、星の体から無数の光の粒が弾け飛んだ気がする。わたしの内面が反転する。外へ転がり出す。娘の存在を感じる。漂う。拡散する。感情を伴わない意図せぬ涙が込み上げてくる。
 このような感覚的で鋭利な内面描写を展開して、現代的フィーリングにかなう文章表現になっている。「底知れない青に揺れる」青の感覚に満ちた爽やかな作品として余情深い佳品である。
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