「坂の上の雲」と日本人
価格:¥ 1,800 (税込)
出版:文藝春秋
カテゴリ:単行本
ページ:291頁
JAN:9784163680002
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で253404位
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レビュー
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「坂の上の雲」をより深く味わいたい方へ Date:2008-06-28 おすすめ度 ![]() 本書は司馬遼太郎の小説「坂の上の雲」の背景にある、近代日本の青春期といえる明治日本、さらに司馬その人に関する薀蓄を、これでもかというほど堪能できる、司馬作品が好きな読者にとってはたまらない本だ。一応「坂の上の雲」のストーリーに沿った構成になっているが、全体が司馬の歴史小説にしばしば出てくる「閑話」の続きのようでもあり、「坂の上の雲」を読んだあとにその解説書として味わうのが最高でしょう。個人的には、司馬が1960年代末期に過激化した学生運動について、「彼らは国家の軽さにとまどってあばれているのだ。」と指摘しているのにはなるほどなあと思った。 |
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「坂の上の雲」を解き明かす Date:2006-04-20 おすすめ度 ![]() 国民文学「坂の上の雲」の問題点を丁寧に解き明かした読者に親切な新刊である。「です」「ます」調の文体も親しみがもてる。 子規の幼なじみの秋山真之は対バルチック艦隊の作戦を考案しました。その兄好古は日本に騎兵という概念を持ちこんで、満州戦線では強悍なコサック騎兵集団とわたりあって、「かろうじて潰滅をまぬがれ、勝利の線上で戦いをもちこたえた」人です。特に秋山真之は天才といわれました。事実、物語の後半では、天才らしくえがかれた部分もあります。 しかし、司馬遼太郎は彼らは天才ではないというのです。時代の人、普通の人だというのです。(中略) こういう時代とその時代精神を、この作品で書きたかったのだと思います。その意味で、三人の青年をえがいて同心円状に広げていったら日露戦争につきあたった、といういいかたは、やはり彼の本意なのです。 興味の持てる内容をピックアップして紹介しているところもおもしろい。日本近代文学史に俳句・短歌の革新の足跡を残した正岡子規。食欲旺盛な晩年の子規…明日死ぬかもしれないのに、痛がりながらも食べ続けたのは、病気によって満たされなくなった表現欲が食欲に転化したということではないのか。「鰯十八匹」「西瓜十五切れ」これだけの質量を、親の仇のように食べたという(雅) |
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関川教授の名講義・最良の作品案内 Date:2006-04-14 おすすめ度 ![]() 大学の先公(by故・安原顕)もしている関川夏央氏が若い人への講義調で語る『坂の上の雲』論。 『坂の上の雲』に書かれてあることはどの程度「史実」なのか?というのは愛読者ならばこそ抱くであろう疑問だが、本書のかなりの部分は「旅順攻防戦の乃木大将は愚将」「日本海海戦はT字戦法で勝った」などの司馬遼太郎が戦後日本の「知識的大衆」に再紹介することで定着するに至った説の再検討にあてられる。そして微妙な乖離や「司馬史観」的断定を指摘することで、司馬文学をかえって称揚することに成功している。 日露戦争への歴史的研究自体、この司馬遼太郎の長編小説のヒットによってはじめて活気づけられ、小説執筆時は利用できなかった新史料の発見や再解釈がその後陸続したことが指摘される。―このあたりわが国の歴史教師ギルドは猛反発するだろうが、でも実際そうだったんだから仕方がない。―「史実」や新しいヨリ合理的な解釈と小説の描写とに乖離があるのは、作家や作品にとって決して不名誉なことではないのだとわかる。 司馬遼太郎と藤沢周平を殊更に対比的に扱い、前者のファンに保守党政治家や経営者が少なくないのを作家や作品の瑕疵のごとく何やら意味ありげにあてこする佐高某などとは、広義の「司馬便乗本」といっても志が違うであろう。 ただし本書の多くの議論は、他の人の説の咀嚼ないし受け売りでもあるので、新情報だけを求めるとどうでしょうか。いわゆる関川節のファン以外にはその点でどうかしらと思いました。私はファンなのでどうということもありませんし、これを機会にさらに多くの人たちが魅惑の関川節に浸れと思いますが。 |


