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枯木灘 (河出文庫 102A)

価格:¥ 599 (税込)
出版:河出書房新社
カテゴリ:文庫
ページ:312頁
JAN:9784309400020
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で21805位
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レビュー
自分の背景がなければかけないし、同じ背景を共有してるから何かかんじるんだろう。 Date:2009-12-14
おすすめ度
衝撃的な内容。近親相姦、白痴との姦通、、なんでもあり。
中上健次に本来ふれてほしい人にこの本は届かないというもどかしさ。
日本文学だとか文壇だとか狭いインテリだけが共有してよい財産ではない。

読者は内容をきちんと理解して読み進めたか?
クドいほど同じ内容を繰り返してくれなければ
他の作品と同じように読み進めることはできない。
悩みはズルズル何度も何度もどうしようもなく繰り返す。
関西弁の会話文は理解できるか?
最下層の市井の人々はまことに自分勝手にしゃべって
それで会話が成り立ってるようにしているだけ。
適当に読み進めてかまわない。雰囲気だけ感じられたらよい。





日本近代文学最後の文豪 Date:2009-10-17
おすすめ度
中上健次の小説を読むのはこれが最初ですが、現在までに3回ぐらい読み直して、今後恐らく再び読み直したいと思う小説の一つであります。
彼の生前を全く知らなかった私は中上氏の没後10年以上も経ってから彼の事を知りました。
インターネット上で検索して拝見することが出来る彼のエピソードや、彼と交流のあった村上龍氏や柄谷行人氏などの
作家や批評家などの対談や回顧録を通じてどんな方だったのかを追っている最中です。
今年の五月にはオートバイで枯木灘を通って新宮市に向かう旅をしました。
にわかファンなので他の作品との対比としてこの作品を批評する事は今現在は不可能です。

この作品で登場する主人公秋幸は恐らく中上健次自身を投影したと思われます。
(間違ってたらごめんなさい)
兄の自殺など、中上氏と類似するエピソードが描かれているだけではなく、紀州の最果ての地新宮、路地と中上が呼んだ被差別部落、複雑な血縁関係なども盛り込まれているからです。
それがどのように、どういう風に描かれているのか?

盛り込まれた事柄のお互いの関係性を可視化するのならば、
それらの関係性を取り結ぶ糸はとても細くて鋭利な刃物のように、少しでも触れれば切れて血が出るほどに
細くて鋭い糸で出来たものが最大限に伸張し、そして切れそうで切れない。そういった危ういバランス上の上に
構築されていると思われます。秋幸が秀雄を殺害する事によってその糸は最大限に伸張し、いったんそこでプツンと切れます。
その地点がこの物語の最高点です。そこを基準点にし、前半、後半、と分ける事が可能だと思います。
前半はそういった関係性の緊張が高まりつつある様子を様々な出来事から描き出し、その到達点に一気に駆け上る形で向かいます。そこにいたるまでにも沸点はいくらかありましたが、実現するという形の到達点は唯一そこだけです。
後半はその沸騰が嘘だったかのように静かに終わっていきます。
龍造の不気味さは秋幸の秀雄殺しによって止めを刺されます。到達点以後、龍造は反省してしまい、
しおらしくなります。そして静かに物語りは一旦終わります。

何が凄いのかというのは未だうまく説明する事は出来ませんが、読めば凄いというのが分かると思います。
分からない人はあきらめずに3回ぐらいは読み直したほうがいいかもしれません。
僕も初めて読んだ時は何が凄いのか分かりませんでした。
噛めば噛むほど味が出る、そういう小説なのでしょうか?
中上健次を読もうと思う方は必読だと思います。

彼の死を境にして、日本近代文学はどうなったのかは私には分かりません。
中上の死はある意味、枯木灘の秋幸の秀雄殺しのような一種の到達点ではないだろうか?
日本文学は現在どうなってるのかはよく分かりませんが、そんなおかしな妄想を抱きながらまた枯木灘を読みたいと思います。
日本文学は、ようやくドストエフスキーに比肩しうる作家を輩出しえたか Date:2008-12-12
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この作品の読後感は「カラマーゾフの兄弟」と同じ大きさであった。
「七人の侍」を観終わった後と同じ大きさ、とも言えるだろうか。
そういう比較がナンセンスなのはわかっているが、
この日本が誇るべき作家と作品を、声を大にして喧伝したい欲求にかられてしまう。

