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そして戦争は終わらない 〜「テロとの戦い」の現場から

翻訳 有沢 善樹
価格:¥ 2,625 (税込)
出版:日本放送出版協会
カテゴリ:単行本
ページ:480頁
JAN:9784140813867
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で118997位
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レビュー
善悪の彼方から「あの戦争」を捉えた一冊 Date:2009-11-01
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 ニューヨーク・タイムズの海外特派員だった著者によるアフガン&イラン戦争の従軍記
・・・といった勇ましいものでは無く、戦場&戦場外(といってもエリアは限られる)で
著者自らが見聞きし体験したことに、同僚から聞いた情報(その旨は注釈として記載有)を
付け加えて記した一冊。

 大雑把に書くと前半三分の一がアフガン、残りがイラクという内容です。

 ここに戦争の正義や大義が云々・・・という話はありません。冒頭に記したように
現地での体験談です。ただ、それ故に、現地では−本当のところ−何が起きているのか?
という問いに応えてくれます。

 死が−普通の人にとっても−隣り合わせという現実。従軍しているアメリカ兵は−
当たり前のこととは言え−普通の20台前半の男の子。対する相手も昨日までは普通の
生活を送っていた一般市民・・・等の事実が詰まった一冊。

 中を開くと、憎しみが憎しみを生む事実も、明らかにされています(ここでは良い
悪いの問題では無い)。それ故に「そして戦争は終わらない」という現実を、読者の
目の前に突き付ける一冊です。
戦争の現実を教えてくれます Date:2009-10-31
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本書はイラクやアフガニスタンの危険地帯で何が起きているのかを文字通り歩いて書いた秀作だ。

最近では日本ばかりでなく、欧米の大手のメディアも戦場の取材は危険を避けるようになってしまった。だから映像にしてもペンにしても危険を顧みないフリーのジャーナリストがそこに乗り込み、大手のメディアに記事や映像を配信するという役割分担のようなものができている。大手メディアも従軍取材はするが、たいていは軍の広報官が同行する比較的安全な作戦であることが多い。

しかしニューヨークタイムズの記者として取材した著者の取材スタイルにそんな常識はあてはまらない。とにかく現場にこだわる徹底ぶりは衝撃的だ。イラクでももっとも激しい戦闘が行われたことで知られるファルージャに海兵隊の部隊と同行した際には武装勢力の狙撃兵からの攻撃を間近に受けている。著者は多くの作戦に同行して生還するが、死傷者は毎回続出してる。

さらに信じられないことに著者は武装勢力側にも同行し、米軍の戦車と遭遇したりする。アメリカ側か反米側かを問わず、カメラマンや通訳者など少数のクルーでイラクを歩き回るうちに、アメリカのスパイとして連行されてしまう。連れて行かれた先の長老がしばしの沈黙の後に「立ち去れ」と言ったので運よく解放されるが、カメラマンが後日その場に行くと処刑された遺体が数十体もみつかったという。

本書は兵士による著作と違って一方的な正義感を振りかざすことなく、ありのままの戦場を描写してくれる貴重な作品だ。そんな高揚感を感じながら読んだが、同時にこんな危険な取材をしていては幸運が永遠に続くはずがないという胸騒ぎが脳裏から離れなかった。





読み終わったあとに、「そして戦争は終わらない」というタイトルが、なるほどと思える Date:2009-10-23
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【なぜ読み始めたのか】
● 新聞の書評を見て。
● 全米書籍批評家協会賞を受賞していることや、著者の報道が「想像しうる最高の質のペン」と絶賛されていることを知って。
● アメリカが進めてきたテロとの戦いの現場を、現地で取材しているジャーナリストの視点から見ると、どう見えるのか・・・

【どんな内容?】
● アフガニスタンとイラクから、アメリカの進めてきたテロとの戦いが生々しく記述されている。確かに第一級の戦争報道。
● 死と隣り合わせの状況や、戦争によって人間性までも破壊されてしまったかのような社会の様子が、最前線の部隊に同行し、現地で自分の目で取材をしなければ書けないと思われる迫力で描写されている。フィクションをはるかに凌駕していると思う。
● 登場する人物たちのそれぞれに敬意を払っていることが感じられ、丁寧に描写されている。
● 現地で生きる人の視点からも、戦いを仕掛けたアメリカ軍側の視点からも、両方の視点から中立に書かれているように読める。

【感想は?】
● ぜひ読むべき本。世界の中には、このような現実もあるのだとういことを知ることができる優れた内容。
● うまくは説明できないが、読み終わったあとに、「そして戦争は終わらない」というタイトルが、なるほどと思える。
● このような状況のアフガンやイラクに、「民生支援」といって生半可に入っていくことが正しいことなのかどうか・・・日本の支援のあり方についても考えさせられた。
一級品の戦争報道 Date:2009-08-28
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 1998年以降のアフガニスタン及びイラクにおけるニューヨーク・タイムズ紙記者の従軍経験が21章にわたって記されています。アフガニスタンやイラクに関する書籍は、ジョージ・W・ブッシュ政権の対イラク政策非難に終始しがちですが、この本は、政治的な主張が前面に出ることなく、戦争を報じる記者の経験(その多くは新聞に掲載されることのないもの)が記されています。一つ一つのエピソードは独立しており、全体としてまとまった物語にはなってはいませんが、まるで海水の一滴に大洋の味が集約されているように、記者個人の戦争従軍経験が鋭い洞察とともに記述されていて、読者の思考を誘います。最高級の戦争報道の一つだと思います。さも分かったように戦争の全体像が描かれた書籍の胡散臭さがない点も好感がもてる理由だと思います。この本の情報は、「生きがいい」のです。

 有沢氏による翻訳はこなれており、巻末の柳澤NHK解説委員の解説も秀逸です。可能ならジョージ・パッカーの『イラク戦争のアメリカ』(みすず書房)と併読すると、イラク戦争の理解がより立体的になって、おすすめです。
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