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太陽を曳く馬〈下〉

価格:¥ 1,890 (税込)
出版:新潮社
カテゴリ:単行本
ページ:384頁
JAN:9784103784074
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レビュー
またも立ちすくみました。 Date:2009-08-30
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前作「新リア王」同様、現代を見つめる作者の深い思索と、その結果としてある焦燥感に圧倒されました。
前作に続いての仏教論には、知識がついていかず悪戦苦闘しながらも、国内ではオウム、海外では9.11を経ても尚、混沌を深める時代に「生と死」「殺すという事」を真摯に追求する作者の姿勢に共感します。
この本が「1Q84」のように売れる事はないだろうし、すでに孤高とも言える存在になったかの作者だけど、お粗末な理解力を集中してでも読み続ける価値のある作品だと思います。
刑事合田の葛藤と巻末の福澤彰之の愛憎に、絶望とともに微かな救いを感じさせられました。
高村薫の三部作の感動的な完結編 Date:2009-08-22
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 20世紀を貫いて21世紀に至る壮大な三部作サーガついに完結。本作も、現代美術、死刑、宗教に挑む高村薫の執念と信念が結実した傑作。

 圧巻は「オウム真理教を宗教と認め得るか?」という討論。「あんな太ったグルはおりません」という言葉は痛快だが、そこに至るまでの、道元、マックス・ウェーバー、インド哲学を駆使した法論にはただただ感服の一言。「1Q84」に於いて同じオウム真理教を扱った村上春樹が「物語の力」を信じているのであれば、高村薫女史は「問い続ける近代的批判精神」を信じているのだろう。直観が必要な現代美術や神秘体験の抽象化が必要な宗教的世界の存在を認めた上で敢えて人は問い続けていかなければならないのだという覚悟の重さがそのまま本作の重厚さなのだと思う。

 そして最終章、彰之の手紙は「晴子情歌」冒頭へと回帰する。少女の晴子が見た七里長濱の情景。境界も定まらぬ空と海と砂嵐の入り混じった白明の中、砂丘を渡る清々とした風の音、そして行きずりの雲水たちが唱えてくれた四弘誓願の声と持鈴の音が聞こえてくるような感動的な完結である。

 決して読み易い小説ではないが、合田雄一郎も帰ってきたし、「新リア王」で離れてしまった高村ファンにも読んでいただきたい。
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