江戸川乱歩全集 第4巻 孤島の鬼 (光文社文庫)

価格:¥ 980 (税込)
出版:光文社
カテゴリ:文庫
ページ:653頁
JAN:9784334735289
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   大正時代の終わりから昭和前半に一世を風靡したミステリー作家・江戸川乱歩。おどろおどろしく奇怪な筋立て、幻惑的な場面展開、妖しい人物、名探偵・明智小五郎による快刀乱麻の謎解きなど、短編長編のいずれも魅力にあふれいまだ人気衰えることがない。この乱歩の全集30巻が新たに文庫版で刊行され始めた。初回配本『孤島の鬼』には同名作品と『猟奇の果』の2長編が収録されている。

 『孤島の鬼』の主人公「私」は美貌の青年。彼を愛する年上の青年の悲哀と、彼が愛した娘の殺人から物語は始まる。そして「私」が巻き込まれる悲劇とおぞましい体験は、短期間で彼の頭髪を真っ白にさせるほどのものだった。同性愛と異形なる者の陰翳に隈取られつつ、血塗られた殺しがそこに重なった、濃密で粘度の高い<語り物>である。

 『孤島の鬼』と『猟奇の果』は昭和4年から1年に1作のペースで間断なく雑誌連載され、整形外科手術による「人間改造術」をその共通プロットに持つ。しかし完成度において『孤島の鬼』にはっきりと軍配が上がる。『猟奇の果』は途中でストーリーの破綻をきたし、後半で明智小五郎を登場させるが、姑息な急場凌ぎも上手くいかなった。才能豊かな乱歩にしてさえ起こった失敗だが、それをこそおもしろさとして受け止めることもできよう。

   装幀のカバーに使われた勝本みつるのオブジェ・コラージェが妖しさを演出。見返しには初版本の写真もカラー掲載されている。(松平盟子)

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