ゲノムが語る23の物語

原著 Matt Ridley , 翻訳 中村 桂子 , 翻訳 斉藤 隆央
価格:¥ 2,520 (税込)
出版:紀伊國屋書店
カテゴリ:単行本
ページ:424頁
JAN:9784314008822
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エディターレビュー
   人間の設計図である「ヒトゲノム」。この暗号ともいえる塩基配列がすべて解読された。本書はこの歴史的な結果を受け、気鋭のサイエンス・ライターによって書かれた作品である。

   著者は、ヒトゲノム(=ヒト遺伝子の完全なセット)を「われわれの種と生命誕生以来の祖先の歴史を物語る『遺伝子語』で書かれた変転と創造の記録」と説明している。また、まえがきにおいて本書をゲノムに見立てて、各章を「染色体」、その中の物語を「遺伝子」、これらを構成する各単語を「塩基」と表現するなど、既存のヒトゲノムに関する作品とは異なったユニークな切り口で読む側の興味を引きつけている。

   ヒトゲノムは性染色体も含め、全部で23対の染色体に収められている。著者はこのそれぞれの染色体の上の、最も興味深い遺伝子の1つに注目した。そして、その遺伝子にまつわる、人間を取り巻くさまざまな問題(医学、生物学、言語学、心理学…)をまんべんなく、丁寧に解説している。

   一般的にヒトゲノムの解読は、難病の解決など医学の分野での応用が期待されているのが現実である。しかし、著者は再三「遺伝子は病気のためにあるわけではない」と述べており、医学以上に遺伝学にとって価値のあることだと考えている。そして、この「記録」を解き明かしていくということは、人間の過去を、そして自分自身を知ることにつながっていくのである。

 「ヒトゲノム」に専門的で近寄りがたいイメージがあるのも事実であろう。しかし、本書を手にすれば、ゲノムが少し身近なものに感じられるようになるかもしれない。(冴木なお)

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