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万物を駆動する四つの法則―科学の基本、熱力学を究める

原著 Peter Atkins , 翻訳 斉藤 隆央
価格:¥ 1,680 (税込)
出版:早川書房
カテゴリ:単行本
ページ:174頁
JAN:9784152090072
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で271363位
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レビュー
熱力学の深さを学べる Date:2009-11-20
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この本の深さは,熱力学を学んだことのあるものにしか理解できないであろう.
一般的な熱力学の教科書は,その目的から,表面的な内容となり,数学的に難しくないが,式の変形が多くなってしまう.
別の標準的な教科書で学んだ後,この著作を読むとその深さを知ることが出来る.
「熱力学を学ぶ人のために」「なるほど熱力学」「ゼロからの熱力学と統計力学」などをお勧めする.
また,アトキンスの別の著作もお勧めである.

なお,準静過程のみが可逆過程過程なので,とくに一般書では,これを区別する意味はない.
また,熱力学の第2法則は理想気体以外の全ての物質,もっと言えば物質以外でも,成り立つ法則なので,
これを基に否定するのは単に無知なだけである.

やはり,熱力学を学んだ後でなければ,この本を理解できない.

熱力学第2法則は誤りである Date:2009-05-30
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熱力学第2法則=エントロピー拡大の法則は、エネルギー(エントロピー)移動の方向と物質の安定性に関する法則である。重力の無い状態における、全く互いの力が働かない理想気体の分子を仮定し、分子が多数集合し十分な時間を経過すると、統計力学的に最終的にエントロピーが大きい無定形、無秩序な姿で安定すると言うクラジュウスが数式で導き出した法則であるが、都合の良い条件とファクターを設定し、都合が悪い条件とファクターを排除して導き出した数式であり現実と大きく乖離している。
エントロピーが無限に増大する事は無い。自然界の物質のエントロピーは拡大も縮小も有限であり、ある範囲内のエントロピーで物質は安定化する。現在、熱力学第2法則は存在しないと考える人は少数であるが、将来は正しい考え方になる。宇宙のエントロピーは増大し続ける事は無い。宇宙のエントロピーはある限界まで増大し宇宙は安定化する。または宇宙のエントロピーは縮小し、ある限界まで縮小すると安定化する。
「熱はエネルギーの一形態ではない」って、いったい? Date:2009-04-04
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「熱はエネルギーの一形態ではない」という記述に、びっくり!みなさん、この意味を、ちゃんと説明できますか?

実は、友人に紹介されて、まだ、借りたまま、読んでいる途中。

四つの法則とは、0番から始まる熱力学法則のこと。3番まである。

0.AとBが熱平衡をなし、BとCが熱平衡をなすとしたら、CはAと熱平衡をなす。

1.孤立系の内部エネルギーは不変である。

2.熱源から取り出された熱が、すべて仕事に変換されるような循環過程はあり得ない。(他の表現もある。)

3.循環過程を有限回繰り返しても、物体を絶対零度まで冷やせない。(他の表現もある。)

熱力学のマクロな立場と、統計力学のミクロな立場とを、随時対比させながら説明するスタイルをとっている。

内部エネルギーやエントロピーだけでなく、エンタルピー、自由エネルギー(ヘルムホルツ・エネルギー、ギブズ・エネルギー)も登場する。一般向けの科学啓蒙書とは違って、本格的だ。

系(着目系)と環境とのエネルギーのやりとりを、税金の支払いと還付にたとえて説明している点は、興味深い。ルジャンドル変換と言うコトバは登場しない。熱力学の教科書を読んでも、エンタルピー、自由エネルギー(ヘルムホルツ・エネルギー、ギブズ・エネルギー)、ルジャンドル変換といったものの意味が分からなかった人には、この「税金の支払いと還付のたとえ」が理解のヒントになるだろう。

ヘルムホルツの自由エネルギーが、記号A、で表記される。記号Fに慣れてしまった評者(nobi)には、少し、違和感がある。Fは、たぶん、自由のfreeから来ているのだろうが、Aはドイツ語の仕事を意味するArbeit(アルバイト)から来ている、とのこと。

ちなみに、エントロピーの記号には、S、が使われる。これは、熱力学の分野で、まだ未使用だったアルファベットを、クラウジウスが選んだもの、とのこと。S、という形から、変化中というイメージを狙ったらしい。確かに、P(圧力)、Q(熱)、R(気体定数)、T(温度)、U(内部エネルギー)、W(仕事)は、みんな使われしまっていたのだなぁ。

