丸山眞男講義録〈第5冊〉日本政治思想史1965

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マーケットプレイス価格:¥ 4,104 (税込)

出版:東京大学出版会
カテゴリ:単行本
ページ:327頁
JAN:9784130342056
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エディターレビュー
   本書は、1965年度に東京大学法学部で行われた「東洋政治思想史」の講義のために準備された草稿に基づくテキストで、鎌倉時代から室町末期が考察対象である。日本人を特徴づける「武士(サムライ)」の思想的背景が明らかになる。それは、平安末期から鎌倉時代にかけて、貴族主体の古代国家体制への反発として関東で勃興した、武士団を支える独自のエトスから始まる。

   武士団にも一族、一門といった血縁共同体を拡大させた概念が存在し、これは1964年度講義で示された日本人の「原型」と相似するが、本書ではほとんど強調されない。むしろ、強烈な名誉感と自負心に見られる一種の個人主義と、土地封建制に根づきながらも微細な恩義に過剰反応する感情的な主従関係が、天皇制の背後にある「原型」とは対立的に描出される。

   このような戦闘者としての生活感覚に根ざしたエトスは、儒教、仏教、神道などのイデオロギーにより鎌倉時代に「道理」を中心に洗練され、御成敗式目により法的合理化する。鎌倉末期から室町末期にかけて、武士団の構造変化が起こり、規範意識が弛緩して、実力行使の下克上の時代になり、統制的理念を欠いたエゴイズムが専横する。しかし、戦国時代に大名による武士団の分割再統合が進むと、伝統因習にこだわらない業績主義と現実主義、主体的な決断が尊重されるようになる。武芸の強調、兵法の理論化により「道理」が復活し、豪傑に象徴される原初的な武士のエトスが復活するのだ。そして「死」を想定した日常モラルや主君への絶対忠誠といった武士道のイデオロギー的集成が始まる。

   日本人の基底の1つである武士のエトスの本質と変遷を、丸山は豊富な文献史料に裏づけられた洞察により彫出している。なお最終章では、同時期における神道が、素朴な祭祀儀礼から神仏習合、神儒習合を経て、いかにイデオロギー化していったのかを、伊勢神道と『神皇正統記』の面から概観している。(松木晃一)

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