陰陽師(おんみょうじ) (文春文庫)

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マーケットプレイス価格:¥ 594 (税込)

出版:文藝春秋
カテゴリ:文庫
ページ:333頁
JAN:9784167528010
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エディターレビュー
   主人公の安倍晴明は、平安中期の天才「陰陽師」。陰陽師とは、簡単にいえば占い師なのだが、陰陽道にのっとって、呪術を操り天文・暦学をつかさどる専門職だ。彼の行ったことはあまりにも不思議な部分が多いので、いろいろな古典に取りこまれている。そのつど、多少なりとも作り話が加わるので、結果として「安倍晴明ワールド」というべき伝奇ロマンが中世以後形成されている。

   本書に収録された6つの短編も、連綿と続くその伝奇ロマンの一片。鬼や死霊、生霊などさまざまな「ものの怪」が登場するが、彼らがものの怪であることには、それなりの理由があるのだ。人間をたばかり、殺すことだけが彼らの目的ではない。この世に「怨み」があるから、ものの怪は存在するのである。

   安倍晴明は、そんな彼らを退治することはしない。ものの怪の存在理由を明確にし、彼ら自身を納得させるのである。派手な活劇は登場しない。「蟇」では、我が子を殺された両親の怨みを、「鬼のみちゆき」では、男に捨てられた女の怨みを、晴明はじっくりと聞く。そして彼らの怨念を解きほぐしてやるのだ。

   決しておどろおどろしいストーリーではない。むしろ、知らず知らずのうちに「怨み」を生んでしまう人間の哀しさが、一編一編の話からにじみ出ている。陰鬱(いんうつ)でもない。各話中で交わされる、晴明と博雅の会話が実にひょうひょうとしていて、ときにおかしさを物語に添えているのだ。

   哀しさとおかしさの真ん中で、安倍晴明が涼やかに平安の人間と闇とを見つめている。(文月 達)

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