切羽へ
価格:¥ 1,575 (税込)
出版:新潮社
カテゴリ:ハードカバー
ページ:204頁
JAN:9784104731022
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で128498位
おすすめ度:
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レビュー
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平凡な日々に吹いた春の風 Date:2009-11-11 おすすめ度 ![]() 孤島のプライバシーもない島にすむ一人の女性の心の動きを静かに淡々と表した小説である。 島に赴任してきた若い男性に惹かれていく気持ち。 何か特別なことが起こるわけでない、彼女の思いが決め細やかにそして穏やかに語られるだけである。 内容的に退屈なものになってもおかしくない。 しかし、文章の見事さ、描写の巧みさで読む人の心に染みとおるような 情感あふれる作品に仕上がっている。 ヒロインせいと若い男、そしてせいの夫、島の人々のせいかつ 本当に何気ないことである。 春風のようにさーと吹いて、帽子をさらったりするものの 台風のように人々の生活に脅威を与えたりするものではない そんな一寸した風が吹いた島の人々・ 何も起こっていないようで物語が始まった時と最後では確実に変っている。 さりげない題材をここまで描ける作者の力量はすごいと思った。 |
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まったく分からないのに読み進めてしまう謎 Date:2009-09-21 おすすめ度 ![]() 何か起こるのだろうか、と思いながら、下世話なことを期待しながら、何も起きないのかもしれないと思いながら、 ただひたすらに読み進めてしまう、セイさんの心の揺れを追ってしまう、謎。 読み終わった後の虚脱感。 思いを告げられなかったときと同じかもしれない。 切羽までは行ける、でもその先へは進むことができない、掘り進むことのできなかった人たちが自分たちをなぞるための小説か。 結論ではなく、揺れ動く自分を残されてしまった。 |
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極めて上質なハーレクインとしての読み方 Date:2009-08-26 おすすめ度 ![]() 読んでいて、設定がやけに分かり易くエロティックだなぁ と思った。 登場人物の輪郭がステレオタイプに分かりやすい>が安っぽくならないというのは 最新刊『静子の日常』でも感じたが、これは作者のたぐいまれな文章力ゆえの余裕か。 閉じられた南の島というロケーションに 長い髪にいつも白いブラウスとニットのロングスカートという画家の妻。 おまけに(ナースではないが)彼女は養護教員。 グラーマーで、その上いつでも体にぴったり張りつく服を着ている 『本土さん』と戦闘的な不倫をかさねている同僚の女教師。 そこへ「地の裂け目から現れたような」殉教のキリストとみまがう顔をした不思議な男。 なんと こちらは音楽教師。 岬の住宅で初めて見かけた男はなぜか木製の大きな本棚をハンマーで叩き壊しており 霧雨にけぶる校庭には男の弾くピアノが流れ... と こういうふうに書くとなんだかハーレクイン小説のようだが 実際「大人のための恋愛小説」という意味で上質なハーレクインなんだと思う。 抜群の文章センスと卓越した緻密な構成力(プラス作者の洒脱な感性)が ややもすれば『叙情的』『純文学的』な方向に読者を連れ去ってしまうが この作品は直木賞の位置にあってこそ正しい。 恋愛小説ときいて一番に挙げたい一冊に姫野カオルコ「ツ・イ・ラ・ク」があるが 余談ながらこちらは(やって やって やって)やりながら、 純愛に向かっている。 反してなにもしないこと...のいやらしさ(ほかに的確な日本語がみつからないので)としたたかさ。 「寝た、寝た」と公言する同僚の教師、月江の「妻って人種はきっとみんな妖怪なのね」 という言葉に主人公セイの設定を面白がりつつ 移ろう島の自然の如くそれを静観している作者井上荒野が垣間見える。 保健室で男の棘を抜くセイと、セイが微妙に使い分ける島言葉のエロチシズム効果は抜群。 文章にムダがなくさすが井上光晴の娘さんという言い方は失礼か。 どこを取り上げてもクラクラするほどいやらしい... と 言うような不埒な読み方も出来る軸のしっかりした一冊。 |
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ゆっくり読みましょう Date:2009-06-06 おすすめ度 ![]() 簡単な文なのであっさり読めるが、 ゆっくり味わいながら読まないと、それで終わりなの?って感じだろう。 繊細で静かな内的世界をを堪能したい人にはおすすめです。 ただ、せっかく舞台が小学校なのだから子どもたちの表現にはもっとリアリティーが欲しい。 どの子もお利口で、でしゃばらず、大人の添え物みたいだ。 |
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印象派の絵画のよう Date:2009-04-06 おすすめ度 ![]() 印象派の絵画鑑賞をし終わったかのような読後感。 人間味あふれる脇役たちが繰り広げるドラマと 主人公の緩慢な心の動きが対照的。 トンネルを掘る工事で、穴が繋がるまでの一番先っぽのところ 「切羽」きりは というそうです。 トンネルがつながってしまえば、切羽はなくなる。 この主人公の心は、まさに切羽なのだろうと思う。 舞台は、南の小さな島。 養護教師であり、妻である主人公の女性の心を追った 恋愛小説。 九州の方言がなんとも心地いいです。 |
