美しい魂 (新潮文庫)

価格: (税込)
出版:新潮社
カテゴリ:文庫
ページ:462頁
JAN:9784101187112
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エディターレビュー
 『彗星の住人』から始まる、いわゆる「無限カノン」3部作の2作目となる本作は、個人‐国家‐歴史の見えない糸に翻弄される、ピンカートンと蝶々夫人から数えて4代目となる主人公野田カヲルの恋と魂の遍歴の物語を、壮大なスケールで描く。

   不遇の作曲家、野田蔵人と母キリコの死後、カヲルは商事会社を営む常磐家に引き取られる。カヲルは少年時代から慕っていた麻川不二子との恋を成就させるべく彼女の後を追って、アメリカへ旅立つ。カヲルへの思いを断ちきれずにいる姉のアンジュは、カヲルと不二子の恋の妨害を企む。アメリカ留学後、国連の職員として働く不二子。不二子の心を射止めるべく歌うことに目覚め、稀代のカウンターテノール歌手として才能を開花させるカヲル。ふたりの恋はすれ違いを見せながらも進行していくが、清仁親王が不二子を見初めるに至り事態は一変する。

   未来の天皇の最有力お妃候補の恋人であるカヲルは国家にとって存在してはならない人物であり、カヲルと不二子の恋愛自体が禁忌となる。ふたりの恋は国家の大本さえ揺らがしかねない政治性を帯びるものとなった。親王の求愛を拒み続ける不二子だが、カヲルは危険を冒しメディアや国家の監視の下に置かれることになった不二子と逢瀬を重ねる。右翼からの暴力に晒(さら)されるカヲル。カヲルの恋の終わりと連動するように没落する常磐家。不二子はついに親王のプロポーズを受け入れる。最後の逢瀬で不二子と不変の恋を誓い合ったカヲルは、不二子との約束を実現すべく「美しい魂」の行方を見届ける旅に出る。

   そのような経緯が、ふたりの永遠の恋を語り継ぐべく選ばれたカヲルの一人娘である文緒に向けて「君」という二人称で語りかける語り手によって語られる。蝶々夫人に始まる劇的な恋愛模様が、歴史とリンクしながら勇壮な物語を織りあげていく。かくして「二十世紀を恋と音楽に生きた一族の物語」は、最終章『エトロフの恋』へと受け継がれていく。(榎本正樹)

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