仏典をよむ―死からはじまる仏教史
価格:¥ 1,890 (税込)
出版:新潮社
カテゴリ:単行本
ページ:319頁
JAN:9784103864028
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で48075位
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レビュー
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現代的仏典入門書 Date:2009-11-30 おすすめ度 ![]() 主として13の仏典が現代的な視点から取り上げられています。 第1部死からはじまる仏教 『遊行経』『無量寿経』『法華経』『般若心経』『摩訶止観』『碧巌録』 第2部日本化する仏教 『日本霊異記』『山家学生式』『即身成仏義』『教行信証』『正法眼蔵』『立正安国論』『妙貞問答』 それぞれ周辺の仏典も取り上げられ大量の仏典に関わることとなりますが、 それぞれのポイントがたくみに押さえられています。 仏教は、ブッダ(釈迦牟尼仏)の死から始まる教説であることから、 1〜10章までは仏教史を死が貫いていると一貫して論じ解釈されています。 主語を「僕」とすることで、主体性と現代からの批評性を表していると思われました。 『般若心経』を解説しつつ鈴木大拙の「即非の論理」が軽く批判されています。 また仏教の対権力関係も間接的、消極的に批判されていると深読みすることも可能です。 ただ、著者が2009年4月に中曽根康弘と梅原猛が設立した国際日本文化研究センターの教授となったのは、がっかりしました。 |
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生きた仏教学 Date:2009-07-30 おすすめ度 ![]() これだけ仏教の原典に即して議論を進めながら、その仏教の議論を仏教学の枠にとどまらせない形で展開させていく。この本は誰にでも書ける類のものではない。仏教に対する深い理解と、他者や死といった現代社会でもなお問われ続けている問いへの問題意識とを内にあわせ持つ著者であるからこそ、この本は成り立つのである。 仏典を読み込んでいる人が読めば、仏典がいかに今現在と関わり合いを持ちうるかという観点からの仏典の読み直しを導き出すであろう。また、仏典や仏教教学に縁遠い読み手には、現代的な問題を考えるに当たって、宗教的・思想的な仏教の営為の蓄積がどれほどの示唆に富むかを教えてくれるだろう。 仏教に関する予備知識は特に要らないと思う。興味があれば、まずは手に取ってみることを勧めたい。 |
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門が大きく開かれた Date:2009-05-23 おすすめ度 ![]() 仏教の理解に仏典の読解は避けて通れない道といえよう。今般、その入口の門が本書によって大きく開かれた。副題の「死から始まる」とは、ブッダの死から、という意味である。その死をどう乗り越えるかという地点から仏典を見てゆく。そして死者と向き合うことから大乗仏教が興ったという、かなりユニークなアプローチである。 この観点から「無量寿経」「法華経」「般若心経」「摩訶止観」「碧巌録」などインドや中国で生まれた主だった仏典を通覧してゆく。平易な文章の底に鋭い問題意識があり、それが本書の価値を高めている。 後半では日本で生まれた「即身成仏義」「教行信証」「正法眼蔵」「立正安国論」などの仏典を通して日本仏教、つまり日本人を育ててきた仏教の、特殊性というか個性が解明され、うなずかされる。 じかに仏典に当たるのが王道だろうが、挫折は必定(?)の当方にとって本書の導きほど有難いものはない。本書を読んでから仏典に再度チャレンジを試みている。それから意外にも、講談社現代新書から出た『マンダラの謎を解く』も、「法華経」「華厳経」「大日経」「金剛頂経」など仏典を読み込んだ上で図像を説明しているので、逆に図像から仏典の世界を見ることができ、これも有難い。 |
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仏典が面白くよめる Date:2009-05-03 おすすめ度 ![]() 仏教を学ぶためにはまず仏典を読むのが王道だろう。ところが、素人には原文は読み難いし、現代語訳しても退屈なものが多い。そこで、優れた仏教(学)者による解説本が必要とされるわけで、本書のような現代最高水準の仏教学者による明解な仏典講義は何ともありがたい。また著者は近年、学者であることとともに一人の独創的な思想家としても健闘しており、その思想の深化が仏典読解の要所要所にも取り入れられていて刺激的である。 「死からはじまる」ということで、仏教は釈尊(ブッダ)の死に向き合うことからスタートしたという観点のもとに原始仏教が再考される。また大乗仏教の理説に、<私>を超越しつつ<私>とつながり続ける他者の存在、なかでも最大の他者たる「死者」の存在を読み込む。あるいは空海の即身成仏の思想から、「生」と「死」との表裏一体の様を見出し、親鸞の「往生」の理念にこの即身成仏と近似した発想を読み取る、などなど、著者独自の鋭い見解が満載である。 その他、インド・中国・日本の仏教史の展開を見通しつつ、現代の仏教研究に新たな視座を持ち込もうとしている箇所が随所に見られ、単に読み物として面白い仏典解説書に終始しない、非常に魅力的な作品となっている。 |

