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失われた町

価格:¥ 1,680 (税込)
出版:集英社
カテゴリ:単行本
ページ:428頁
JAN:9784087748307
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 失われた町 著者:三崎 亜記 [ 読むなび!(裏) ] at 2007-02-05 21:16:01
≪採点(読むなび!参照)≫ 合計:58点 採点内訳へ ≪梗概≫ 30年に一度起こる町の「消滅」。忽然と「失われる」住民たち。喪失を抱えて「日常」を生きる残された人々の悲しみ、そして願いとは。大切な誰かを失った者。?
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レビュー
作者の発想力に驚嘆 Date:2009-12-23
おすすめ度
三崎さん作品の、独特の世界観が大好きです。
現実にはありえない世界なのにお役所言葉が超現実的なせいか、完璧な空想の世界とも思えない錯覚に陥る感じがたまりません。
中でも、この「失われた町」は、ブックデザインも含めて一番のお気に入りです。
文庫も発売されましたが装丁がフツーなので、ハードカバーを購入した満足感を持ちました。

…ただ、あまりに「突拍子もないプロローグ」から始まりので、その世界に入り込めるまでに時間がかかりました。
何度か読み返してようやく全体の繋がりが理解できた感じでしたね。
「SEKISO KAISO=石祖開祖」の人物像とか…思わず相関図を作ってしまいました(笑)。

あと、桂子さんと脇坂さんのエピソード部分が、どれも好きではありません。
あまりにもSF的で「絶対にありえない出来事」なので…せっかく「現実に程近い架空の世界」感を醸し出していたのに、ちょっと残念でした。

でも、最近読んだ他の作家さんの小説に比べたら、私の中では断トツで一位です。
久しぶりに「しっかり楽しませてもらった!」という読後感を持ちました。
好き嫌いがはっきり出る作家さんだと思いますが、私は彼の発想力に毎回驚かされています。
少しずつ解明されていく謎 Date:2009-03-30
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およそ30年に1度、町が消えようとするのに巻き込まれて一緒に住人も消えてしまうという「消失」。家族を失ったもの、恋人を失ったもの、町の消失からは逃れたけれど「汚染」された存在となったもの・・・。それぞれが悲しみを胸に生きつつ、同じ悲劇が起きないよう、さまざまな手をつくしていくという話。

とても静かで、とても悲しい話でした。読み始めは何を言っているのさっぱりわからなかったものが、ストーリーが進むにつれて明らかになっていきます。

この話の秀逸なのは、「エピローグ、そしてプローグ」、「プロローグ、そしてエピローグ」と題された始まりと終わり。全部読み終わった後に、もう一度「エピローグ、そしてプロローグ」が読みたくなる。ああ、なるほど!!だから「エピローグ、そしてプロローグなのね!」と。

なんだか、心の中にジーンと残るお話でした。この人の描く世界ってほんと独特。おもしろかったです
映像で物を考えられない人にはチンプンカンプンだろう Date:2009-03-21
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僕は毎週1冊は小説を読んでいるけど、これはかなり面白かった。最初プロローグを読んで「ん?わけがわからんぞ」と思うが、頑張って読んで行くと3章くらいから物語の全体像が浮かび上がる。意思のある『町』をどう演出するか難しいと思うが、映画にしたら面白いと思う。

逆に言えば、本を読んでいて頭の中に映像が浮かびあがってこない人には、薄っぺらい本に見えるかも知れない。でも僕はこれ以上説明してしまうとミステリアスな世界観が損なわれると思う。

とにかく妄想が大好きな僕には「おおっ」と感じた一冊です。
判断つかず Date:2008-07-26
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装幀と内容が合っていない。
30年に1度、町が消える。
大切な人の消滅を悲しむことができない人々。
平凡な町の生活を描いた表紙。
なので、もっと情緒的な作品かと思っていました。
平凡さの中に潜む危うさとか、喪失の痛みとか。
でもプロローグですぐに気がつくけれど、けっこうハードなSFだった。
意志を持って消滅する「町」こそ正体不明で幻想的とも言えるけれど、これを阻止するべく身を挺して奮闘する人たちは、高度な科学を操る。
もちろん彼らは大きな哀しみを抱えている。
でも、SF的な世界構造やアイテムに気を取られて、あまり感情移入できませんでした。

失われた町「月ヶ瀬」を中心に、30年前に失われた「倉辻」、そして30年後に訪れる新たな町の消滅。
この時間軸が順不同に語られ、60年の間にたくさんの登場人物が深く関わり合っている。
状況を把握して読めたのは最後の2章くらいでした。

日本のような固有名詞ながら、1編の小説だけでは惜しいくらいの別世界が展開する。
この舞台を使って何巻にも何世代にも及ぶ壮大なサーガにだってなりそうです。
ハイテクながら民俗的でもあり、霊感的でもあり、かなり好きです。

結局、人の感情表現と別世界の面白さと両立するのは難しい、と思いました。
それでも日々は続いていくから。 Date:2008-03-16
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「感情抑制」「消滅耐性」「電域」「汚染対象」…世界観を構築するために出てくる単語が見事にいかにも「お役所用語」ぽくて、すぐにこの物語の世界に馴染むことができた。(「となり町戦争」「バスジャック」でも使われていた手法ですね)

「失う」という圧倒的に大きな出来事の前に、登場人物それぞれが「それでも前を向いて生きていく」という選択をするまでの過程が丁寧に描かれている。全体のトーンとしては暗いが、作者の、人生に対する力強い意志を感じて、私はさわやかな読了感を得ることができた。多少の青臭さはあるのかもしれないけど、読書によって「元気になりたい」「勇気をもらいたい」と考える人にはおすすめ。
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