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九つの、物語

価格:¥ 1,365 (税込)
出版:集英社
カテゴリ:単行本
ページ:313頁
JAN:9784087712162
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で81021位
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 九つの、物語 [ 読書三昧 ] at 2008-06-19 10:39:20
九つの、物語 橋本 紡 主な登場人物は、ゆきなという大学生とその恋人の香月クン、それと彼女の兄の幽霊。 本人が気づかないうちに壊れていた心を取り戻すような話。 といえば、ちょっと憂鬱そうなイメージだけど、ぜんぜん。 この小説全体に漂うのは、ほんわかと優しいゆったりとした印象。 一人暮らしのゆきなの前に突然現れた死んだはずの兄。 この兄のキャラクターが結構素敵。 いい加減で女たらしでとても優しい。 そんな兄との平和で楽しい、だけどごく普通の生活が、すごくいい感じに描かれている。 小説が好きだった兄の部屋にある膨大な蔵書の中から、彼女が読む有名な文芸作品とリンクしてこの小説のお話が進んでいく。 優しくて痛くて切ない印象に残っているのが、彼女が兄の手からモノを食べるところ。 自らの中で抹殺していた記憶が、母の手紙によってよみがえり、どこか壊れている自分に気づくゆきな。 それから彼女は、パタリとモノが食べられなくなる。 たった一つ。兄が作ったものを兄が口に運んでくれるときを除いて。 雛が親鳥からエサを与えられる映像が浮かぶような場面。 とはいえこの小説、特別なことは何も起こらない。 まぁ、この兄の存在とその関係でたまに出てくるほかの幽霊を除いてだけど。 本当に普通の兄と妹の話で、誰もが感じる生きにくさとか他人との距離感とか、ごく普通の話。 非常に柔らかい雰囲気で最後までさらさらと読めてしまう。 そのくせ、読んだ後になにか心に残るようなこの感じは、この作者ならではなんじゃないかな。 どうでもいいけど「山椒大夫」の結末が2種類あるだなんて知らなかった。 これもそうだけど、この小説の中で引用されているいわゆる文学作品。 もう一度読み直してみようかという気持ちに今なっている。 とても単純なアタシ。 あ。単純といえば。 ここに出てくる幽霊である兄は、とても料理が上手という設定。 お話の中でも、いろいろととてもおいしそうな料理を作る。 ということで、読みながらすごく作ってみたい気持ちになった。 パエリアとかも簡単そうだったけど、やっぱり兄が妹に伝授したトマトのスパゲティかな。 分量なんか量っちゃダメ。 スパイスが効きすぎても効かなすぎても、それなりにおいしい。 しょせんはトマトスパゲティ。 出版社 / 著者からの内容紹介 大切な人を、自分の心を取り戻す再生の物語。 大学生のゆきなのもとに突然現われた、もういるはずのない兄。 奇妙で心地よい二人の生活は、しかし永遠には続かなかった。 母からの手紙が失われた記憶を蘇らせ、ゆきなの心は壊れていく…。 単行本: 313ページ 出版社: 集英社 (2008/03) ISBN-10: 4087712168 ISBN-13: 978-4087712162 発売日: 2008/03 JUGEMテーマ:読書 JUGEMテーマ:オススメの本
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レビュー
その「日常」を愛せる世界 Date:2009-11-12
おすすめ度
全ての短編が純文学の作品をモチーフとしています。
あまり純文学を読んだ事がないので
それぞれを、それもじっくりと時間をかけて読んでみたくなります。
特に「山椒魚(改変前)」「山椒魚(改変後)」はうまいと思いました。

最初はブラコンの女の子が淡々と男性観について
語る話かしら…と思ったら予想外の展開とラスト。
…ネタバレになるので説明し辛いですが、面白かったです。
不思議な空気感のある話。
他の作品も読んでみたくなりました。
優しい本 Date:2008-11-23
おすすめ度
私は橋本紡さんの本が好きです。
で、友人に勧めたところ「どんなところがおもしろいの?」と聞かれ、
「うーん……」となってしまった。
そういえば橋本さんの本の魅力ってなんだろう? その夜、色々読み返して考えました。

印象的なシーン、衝撃的な事件、深い感動。特筆するほどそういったものはない。
でもなんだか、誰かが隣に座って優しい言葉をかけてくれている、読んでいるとそんな感じがするんですよね。
例えば三島由紀夫の本は作者と読者の間にどこか壁を感じる(あくまで私個人の意見です)。
でも橋本さんの本はその間がものすごく近い感じがする。

欠点を挙げようと思えばたくさんあると思います。
でもそんな欠点はどうでもいいくらい穏やかで、優しい本です。
リアルにありそうなファンタジー Date:2008-11-16
おすすめ度
もう会えないはずの兄・禎文が部屋にいた。
驚くゆきなは、大学生のまじめな女の子。
できたての恋人、苦手な遊び人の男の子や華やかな女の子、そして
旅を続ける両親…周囲の人たちとのやりとりも時々ぎこちない。
そんなゆきなが、家にいついた兄の料理と、兄が読んでいた古い小説を通して、
少しずつ成長していく…
古きよき時代の児童文学の延長線上にあるような品のある文体と、ちょっと
ドラマで見てみたいかも、と思わせるキャラ立ちしている人物たちが皆
いとおしくて、読み終わるときには、お別れが寂しくなったほどだった。

普段はファンタジーとかって苦手なんだけど、これは、設定はファンタジー
なんだけど、描かれている人物像がしっかりリアルで、ご都合主義的なセリフを
言ったり行動したりということがないので、素直に読めました。
温かく、心安らぐ作品 Date:2008-08-29
おすすめ度
2年前に死んだはずの兄。ゆきなにとってかけがえのない存在だった兄の
突然の出現は、恐怖よりも懐かしさでいっぱいだっただろう。以前と同じ
ように会話しながら2人で過ごす時間は、とても貴重なものだったに違いない。
だが、兄はなぜ現れたのか?兄の死因やゆきなを思う兄の心の内が分かった
ときはとても切なかったが、作品全体はほのぼのとした温かさに包まれていて、
読後感は悪くなかった。また、収められている9つの物語のタイトルがすべて
小説と同じタイトルになっていて、その内容についても語られているのが興味
深かった。未読の作品を読んでみたい気持ちになる♪心が安らぐ作品だった。
壊れた心を取り戻す物語 Date:2008-05-23
おすすめ度
小説すばる07年3月〜08年2月に連載。
大学生の藤村ゆきなの前に、2年前に死んだはずの兄禎文が突如現れ、生きていた頃と同じように暮らし始める。
9つの文芸作品と、おいしそうな料理たちともに、ゆっくりと時が流れていく。

兄はなぜ死んだのか、なぜそれを自分は覚えていないのか、両親との心のすれ違い、恋人との埋められない距離・・・

母親からの手紙で兄の死の真相を知り、ゆきなの心は壊れていく。

生きていくって大変なこと、でも失敗を恐れていては何も始まらない。
幽霊になってまでも戻りたかった兄の、妹への深い愛と生きた姿勢に心打たれます。
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