シネマと書店とスタジアム

価格: (税込)
出版:新潮社
カテゴリ:単行本
ページ:299頁
JAN:9784103275114
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で971412位

[ Amazonの詳細ページへ ]
エディターレビュー
 「誰にでも『それさえあれば』というもののひとつやふたつはあるような気がする」(あとがきより)。沢木耕太郎の場合、それは映画であり書物でありスポーツゲームであった。本書に収められた99のコラムは、その3つの楽しみが、映画評、書評、スポーツ観戦記として新聞紙上に書かれたものだ。ルポライター、沢木耕太郎のエッセンスがたっぷりと詰まった1冊である。

   映画評「銀の森へ」には、単館上映の作品から全国一斉ロードショーされた作品まで、幅広く取り上げられている。いたずらに玄人っぽくなく、かといって大ヒット作にもおもねらない著者のバランス感覚がうかがえる。書評「いつだって本がある」には、国内海外を問わず純文学からエンターテイメント、果てはポリティカル・ノンフィクションまでジャンルを横断して読み漁っている沢木の好奇心のありようが見てとれる。

   しかし、スポーツ観戦記こそが本書のなかでもっとも注目すべきコラムだろう。長野オリンピックの16日間を追った「冬のサーカス」、日韓ワールドカップ観戦ルポ「ピッチのざわめき」では、熱狂の渦中で見過ごされがちなポイントを的確に捕らえて冷徹に批評している。たとえば、「ピッチのざわめき」に収められた「フィリップ・トルシエと日本代表II」、「どうしてあの時ベッカムは跳んだのか」ではゲームの裏側に潜んでいた、テレビ映像だけでは想像できない人間模様があらわにされている。中田英寿の、デイヴィッド・ベッカムの知られざる苦悩も明らかにされている。

   読み進めていくうちに、端正な文体の中に隠れている著者の「情熱」を感じることができるだろう。(文月 達)

Amazonレビュー


amazon検索