不可能な交換

原著 Jean Baudrillard , 翻訳 塚原 史
価格:¥ 15,021 (税込)
出版:紀伊國屋書店
カテゴリ:単行本
ページ:222頁
JAN:9784314009065
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エディターレビュー
   消費社会や湾岸戦争などの解釈に、独特の哲学でインパクトを与え続けてきた著者のジャン・ボードリヤールは、21世紀の混迷する世界を考えたときに、その言説が最も気になる人物の1人であろう。本書は、『完全犯罪』(英題『The Perfect Crime』)以降の著者最新の思想書であり、とりわけ同時多発テロの思想的背景を予見したテキストとして注目できる。

   著者はまず、世界が不確実になった理由を「世界の等価物はどこにも存在しないからであり、世界は何ものとも交換されないからだ」と説明する。主体と客体、善と悪、現実と幻想といった「等価交換」「均衡の原則」で機能していた世界が崩壊したこと、または仮想現実により消滅した「現実そのもの」。これらが不確実性を生んでいると見るのだ。著者はこの考えから「投機的無秩序の段階に突入する」世界をさまざまに描き出している。 

   たとえば個人としては、「学校、メディア、大衆文化と情報を通じて、人々はたがいに均一なコピーと化している」と指摘する。また世界の諸システムについては、外部に追い出された不確実性を無視すればシステムは整合性を失って異常な拡大を遂げ、「内部から自己の諸前提を破壊し、その土台のうえに崩れ落ちる」と警告する。ここにグローバリゼーションや同時多発テロの背景が読み取れる。

   全体から浮かび上がる時代の輪郭はきわめて暗いものだ。ただ著者は「不確実性自体がゲームの規則になりさえすれば、すこしも否定的な宿命ではない」ともいう。ここに著者の思想の野心的な出発を見ることもできよう。独特のレトリックに満ちた難解な文章だが、知的インパクトは十分に味わえるはずだ。(棚上 勉)

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