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きりぎりす (新潮文庫)

価格:¥ 540 (税込)
出版:新潮社
カテゴリ:文庫
ページ:366頁
JAN:9784101006130
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で97192位
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レビュー
とにかく大好きな短編集! Date:2008-05-27
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なかでも、
夫婦愛を優しく深く見つめた『皮膚と心』は大・大・大好き!
『ぷつッと、ひとつ小豆粒に似た吹き出物が・・・』
という冒頭の1行目から、いきなりズルリと作品世界に引きずりこまれる。

夫と吹き出物が治った妻が並んで通りを歩くラストでは、
夫婦のユーモラスな会話にフフフと笑いながら、
胸にジーンと熱いものがこみ上げて、
ワッと泣き出してしまいたいような気持ちになった。

1作品、1作品、大切に読みたい名短編揃い。

太宰治の人間描写の素晴らしさを改めて実感した1冊。
思春期の気恥ずかしさ Date:2006-08-14
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何よりもまず「懐かしい」という感情が先に立った。
この自意識過剰さ、自己否定と自己弁護との繰り返し、これはいわゆる「思春期」に特有のものではないか。太宰は一生涯ずっと、肉体年齢に精神年齢がついていかなかった人だったのではあるまいか。そう思えた。
か細いきりぎりすの声にまですがらねばならぬ繊細さは、はっきり言って「本当に生きている」周囲の者には迷惑極まりなかっただろう。
それでもなぜか魅力を感じる、それが太宰。
太宰の本の中でも究極のおすすめ作品、★10個 Date:2006-03-30
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太宰はついに切望した芥川賞など大きな賞は獲れませんでしたが、
確実に後世に残る作家だと確信しています。そのきらめきは、
21世紀を迎えた現在、いっそう輝きを増していると感じられます。
決して青年のためだけの作家ではありません。
ある種の普遍的な情緒と感情の断面を、永遠に輝く結晶になしえた、
希有な作家です。確かに技術的には欠点も多い作家ですが、それが
なんだというのでしょうか、それぐらい魂をゆさぶる何かがあります。
特にこの「きりぎりす」収録の、「燈籠」「黄金風景」は、太宰文学の
良いところが最大限に、そしてストイックに、それゆえもっとも美しく
結晶化された最高の高みに達している大傑作のひとつだと思います。
過去の人生において50回読んでも60回読んでも感動できる作品です。
多くの人におすすめします。すべての人が感動するとは思いませんが
必ず一生ものの作品と出会えたと感じる方も存在するであろう、そんな
名作です。
「畜犬談」なども、笑わせようという意図が鼻につく、やや冗長な作品ですが
それでも太宰のサービス精神とやさしいまなざしが胸を打ちます。
買って損のない文庫です。
気難しい奥さん Date:2005-08-07
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 最近読み返してすごく面白かった。
 大昔に読んで、世俗に染まって小ずるい人間になっていくダンナさんの姿に嫌気がさして別れを決意する奥さんの話、という記憶が残っていた。確かにそういう話なのですが、今読むと、ダンナさんのほうがごく平凡な普通の人で、奥さんのほうが自分の理想・美意識に対する執着が激しい少数派。彼女が嫁ごうと決心したのは、「死ぬまで貧乏で、世の中の人みんなに嘲笑せられて、けれども平気で誰にも頭を下げず、」好きな画ばかり描いていく芸術家。その人の額の月桂樹の冠は彼女以外の誰にも見えない。彼女の満足はそこにあったのに、夫は急に出世する。彼はごく普通の、他人に認められたい褒められたい小心者だった。「あなたは、ただのお人です。これからも、ずんずん、うまく、出世をなさるでしょう。くだらない。”私の、こんにち在るは”というお言葉を聞いて、私はスイッチを切りました」。笑った♪ 凡庸なダンナかわいそー。
読みやすくてアトラクティヴ。 Date:2004-11-16
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太宰の有名な作品「人間失格」「斜陽」「ヴィヨンの妻」「走れメロス」などにはない、ひとりがたりの魅力にあふれた短編集です。

題の、きりぎりすが一切出てこない「きりぎりす」も、女のひとりがたりが巧みです。内容はいわゆる「夕鶴(鶴の恩返し)」に近いものがありますが、主人公の女性は鶴ではありませんし、しっかりとした感情を持っています。そんなシミュレーションのようにも思われるのでした。

女性のひとりがたりの「燈籠」「皮膚と心」「千代女」はどれも傑作である。自分の内面の醜さを知っている、あるいは環境の醜さを知っているという、そんな女性の主人公をして語らしむるところに効果があります。

それ以外にも嫌いな犬に愛着を抱いてしまう「畜犬談」、愚かなおしゃれとそれを好んでしまうことを自白する「おしゃれ童子」なども素晴らしく引き付ける力があります。

また、「おしゃれ童子」もそうですが、私小説的な独白の「鴎」や「佐渡」、そしてその匂いをうかがわせる「姥捨」などは、太宰治の人物像を知るに適していますが、「善蔵を思う」はそれをさらに明確にしていてわかりやすいかもしれません。

太宰の作品は「哀しい笑い」が多いです。でも、なぜかカタルシスを得ることができます。その傾向としては「水仙」を推薦させて頂きます。

とにかくこの一冊は、ある程度つながっているような作品もありますが、バラエティに富んでいて、楽しめる(語弊がありますが)ものとなっています。

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