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世界一の映画館と日本一のフランス料理店を山形県酒田につくった男はなぜ忘れ去られたのか

価格:¥ 1,785 (税込)
出版:講談社
カテゴリ:単行本
ページ:277頁
JAN:9784062143608
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で57983位
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レビュー
著者に感謝をささげます Date:2008-11-03
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この本の主人公に関しては、他の評者のかたが、満遍なく述べられているかと思います。私は、この「忘れられた」佐藤久一に光をあててくれた著者に感謝したいと思います。

視点をかえると、企業CIビジネスという脚光をあびた世界から引退して不遇をかこっていた著者が、人の縁で、佐藤久一を知り、この本を書いたその裏面史も、この本と同様、興味深いものだったのではないか、と思ったりします。
私は、読んだ後に、この本は、読み返すことはないかもしれないけど、手元には置いておきたいな、と思っています。きっと、著者の久一に対する愛情が(愛憎かもしれませんが)、そう感じさせるのでは。

何かのノウハウを得るための本ではないので、万人に薦めるとこはできませんが、いわゆる定年前の人には、自身の振りかえる機会を与えてくれるかも知れません。でも、色々な人に読んでほしい本ではあります。

そして、「真のサービス」に関して、日々、考えている方には、多くのヒントが与えられるはず。顧客のニーズというより、常に顧客の期待を上回る仕掛けを考えること、この気づきがあります。
湘南ダディは読みました。 Date:2008-08-25
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この本を紹介してくれたのはかって私が勤めていた会社のオーナーであり大学の先輩でもあり、大変頭の回転が速くアイディアに富み、社内の会議での凡庸な発言を唾棄するように嫌いましたが、本作の主人公佐藤久一はいかにもこの先輩好みの都会的で斬新な企画力に富み、独断専行の大変魅力的な人であったようです。
弱冠20歳で親から映画館経営を引き継いだ久一は、上映作品の選択に独特の嗅覚をしめしただけでなく、内外装や音響効果に金をかけ、仕出し料理をとりながら映画が見られる個室や女性に受け入れられるような清潔なトイレの設定、しゃれた案内係や定期冊子の発刊など次々にアイディアを実現させ、彼の経営する映画館グリーンハウスはついに週間朝日で淀川長治に世界一といわしめるほどのものになっていったのです。
そこまでグリーンハウスを育て上げた久一ですが、次は劇場をやりたいと恋人をつれ東京にでて日生劇場に勤めてしまいます。ところがすでに名映画館経営者として著名でもあった久一は日生劇場側の上司からすれば煙たく、劇場の地下にあったレストランアクトレスの食堂担当に異動させられてしまいます。ここで後に彼の経営するレストラン欅やル・ポットフーで開花する仕入れや食材への眼をやしなうことになります。やがて父親によびもどされた久一は、はからずも新事業としてレストラン経営を任されることになります。昭和42年のことです。ここでも久一のセンスと企画力が充分に発揮され、地元酒田の豊かな食材を活かしたレストランは瞬く間にグルメの開高 健や丸谷才一に激賞されるほどになっていきます。
 贅を凝らしすぎて赤字となり遂には経営者としての地位を追われやがて食道癌に倒れることになるのですが、最後まで見果てぬ夢を追い続けられた誠に幸せな男の生涯を知ることが出来る一冊です。(タイトルの「なぜ忘れ去られたのか」は適切ではないと思います)
「客を喜ばせること」に命を燃やした人、佐藤久一の物語 Date:2008-05-10
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 二つの事業を共に一流に成し遂げた佐藤久一氏の魅力溢れる人柄と、仕事への情熱と気迫が伝わってくる。
 存命であれば、間違いなくNHK「プロフェッショナル〜仕事の流儀」に出演され、全国の視聴者に勇気と感動を与えてくれたことだろう。
サービス業従事者には必読! Date:2008-04-12
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佐藤久一という人の性格は単純なのか複雑なのか…??? 兎に角不思議で興味深い人物です。この人の顧客、部下、友人であることは幸福でしょう(もちろん気に入られればですが…)。但しこの人の上司、家族であることはひょっとしたらとんだ災難になるかもしれません。私にとって圧巻は開高健、山口瞳、古今亭志ん朝ら名だたるグルメがル・ポットフーで食事をし文字通り舌を巻く場面でした。私もル・ポットフーでおまかせ料理を食べたかった!そりゃそうです、最高の食材を使い最高の技術でこしらえた料理を最高のサービスでしかも低価格で味わえるのですから! 何たって食材の原価率が70%を越えているのです! 私はホテル業出身なのでよく判りますが、このパーセントだけで大赤字になるのは明らかです。人件費率も非常識に高そうです。客が来なくて赤字なら分かりますが、客が来れば来るほど赤字が増えるというのも経営者としては完全に失格です(そして当然経営は破綻しました)。ただ久一にコスト感覚・バランス感覚があったらル・ポットフーがこんなに名声を博することもなかったし、優れた後継者(特にコック)を遺すこともなかったであろうことも確かで、ここが単純に事の是非を断ずることが出来ない点です。…嗚呼、グリーンハウスにも行って久一のお薦めの名画を見たかった! この本は一般の人が読んでももちろん楽しめますが、ホテル業・飲食業をはじめとするサービス業全般にたずさわる人達には必読だと思います。佐藤久一は優れた教師でもとんでもない反面教師でもあるし、彼の生き方は毒にも薬にもなります。
こんなに情熱的でロマン溢れる生き方って、羨ましい。 Date:2008-03-14
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 これは、人々に夢とロマンを与える仕事に人生を賭けたある男の物語だ。そして、これはまた、社会的な成功とありあまる賛辞と名声を受けながら、ビジネスの担い手としてはあまりにロマンチストに過ぎた男の切ない物語だ。過剰なまでのタイトルに、果たしてこんな人物が居たのか半信半疑で読み始めたのだが、本当に実在したんですね。山形県酒田、港町で酒造が有名な東北の小都市に裕福な名家で生まれ、20歳の若さで父親が経営する映画館「グリーンハウス」の支配人になった佐藤永一。「何かひとつ世の中の人から喜んでもらえる仕事をしたい、そして世の中のみんなが幸せになる事が自分自身も幸せにする」との想いを胸に、情熱とユニークなアイディアを以って、次々に施策を打ち続けるヴァイタリティ、「食事が生きる歓びであり、人生の目的である」と言い放ち、良質の食材、味付け、サービスを求めて、採算度外視で誠心誠意向き合う心意気、実に天晴れ、素晴らしい。賞賛と驚嘆が半ばする逸話が次々に語られるが、いわゆる立身出世モノとは一線を画したロマンと薫気香る粋なお話で、佐藤自身が掲げた料理のプレゼンと同じ、エレガンスと気持ちが高揚する弾むような楽しさに満ちた生き様。それだけに、晩年のその不遇ぶりが痛ましいが、それでも、その一生に、たまらなく羨望と幸福感を感じてしまうのは、筆者同様、私たちが、平穏で堅実だが、ちまちまとした日常を送っているからに他ならないと思う。今一度夢を追いかけたい人、そして、接客業、夢を売る職業に従事している人には、是非一読をお薦めする。
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