転がる香港に苔は生えない (文春文庫)
価格:¥ 1,040 (税込)
出版:文藝春秋
カテゴリ:文庫
ページ:623頁
JAN:9784167717070
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で46782位
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エディターレビュー
ノンフィクション作家であり、写真家でもある著者は、香港の中国返還の瞬間(1997年7月1日)を体験するため、2年にわたって香港で暮らした。観光客が足を踏み入れることのない下町の古アパートに居を定め、生活者の立場で香港と向き合ってじっくりと観察した。そこから生まれたのが、第32回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した本書である。受賞発表後の記者会見で、著者は「子どものころから中国に興味があった。大学生で1年間香港留学もした。返還は自分にとって大事なことだと感じていたから、人から聞かされるのでなく、自分自身で体験したかった」と香港に住んだ理由を説明している。
もちろん、返還は本書の重要なファクターだ。しかし、そこだけに焦点を当てたドキュメンタリーではない。むしろ、およそ返還とは関係なさそうなエピソードにこそ、この本を読む楽しさがある。たとえば、著者が飲食店で働く美少年に興味をひかれ、なんとか彼に近づこうと努力する話。あるいは、仕事を得るために白髪を染めた中年カメラマンが仕事と一緒に若い彼女を手に入れた話。また、地下鉄に乗り込んできた家族が、幼い息子の活躍によって次々と席を確保していくありさま。返還があろうとなかろうと、たくましく暮らさざるを得ない香港人こそ本書の主役といえるだろう。
他の著書に、本書と対をなす写真集『ホンコンフラワー』、デビュー作の『謝々! チャイニーズ』とその姉妹編である写真集『華南体感』がある。(松本泰樹)

