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猫のパジャマ

原著 Ray Bradbury , 翻訳 中村 融
価格:¥ 1,890 (税込)
出版:河出書房新社
カテゴリ:単行本
ページ:316頁
JAN:9784309204857
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で124484位
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レビュー
泣きのメロディーは,まだまだ進化している Date:2009-02-22
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 まあ天才ですよこの人は。文章からストーリー運びから全て洗練されていて,優雅で,オシャレで,読んでる途中で思わず「うほっ」と唸ってしまう。何だこの人,と。これが年齢の重みなのだろうか。一話一話に結構質的ボリュームがあるから,ロードムービーのようでありながら,単なる体験で終わらないのだ。初っぱなの「さなぎ」から青春フルスロットル。友情の美しさに胸を鷲づかみにされて,友だちと海に行きたくなる。また「雨が降ると憂鬱になる」で魅せる高い芸術性。一夜の幸せは作者のものだが,読者も味わったような強い陶酔感を感じる。最後の一文に宿る魔力は,作者の熟練された腕がもたらしたものだ。ちょっとセンチメンタルな気分に浸りたいときにオススメの一冊である。

 余談になるが,僕はこれを図書館で借りて読んだのだが,あの薄っぺらいラミネート加工みたいなのが施してあって,この本の「ネコの耳」なるものが見られなかった。「この本には耳があります」とか書いてあるのを見て「意味わかんねえ」と思っていたら,カスタマーイメージで耳を見ることができた。便利ですね。
ピンピンしているし、書いている Date:2008-07-01
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今年で御歳88歳のブラッドベリの最新短編集(上梓したのは2004年だけど)。
いやもう、「ピンピンしているし、書いている」なんて
ユーモアとアイロニーたっぷりな序文タイトルに、読む側は降参するしかない。
古い作品(1940〜50年代)と新しい作品(2003〜4年)が入り混じっているが、
この人の辞書に「枯れる」という言葉はないのだろうか。
年代の違いを感じない。この安定した筆力!

相変わらず、ぞくっとするようなお話もあれば、ほのぼのと心が温まるような一遍もある。
「珠玉」というコトバが、ブラッドベリほど似合う人をわたしは他に知らない。
毎晩、お休み前に大切に一篇ずつ読み終えていくのにふさわしい。
一気に読むのがもったいない感じ。

が、個人的には、すごーくどうでもいいことなのかもしれないけど、
「!?」と「?!」表記が入り混じっているのが気になってしかたがなかったのと、
「バカ」という表記が「莫迦」となっていたのがなぜかひっかかった。
とはいえ、今読んでいる別の本でも「バカ」は「馬鹿」ではなく「莫迦」なので、
これが今のスタンダードなのかもしれない。いや、どうでもいいですな。

ところで、この本のカバーには耳がついている。
これがまたカワイイので、ぜひ実物を手にとっていただきたい。
なかなか耳を出して読む勇気は出ないが、
なんだか小さな秘密を手にしているようで、楽しい気持ちがした。
こういう洒落っ気、大歓迎。
ブラッドベリの魅力を詰め込んだ玉手箱 Date:2008-04-02
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1946〜2004年と各年代に書かれた短編を納めたアンソロジー。

オススメポイント その1.
装丁(カバー)がキュート!(販売戦略にまんまと載せられてしまった…)
イメージを拡大すればおわかりの通り 本を開いて折り込まれた耳を立てれば黒猫登場!
カバー裏の黒猫を抱いた著者近影(?)もいい感じ。

オススメポイント その2.
ブラッドベリのいろいろな魅力をたっぷり堪能できる。
作品の価値は その長さではないコトを示す典型例。
様々な味わいの作品群にブラッドベリの脳裏を去来するイメージの断片を垣間見る気がする。
以下は 個人的に気になった作品。

さなぎ : 原題は Chrysalis(さなぎ、準備期、過渡期)。人種差別問題を絡めた黒人少年と白人少年の一夏の交流。
「有色(黒色)人種も日焼けするのか?」という素朴な疑問がモチーフ。
一般的には思いもつかない疑問。思いつくために必要なのは 自分と異なる立場への想像力!
その想像力を働かせるものについて考えてしまった。昨今の不幸な出来事の大半は想像力の不足が一因ではないかと…

屋敷 : 現実はひとつでも それを見るための窓はいくつも存在する。
窓には様々な色ガラスがはめられているが どの窓を選ぶかは個人に委ねられている。
現実をどのように受け取るか どのように行動するか は個人次第の面もあり。

猫のパジャマ : 表題作はちょっとオシャレな大人のおとぎ話。ほんわかシアワセな気分になれる。
ただ原題(cat’s pajamas:すばらしい人・ものを意味する俗語)に相当する日本語が思い当たらないため 正確なニュアンスを掴めないのがもどかしい。

変身 : 1940年代のアメリカの雰囲気・状況をよく伝えている。(と思う…実際は知らないが…)

島 : 三角関係 : 日常生活の中から切り取った現実の一断面。
平穏に見えても 霧が晴れたら断崖にいた…というようなドキリとする話。

おれの敵はみんなくたばった : 長寿の一側面に光を当てた小品。
長く生きるとは 自分の感情を強く揺り動かすもの(人・記憶)をひとつずつ失っていくこと…
2003年83歳になったブラッドベリが呟く真実。

完全主義者 : このような完全主義者が世の中には多くいるのだろう。
様々な事件の病根の一端に触れた気がする。
軽やかに時を駆ける吟遊詩人ブラッドベリの最新短編集。 Date:2008-02-03
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1920年生れで高齢の今も活躍を続けているSF界の吟遊詩人ブラッドベリの最新短編集です。本書には1940〜50年代頃に書かれて発表されず自宅の地下に埋もれていた原稿と最新の2003〜04年執筆の作品が収録されており、ほぼ新旧交互に配置する並びになっていますが全く違和感なく読み進められます。一読して感じるのは、その軽い文体の読み易さで、内容的にはSF的設定は少なく普通小説が大半だという事です。テーマは男女の関係・人種問題・時間旅行・幽霊・異星人etcと多岐に渡り、決して深刻にはならず軽やかにユーモラスに描かれています。近年の作品の特徴としては、ノスタルジックな傾向が強く人生の晩年を迎えた著者の感慨が感じられます。全21編の内の私のお気に入り5編を紹介します。『さなぎ』黒人少年と白人少年のひと夏の友情物語でビーチでの日焼けが発想の素です。『酋長万歳』酔っぱらった上院議員がインディアン・カジノの支配人とアメリカを賭けて負けたら、というお話。『猫のパジャマ』深夜の道路で見つけた仔猫に同時に両側から飛びついた男女が、双方自分の物と主張して譲らず・・・・。『趣味の問題』とても友好的な異星人と遭遇した人類だったが、ただ一つの問題は相手が蜘蛛にそっくりな点だった・・・・。『雨が降ると憂鬱になる(ある追憶)』時間と記憶と歌にまつわる一夜が誰の人生にもある。それは一度きりで甘美な記憶は死ぬまで色褪せない。
著者の愛情のこもった冒頭の『序文−ピンピンしているし、書いている』では自作の成立に関わるプロセスを懇切丁寧に解説されており、老いても尚衰えない情熱に感動させられます。
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