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宇宙をプログラムする宇宙―いかにして「計算する宇宙」は複雑な世界を創ったか?

翻訳 水谷 淳
価格:¥ 2,310 (税込)
出版:早川書房
カテゴリ:単行本
ページ:280頁
JAN:9784152088727
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レビュー
視点の面白さは秀逸/翻訳はもっと努力を Date:2008-08-29
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 ビットで宇宙を語るという視点の斬新さに、半分は疑問を感じながらも面白く読んだ。
 つまりビットの視点というのは単に解釈の問題なのか、実在論的な意味合いがあるのかいまひとつわからなかったからだ。どうやら単に意味解釈の問題ではないのだろうというところまでは想像がつくけれど、量子論とも絡めながらじっくり読んでみないと、なかなかすっきり納得できるところまでは行かない。
 ところで、訳文に多用される「〜のである」「〜のだ」には少々うんざりする。「のである」は知らない相手を教え諭すという心理的な背景を持つ表現だから、やたら高みに立って「お前ら知らないから教えてやろう」とやられると、まったく辟易する。少し日本語としての配慮、デリカシーもほしい。
 ただ訳者の水谷氏、前作の『量子のからみあう宇宙』ではそんなうざったい文体ではなかったのに、一体どうしたわけだろう。1作ごとに表現はよくなってほしいものだ。
 また、非常に数字の登場が多い原作だけに、誤訳は完全に排除されているのかも気になる。万全は期されているだろうとは思うが。
「タオ自然学」とか「エントロピーの法則」を読んだ人にお勧め Date:2008-06-22
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久しぶりのニューサイエンス(かつてのニューサイエンスより新しい何か)に触れる機会を与えてくれた。量子コンピュータの仕組みと実現方法から、物理法則を情報として解釈するパラダイムへのシフトを述べている。最終的には、F・カプラの「タオ自然学」で語られていた「空間の歪み」が世界の最小単位である結論に達する。
しかし、話の内容はどう考えても「プログラムする宇宙」ではなく「計算する宇宙」だ。サルがキーボードを叩いているうちに、偶然意味のある(つまりプログラムとなりうる)ワードが発生することを何度か例としてあげているが、プログラムは文法規則や処理系の存在を前提としていることを考えると、「生命の起源」や「ことの始まり」にこのような例を用いるのはしっくりこない。サルによるランダムなキータイプがハムレットの一節を発生する確率を述べるよりは、ランダムなビットの配列が数学的に意味を持つ確率を述べるほうが、話が回りくどくなくて良いと思う。
ビットとわたしと宇宙。エントロピーと情報とか。あと世界とか。 Date:2008-02-22
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科学雑誌で見てみて、
面白そうだなー。と思ってたのですが、
実際すごく面白かったです。

面白いところは、『視点』。

今まで、単なる"物"の現象としか思われていなかった物理に、
"情報(ビット)"の概念で立ち向かう。

10とか、00とかの、二つのビットで、マクスウェルの悪魔が、
本当に単純に、綺麗に、説明されてしまうあたりなんかは、本当に目からうろこな状態でした。

『全くの外野』から見れば、エントロピーの割合は減らない、ってことの説明も
ビットを使えば分かりやすく概念が説明できる!

後は、『タイプライターを叩く猿』っていうより
『プログラミングのキーボードを叩く猿』ってモデルの方が
適切(物理現象説明できる)じゃね?
ってところとか
―円周率πとか、ネイピア数eとかって、適当な計算"法則"組んでたら出やすい(連分数のパターンを始め、公式のパターン数が半端無い)ですよね―。

『「宇宙=コンピューター」とかしてやったら、
結局どのくらいの性能な訳?(どんくらいで再現できる?)』っていうところとかも秀逸でした。
・マーゴラス=レヴィチンの定理とかから、
『結局のところ、電子や原子の移動とか反応(を計算と見てやると)は
使えるエネルギー量に比例する』
んでもって、
・現在の宇宙全体で、そうゆう粒子の反応(計算)できる総数は、
ざっくり見て
10^92(1000億の10億倍の10億倍の10億倍の10億倍の10億倍の10億倍の10億倍の10億倍の10億倍)ビット(量子重力も考慮したら10^122ビット)
に対して10^122回の計算(反応)が出来るに過ぎないと見積もってます。
(著者は、「え?これっぽっち?」みたいなことを書いています―もっと大きな数を想像してたんです。)

「そう、それっぽっちだ。
宇宙の歴史にわたって、これ以上のコンピューターは存在しない。
だが、それで十分である。
量子コンピューターは、物理系をシミュレートできるパワーを持っているので、
10^92ビットに対して、10^122回の演算を実行できる量子コンピューターなら、
われわれの『観測できるすべてのものを』計算できるエネルギーを持っていることになる・・・・・」

面白いです。量子コンピューターの作り方から(著者は実際に作ってます!)、エピソードまで。万人に・・・とは行きませんが、乱読でも
かなり面白いところ多いし、情報でみる世界観とか楽しかったです。
僕はぜひ、勧めます。
読む人の知識量にすごく左右される内容だと思います。 Date:2008-01-09
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日経サイエンスでベタ褒めの書評があったため、
購入してみました。

著者の書き方の問題なのか、
翻訳上での省略などがあったのかわかりません。
とにかく、他の一般科学書と比べても、
読者の知識量にとても左右される一冊だと思いました。

メインテーマである「ビットで物理現象を解釈すること」について、
理解を助ける情報が省略されていることが多々あり、
その他方で、
原子の構造や、光の二重性を示すスリットの実験など、
よく知られた話題の解説は親切すぎる感じです。

たとえば、ある部分では
「風船のヘリウムガスは20ビットの情報を持つ」
として登場し、議論を展開していきます。
しかし、それがどうして、10でも30でもなく、20ビットなのかよくわかりません。

一応、付近にはなんとなく「粒子数が6×10^23個」という数字はあります。
でも、なぜ風船一個の粒子数はちょうど1モルぐらいと言えるのか?
あるいは粒子数のオーダーが多少違っても議論に影響が無いからラフなのか?
論拠の数字には同様の不透明さが各所でつきまといます。

おそらく、知識の深い読者が読むと、
こうした議論の整合性も、たちどころに理解できるのでしょう。
でも、ビットで物理を考えるのに不慣れな私としては
そこを懇切丁寧に進めてほしいところでした。

それでも全体を読みすすめれば「ビットの変化と第二法則の関わり」などが
薄らぼんやりとわかったつもりになれるようなムードではあります!
また「量子コンピュータ」の理解と、これまでに考えもしなかった「新しい宇宙像」が、
霞の奥から少しずつ浮かび上がって掴めそうになる感覚を覚えることもできます!

たぶん良書なのでしょう。30%未満の理解でも観点の面白さは伝わります。
私のような頭の鈍いサイエンスファンは、★2つくらいにしておきます。
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