荒野のおおかみ (新潮文庫)
出版:新潮社
カテゴリ:文庫
ページ:349頁
JAN:9784102001134
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で78126位
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レビュー
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ヘッセ生涯の分水嶺とヒッピーの愛読書 Date:2005-02-11 おすすめ度 ![]() ヘルマン・ヘッセの作品は、青春をモティーフにした甘味で叙情的な作品が多く、永遠の青春文学の金字塔かもしれない。車輪の下、デーミアン、クヌルプ・・・と。そんなイメージで捉えられる彼の作品の中でDer Steppenwolfは異色の作品に属す。ドイツ語の原文も本書の文体が重い部類に属す。 本書が戦後脚光を浴びたのは、1968年を中心に世界中の大学で吹き荒れた大学闘争の最中、バークレーのキャンパスに屯したヒッピーたちが愛読したことで、再評価された経緯がある。 ストーリは別の情報源に任せるとして、この作品はヘッセが若いころから患った神経症の治療経験を作品化したものともいえる。作品中に「魔術劇場(Magisches Theater)」という章が、イタリックで挿入されている。これこそ治療として施されたユング心理学の臨床経験を寓意的に素描した個所に他ならない。アニマとアニスム、ヘルマンとヘルミーネと書くとヘッセの意図が見えてこよう。愛好する音楽もモーツアルトとジャズ、この対照的な構図にこそヘッセ文学の真髄がある。 この自らの格闘があればこそ、晩年ノーベル賞を受賞した「ガラス玉遊戯」の端正で格調高い独自の世界を獲得できたのだ。ぜひ一読をお勧めする。 |
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素晴らしい作品 Date:2004-01-27 おすすめ度 ![]() この作品は、ヘッセの作品の中で問題作といわれ、酷評された作品だと言われていますが、それだけ力のある作品だという事だと思います。ヘッセの作品の中で私は難しい作品だと思いますが、それは読み直した時に異なる読後感や異なった解釈を許すだけの深みのある作品だという事です。 幻想と現実が混ざり合う世界で、精神の危機とそれを乗り越える不滅の精神への信仰が効果的に表現されています。この本を読まずして、ドイツ哲学と東洋哲学を真に理解したヘッセの魅力は語れません。 |
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問題作かつ傑作 Date:2003-12-14 おすすめ度 ![]() 「『荒野のおおかみ』が実験的な大胆さにおいて『ユリシーズ』や『贋金つくり』に劣らぬ文学作品であることを、言う必要があろうか」 これはヘッセの生涯の親友だったトーマス・マンの言葉である。マンは同じ作家としてこの作品を深く理解していたようだが、しかし一方でこの作品は、当時多くの人々によって激しく非難された。その理由の一端は、この小説における厳しい文明批判や、自己の内面の仮借なき表白、また当時の風紀に反するような描写も含まれているからだろう。 ところで「荒野のおおかみ」とは、世間一般の生ぬるい「満足」に満足できず、その社会通念や価値観に迎合できないアウトサイダー的主人公ハリー・ハラーを形容する言葉である。この50歳近くの主人公はこの世界と自分の存在の無意味さに吐き気を感じ、日々自殺の誘惑に向き合う。そして彼は、自殺が「愚かで卑怯でみじめ」で「不名誉な恥ずべき非常口である」と知りつつもある日ついに自殺を決意するに至るが、その時この小説の本当の展開が始まる。娼婦ヘルミーネやマリア、ジャズ奏者のパブロと出会う中で、戸惑いながらも新たな自己に気づいていき、そして最も謎めいた夢幻的なラストシーンへと向かっていく…。 この作品はその特異性と謎ゆえに決して万人向きではないが、ヘッセのことをより深く知りたい人やアウトサイダーのことに関心のある人に是非読んでみてほしい問題作かつ傑作である。一読しただけでは気づきにくいが、形式的にもかなり計算された技巧的な作品であり、また内容的にも『デミアン』や『シッダールタ』等と根元的なテーマは一致している。ヘッセはこの『荒野のおおかみ』を通過してはじめて、後年の『知と愛(ナルチスとゴルトムント)』やノーベル賞受賞作『ガラス玉遊戯』を創出するに至ることができたのである。(※『ガラス玉演戯』は絶版なので読みたい人は公共図書館等で『ヘッセ全集』を探すことをお勧めします。) |
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ポッキー、がんばれ!! Date:2002-05-02 おすすめ度 ![]() ヘッセを、女学生御用達の作家ととらえていたら、けたぐりをくらいましたねえ。まさに破天荒な作品。幻想・幻影が、くるくる旋回しながら墜落するプロペラ機のごとく展開し、フィナーレはクルマ社会に対する自爆テロ!! 散歩の途上、ポッキーという名の小犬が、クルマが通過するたびに繰り返し、果敢に吠えながら立ち向かっていくのを目撃した。これは第一次大戦の後に書かれた作品なのに、また今はもっと酷いクルマ社会なのに、誰も反旗を翻さない。ポッキー、ガンバレ!! |
