丸山眞男講義録〈第4冊〉日本政治思想史 1964

価格:¥ 4,180 (税込)
出版:東京大学出版会
カテゴリ:単行本
ページ:352頁
JAN:9784130342049
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エディターレビュー
   本書は、1964年度に東京大学法学部で行われた「東洋政治思想史」講義のために丸山が準備した草稿をもとに編集されたテキストである。政治の背景にある日本人の精神構造の変遷と、そこに普遍的に横たわる深層を丹念に解き明かしていく。現在の日本社会にも通底する思想の淵源について、本書では古代から鎌倉時代までを分析して見せている。

   丸山がまず指摘するのは、日本の政治システムを成立させるものとして古代に発生した「原型(プロトタイプ)」。具体的には、天皇の現人神化、血縁的集団の仮定、血統の正当化と時間の永続性認識、太陽神の崇拝による統合などである。このような特殊意識とも言える「原型」は、古代日本における中国との交流でもたらされた儒教的政治倫理(統治倫理)により、揺らぎ、変形しつつも「原型」としての独自性を保ち続ける。

   この「原型」に揺さぶりをかけ、世界的(普遍的)価値観による国家や人間の制限という、全く新しい精神的次元を日本人にもたらしたのが、仏教である。だが、実際には奈良時代の仏教は呪術的存在として、国家に従属する道具として「原型」と癒着する。平安時代を進むと、仏教は貴族宗教として私化し、無常観、因果応報観、末法観といったペシミズムが蔓延することになる。この「聖なるものの内面化」が進むことが契機となって、鎌倉新仏教という宗教改革が始まる。親鸞、道元、日蓮らの鎌倉新仏教は、政治的支配から離れ、信仰の純粋化と人間存在への洞察を深めた。しかし、それも開祖から時がたつにつれて、「原型」との混合を余儀なくされていくのである。

   このように、天皇制を裏打ちする「原型」と、儒教や仏教などの外来思想との影響関係が、豊富な文献渉猟と鋭い洞察により鮮明に浮かび上がっていく。日本の社会構造と精神構造における近代化の可能性とその障壁を一貫して追究してきた丸山の姿勢が、本書の分析的考察にも如実に現れている。(松木晃一)

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