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人間の集団について―ベトナムから考える (中公文庫)

価格:¥ 740 (税込)
出版:中央公論社
カテゴリ:文庫
ページ:309頁
JAN:9784122026841
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で26888位
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レビュー
司馬遼太郎著作でなかったら・・・ Date:2009-03-28
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ベトナム戦争後期、1970年代に書かれた数多くのベトナム関連著作の中で40年近い月日を経ても輝きを失わない本は少ないながらも存在する。近藤紘一氏の一連の著作はその好例かと思える。残念ながら、本書については違和感が大きい。本書は越南見聞録の形を取るが、見聞したものに対して社会的・文化的な視点からの評価が行われている。この評価の部分で、一定の距離をおかずに司馬遼太郎歴史観をそのまま異国に当てはめる傾向が見られ、これが違和感の元を形成しているのではないかと思える。一見日本人的にはわかりやすく感じるのだが、現実とのバランスの悪さを感ずる。当然歴史的背景の違いも大きな一因でもあろう。氏もそのあたりについては「若いころからそうだったが、私の中で、ベトナムと自分との距離感覚がうまくいっていない」とあとがきの冒頭で独白している。司馬氏の著作の中で、初めて完読出来ずに終わった一冊となった。本書が司馬遼太郎著作でなければ、果たしてどのような評価が与えられるであろうか。
人間の本質 Date:2008-09-18
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ベトナム戦争の経緯を一つの例として、資本主義のアメリカと社会主義のソ連、隣接国として影響の大きい中国やカンボジアと当事国であるベトナム、そして日本の国民性について描かれています。どの国の人々も一人一人は個性がありますが、集団として捉えると行動に共通性があって面白いと思いました。国単位の集団でものを捉える場合に一番影響を及ぼすのがその国の自然環境で、その次が隣接国との力関係なのかも知れません。幸か不幸か日本は直接接している隣接国が無く直接の圧力を受ける事が少なかったため、色々な国の文化を取り入れながら独自の文化をじっくりと作り上げる事ができました。それに対し、ベトナムなどは常に隣接国の圧力や侵略を受けながら、それでも豊過ぎる自然環境がゆえにどこと無くノンビリとした集団的人格を形成しています。ベトナム戦争はそれらのあらゆる人格を持った集団が集まり、お互いの正義と権利を振り回した戦争だったのかもしれません。
司馬氏のベトナム現地レポート Date:2006-07-11
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 本書は1973年4月から著者がベトナムに短期滞在した際の、現地レポート。

 著者が訪れた同じ年の1月にパリ協定が結ばれ、前月の3月末には米軍の撤退が完了している。まさに米軍との入れ違いで南ベトナムのサイゴン(現ホーチミン市)訪問したことになる。

 著者はこの戦争を後ベトナム人が一人も存在しなくなるまで続くと文中予想しているが、ちょうど2年後の同じ月、1975年4月にサイゴンは陥落し戦争は実質的に終了している。司馬氏さえも未来を占うのは難しいのだ。

 裏を返せば本書はある意味貴重なレポートだ。サイゴンにつかの間の平和が訪れた瞬間の街の様子を我々が知ることが出来る良書ともいえる。

 それに、司馬氏によるベトナム観察は現代にも十分参考になるものだろう。
日本人にとって、ベトナムは懐かしい Date:2006-03-21
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昭和48年、司馬49歳のときにサンケイ新聞に連載された紀行型の文化論である。

司馬は文化・文明を論じるとき必ず現地を訪れたそうだ。その目で見、その耳で聞き、その手で触れて、脳裏に民族の歴史を風景画のように描く。イメージが深まってくると、眼前の景色が突然、何百年も遡った当時の風景になるという。そのようにして描いたベトナムの風景がここにある。

ベトナムは朝鮮、日本と同様、中国儒教の影響を強く受けた国だそうだ。中国文明は2500年前から儒教でもって周辺国家を従えてきたが、今に残っているのはこの3カ国しかない。歴史的にいえば世界にたった3人しかいない兄弟のような間柄だが、朝鮮はともかくベトナムについては、筆者はほとんど知識がなかった。その点でまず大変勉強になった。

司馬がベトナムを訪れたのはベトナム戦争が終結した1973年である。したがって戦争に関連する話題がどうしても多くなっているようだが、全体としては歴史的、文化的、思想的にみたベトナム人と日本人の類似性を考察する内容になっている。ベトナム人と日本人は根本的な人間の質がとてもよく似ているらしい。

「いまの日本の企業社会で、同種企業と気が狂ったように競走をしているサラリーマンたちの70%以上は祖父の代まで、太陽の下でスゲ笠をかぶりながら畑の草をとっていた。たった二代で大変化をおこしたこの社会で(中略)、しかし心のどこかで、かつての人間らしい社会へ回帰したいという思いがたえずある」という。ベトナムには現代の日本人が回帰を願うかつての日本がある、だから「ベトナムはなつかしい」という。千年ものあいだおたがいに農耕文化を保ってきたことが民族の根底に共感を生むのである、という。

すでに30年も前の事跡だから(2006年現在)、今はどのようになっているかわからない。が、いつか彼の国を訪ねてみたいと思う。解説の桑原武夫も名著と太鼓判を押す。一読をお勧めしたい。
ベトナム旅行のお供に Date:2006-02-01
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人間の集団について、というよく分からないタイトルがついているが、街道を行くのベトナム編として十分楽しめる。ベトナム旅行中に読むと内容が心にしみます。ぜひ、ベトナム旅行にはこの一冊を!
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