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嵐が丘 (新潮文庫)

翻訳 鴻巣 友季子
価格:¥ 740 (税込)
出版:新潮社
カテゴリ:文庫
ページ:707頁
JAN:9784102097045
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で31182位
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レビュー
訳の悪さはあっても面白い Date:2009-11-17
おすすめ度
読み進めているとどうもつぎはぎのような、話の流れが悪いような
感じが否めず気になったのですが、どうも訳のまずさにも原因があ
るようですね、こちらを見る限り。
しかしそれにしても引き込まれる物語でした。
恋愛物語というのはこの小説を正しく言い表していないように思え
ます。

この物語を恋愛者として読むと、全体として「そこに愛があるのか?」
強く疑問に思うことでしょう。
実際この物語の登場人物はみな「思い」は強いけれど、愛が深いかと
云われると疑問に感じる人々ばかりです。
ヒースクリフの様々な所業も、恨みというより、後半になると、「自分
がそうしたい!」という思いに、自分自身が振り回されているように
感じました。
当初思い続けていたヒンドリーへの恨みつらみなどは、最後のほうはほ
とんど何に由来するか自分でも分かっていないのではないでしょうか。

最後は取って付けたような終幕にも感じますが、結局人一人の思いで動
かせるものなぞたかが知れている、という教訓のようにも感じました。

分厚く手に取るのを憚るような長さに感じられるでしょうが、軽い筆致
で中身もそんなに重くないのですぐ読めます。



復讐の教科書 Date:2009-06-12
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〔ご注意:新潮文庫の田中訳で読みました。こっちのほうが賑わっているのでこっちに投稿しました〕

私は本書を、水村美苗『本格小説』(※)の読後に読んだ。『本格小説』は味わい深い恋愛小説だったので、『嵐が丘』もその類と思っていたし、昔からそんなイメージではあった。だが読後、私にはこの本は「復讐の教科書」としての印象が強くのこった。

虐げられた捨て子ヒースクリフが、己を虐げたものの子供たちに横暴をふるい、また彼らの財産をのっとり、復讐を的確に一つ一つ実現してく様子は読み手に強烈な印象を残すもので、文章上の瑕疵(原作のそもそもの荒削りなところや、こなれない田中訳)を吹き飛ばす凄まじさがある。ヒースクリフの復讐の方針は、例えば「あいつを見てると、おれはいい気持だ」ではじまる367〜368頁(他訳で興味ある方:21章の中ほどです)などがよいリマインダーとなる。ここにはヘアトン(ヒースクリフをいじめぬいたヒンドリーの息子)への基本的な態度が書かれているのだが、ほとんど得体の知れない悪魔であり、現実にギリギリ存在するかしないかの境界的な人物造形である。楽しいだけの小説ならほかにもたくさんあるが、現実のぎりぎりの淵をのぞいてみたい人、平穏な心的生活に揺さぶりをいれたい人などが読んでみると、衝撃をうけると思う。

(※)
『本格小説』は『嵐が丘』を下敷きにしているという。孤児東太郎が実力で富豪になり、その後、かつて世話になると同時に惨めな気分も味わわされた裕福な家の財産を手中に収めていく。その設定面では、『嵐が丘』と似ているところがある。しかし東にはヒースクリフのような背筋が寒くなるような復讐心や悪魔的な横暴さはない。社会的に成功し、あぶらギッシュなところはあっても、昔から一途に思う女性に対してはいつまでたっても不器用にしかできないかわいいヤツである。似た設定なので、一度読んでみて、その味の違いを、特に主人公の違いを比べてみるのもいいかもしれない。
翻訳が悪いです… Date:2009-04-08
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初めて読んだ『嵐が丘』。あまりにも有名な小説なのに、肝心の文章がなんだか変。これで名作?と思ったんですが、訳のせいかと思うと納得。体言止めの多用。何度読んでも何を言ってるのかわかりにくい台詞…。いちいち引っかかりますね。なめらかに読み進めません。別の訳で読み直したいです。
『嵐』再び Date:2008-11-23
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 『嵐が丘』を読むとぐったりと疲れてしまう。登場人物の生のまま魂の激しさにあてられるのか。入り組んだ話の構造に振り回されるのか。
 恋愛小説であり、復讐劇であり、家族を取り扱った小説であり、幻想的なサスペンスでもある。個人的にはミステリ的な要素も持っているのではと思います。
 鶫の辻の客人であるロックウッドの視点で始まるものの、すぐに嵐が丘の元家政婦ネリーがロックウッドに嵐が丘の人々のあらましを語って聴かせるという形式に変わります。この語り部ネリーがなかなかのくせ者で、後書きで鴻巣先生もふれられていますが、作中でよく嘘をつくし、肝心なところで良かれと思ってやったことが裏目裏目にでています。
 こんな語り部が語る話なので読者としては、本当にそうなのか?、なにかごまかして語っていないか?と疑いながら読んでしまいます。このグリップの強さも『嵐が丘』の魅力の一つではと思います。
 『嵐が丘』の魅力については鴻巣先生が後書きで語るに語っているのでレビューで書くことも見当たらないくらいです。『嵐が丘』のもつ力を保ちながら、読みやすく、登場人物たちを身近に感じやすく翻訳された鴻巣先生に感謝。特に初代キャサリンの台詞が秀逸でした。また万華鏡のようにくるくる変わる読み応えのある小説を残してくれたエミリ・ブロンテにも感謝。
荒野は、女の内なるワールド Date:2008-10-06
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二人のキャサリンの魅力(可愛さと愚かさ)に惹かれ、最後まで読んだ。ヒースクリフを主人公と読むのが普通らしいが、彼よりも、三人の女(二人のキャサリンと語り手のネリー)の方が、存在感がある。たぶん、三人は一人の女だろう(ネリーはキャサリンを語る為の存在)。そして、物語の舞台の荒野とは、その女の中に存在するワールドだ。その世界で、男達は、女に魅せられ、争い、苦しめられる。女の内部ワールドが、陰陽ともに生々しく投影されているのが、この作品の魅力。そして、描写の迫力や語りのテクニックとも相まって、この小説を名作たらしめている。そう感じた。
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