温度の逆数について、繰り返し語られる。(逆温度というコトバ、あるいは記号Bはもちろん、エントロピーの示量変数表示を内部エネルギーで偏微分したものという定義も一切、登場しないのだが。)温度よりも、温度の逆数の方が、より自然な尺度であり、負(マイナス)の絶対温度を考えるときも、温度の逆数で考えた方が自然である、とのこと。ボルツマンが、ファーレンハイトやセルシウスよりも先に成果を出していたら、人類の温度認識は逆転していたであろう、とのこと。

このレビュー冒頭のクイズ、「熱はエネルギーの一形態ではない」の意味を、ここで解説しておこう。

一般的なコトバとしての熱は、「熱する」という動詞だったり、「熱が流れる」というときの名詞だったりするが、どちらも何かの実体を想定している。熱には、実は、実体がない。あるのは、エネルギーの移動というプロセスだ。エネルギーの移動のプロセスにはいろいろな種類があるが、熱は、その中のひとつ、ということである。繰り返すと、「熱はエネルギーの移動の仕方」、である。

著者は、「熱」を例にして、一般的なコトバと、厳密なコトバの混同に十分注意すべきである、という注意を喚起しているのである。

同様なコトバへのこだわりは、「可逆」の説明でも、注意深く行われている。詳細は、著書を参照願いたい。

しかしながら、評者には、「可逆」に関する著者の説明に、いささか疑問を感じた(それで、星ひとつ減らして、4つにした)。

著者による「可逆過程」の説明は、準静的過程の説明になってしまっている。熱力学における可逆過程は、断熱環境における可逆性の有無で定義するのが標準的だ。可逆過程が、実質的には準静的過程で実現できるとしても、概念レベルが異なる。可逆過程がやりたいこと、準静的過程がそのやりかた、というレベルの違いがある。この著者による可逆過程の説明には、概念レベルの区別がないばかりか、断熱環境という重要な条件が欠落している。

さらにいうと、「(おそらく等温環境における)準静的過程(著者が言うところの可逆過程)において、外部に取り出す仕事が最大になる」、ということ(いわゆる最大仕事の定理)が、自明の理として、導入されている点が、気になる。熱力学第二法則との関係は説明されていないのだ。

気になる点はいろいろあるが、価格(税込み1680円)以上の価値がある、よい参考書だと思う。自分用にも、アマゾンで発注した。自分の本が届いたら、借りて読んでいるのは友人へ返すつもり。
「熱力学第2法則を知らないのはシェイクスピアの作品を読んだことがないようなものだ」(C.P.Snow) Date:2009-02-28
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アトキンス先生が熱力学第0法則〜第3法則のキー・ポイントを手短に解説した入門書です(約160頁)。従来のマクロな視点だけでなく、原子分子のミクロな視点・統計力学的な視点(ボルツマン分布: exp(-βE) = exp(-E/kT)、エントロピーの表式: S = kln(W))も適宜交えながら解説しています。熱力学〜統計力学を学んでいる学生が本書のような副読本を読めばパッと視界が広がるかもしれません。「大学教養時代に熱力学を習ったけれども、いまいちスッキリしなかったなぁ」という方にとっても丁度良い内容レベル&分量でしょう。(統計力学の話は"天下り"だったりするので、全くの初心者には少しキツイかも? 量子論にも馴染みがある方が良いでしょう)

本書を読み通すと、熱力学に関するアトキンス先生の"思索の深さ"を味わうことができます。具体的な数値で捉えようという姿勢が所々で窺える処、アナロジーも援用して理解を深めようとする処が良いです。エントロピー(S)を「蓄えられたエネルギーの"質"の尺度」、エントロピーの変化(ΔS=ΔQ/T)を「賑やかな雑踏でのくしゃみ(ΔS 小)と静かな図書館でのくしゃみ(ΔS 大)」と例える説明(*1)は参考になります。(統計力学では「Sとは"乱雑さ"の尺度」と説明される訳ですが、実は上の"くしゃみ"の例えとも繋がります) 「T(温度)よりβ(=1/kT)の方が基本的な温度の尺度である(*2)。絶対零度実現の原理的困難や負の絶対温度(T<0)の概念も、βの視点からは自然である」もユニークですね。"温度"(エネルギー状態の占有数の分布を示す変数)の理解が深まるとエントロピーの概念や「T→0のときS→0&熱容量→0(∵揺動散逸定理)」などの法則も自然に思えてきます。

本書ではまだ物足りないという方は「ガリレオの指」「エントロピーと秩序」「冷蔵庫と宇宙」をどうぞ。(これらの本を既に読んでいる人には本書は物足りないかも? 上の(*1)(*2)はこれらに既出) 温度に関する読み物としては「温度から見た宇宙・物質・生命」も良いです。
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