複雑で不可避な血縁にわざと背を向けるように、
主人公の秋幸は毎日太陽の光を受けてツルハシを振るうことに喜びを見出す。
単調な繰り返しが、秋幸にとっては心臓の鼓動のように、自分が生きている証となりうる。

だが、日々の単調さから来る充実も、あるきっかけで、
本来の秋幸の感情が、まるで昆虫が脱皮するように秋幸の表皮が破れて、
秋幸の真の性情が表出する。
個々ばらばらだった物や人が、一気に秋幸の肉体に向かって凝結し、
血や土地によって元から秋幸の肉体に刻印されていたかのように
人間の宿命が秋幸の姿かたちとなって浮き出される箇所は、
人間の存在意義や歴史や運命といった、人が背負って抗うことのできない業(ごう)が
秋幸という一個の人間を媒介として可視的な形となり、
作品から迸り出て読者であるこちら側に伝染し、
読者自身の心の葛藤となって心臓をつかみ、読んでいて体が震える。
まるで人間を、血管の1本に至るまで、その存在を透かし見たような興奮。

私は今でも、中上が生きていたらノーベル文学賞を授与されたはず、と確信する。
すごい本 Date:2007-08-18
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 レビューにも日本文学の最高傑作と書かれている方があって、それならばと読んでみたのだけれども、確かにものすごい完成度の高い作品だと思う。自分の中では今まで読んできた小説の中では絶対にベスト3には入る。ただの近代私小説よりは構成でも印象でもこの本の方が格段に上だ。
 所謂性とか暴力、複雑な血縁関係の中から生じる苦悩などを描き出した作品。複雑、と言っても一通りでなく、従来のメロドラマの離婚・不倫・妾の子などが何重にも重なっており、ほとんど網のになっている。そこから感じる苦悩や、兄弟内の事件、自分の本当の父の肖像などが何度も繰り返し(くどいほど)語られ壮絶な中に生きる主人公の姿が目に見えてくるようだった。すべてを忘れるために土方作業に打ち込む時の鮮烈な描写も忘れられない程インパクトが強い。主人公のやりようの無い思いも簡潔な文章でありながら、ひしひしと伝わってくる。
 似た様な小説は石原慎太郎氏なども書いているが、血縁関係などをからませる中上健次氏の文章の方が私は好きだし、印象深いと思う。日本人必読、とはさすがに言わないけれども、日々の生活に不満や憂鬱を感じている人などには同感できるのではないかと感じた。興味がある人は勿論読んでみるといいと思う。
枯木灘 Date:2005-06-22
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何故その本を買ったのだろう?南紀での仕事があり、新宮の関係者に挨拶に行った。あの辺で仕事をするには、そんなもんだと言う。まあ、大阪でも事情はたいして変わらない。大阪から新宮まで4時間以上かかる。枯木灘の海を見ながらその本を読もうと思った。海際は風が強く木が枯れてしまうので枯木灘という。

中上健次という作家がその題名の本を書いてることは知っていた。行きの電車では海の景色を見ていた。海際まで山はせまり、平らな所はほとんどない土地だ。白浜を越え、すさみから紀伊半島の先端、串本までの海が枯木灘で、串本から東の海が熊野灘という。帰りの電車でその本を読みはじめた。大阪に着いても読み終わらないので家に帰っても読んだ。午前3時をまわっていた。

本を読むことは、それを書いた人と会話することだった。読みながら絶えず「お前の話よ」と喉元にナイフをつきつけた。自分のことであれ、他人のことであれ、その本は今まであったすべてのことを思い出させた。この土地に生きながらこの土地に帰ってきたことを思い起こさせる。何日かたってその作家の生前の写真を見た。少し間違っていた。この人はナイフなんか使わない。

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