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ルパンの消息 (光文社文庫)

価格:¥ 740 (税込)
出版:光文社
カテゴリ:文庫
ページ:441頁
JAN:9784334745691
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で33292位
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レビュー
横山スタイル、すでに確立を知る。 Date:2010-03-14
おすすめ度
全幅の信頼を置く作家さんの、デビュー作であることを読了後に知った。

どんな作者さんであっても第一作は格別。
読者であるこちら側から、ぎりぎりと力を溜めて大きく向こう側へと飛翔する、
その想いや気負いのきらきらが、手のひらに残るような気持ちにさせられる。

半落ちやクライマーズハイなど、重厚なエンターテインメントを生み出す、
その才能は確かにここに存在している。


最初は高校生のたわいないイタズラに端を発する、取調室の攻防に終止するはずだと
勝手に思い込んでいた。
若さにかまけた怠惰な3人組の、退屈を紛らわすだけのイタズラ。
15年の時効を目前に、3人の現実は苛酷だ。
つつましやかな幸せを享受するサラリーマン・喜多の、いじらしい秘密。
不敵でせせこましい地上げ屋になった竜見の、軽薄な日常。
世を捨てた橘の、薄幸な沈黙。

この3人組を柱に進むと思われたストーリーが大きく展開する。
当時の事務員が、死亡した女教師が、自殺した仲間が、校長が、
もう一人の女教師が、当時の恋人が。
15年という時を飛び越えて溢れるように現れる登場人物たちは、
あるものは華麗に、あるものは老いさばらえ、あるものは不敵に、
物語にとびこんでくる。

篝火にとびこむ夏の虫の乱舞のような、最後の展開は圧巻だ。
そうして最後に残った、いじましいふたつのココロ。


重厚な物語にいつでも、美しくも愚かしい人間を浮かび上がらせる横山氏の才は、
最初からここまで輝いている。
処女作の青さも乱暴さもなく、凛とした作品に、思わず脱帽。


ちなみにサンオクさんの金庫のくだりは・・作品の肝であるけれど、
若干疑問が。板金が得意だから・・??
でも、それでもこの作品への評価は落ちず。
このあとの作品群と比べたときに、この時点でここまでこの作者の
スタイルが完成されていたことに、震えがくるほど感動したので。
ゾクゾクするほどのミステリー Date:2010-02-06
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まさかまさかの展開の連続です。キタ、ジョージ、橘の高校生三人が計画したルパン作戦がいつの間にか多くに人たちの人生を変えることになります。15年の時を経て高校生だった三人もそれぞれの人生を歩みます。そのルパン作戦から15年目に新たな真実が発覚します。時効まで数時間という時間との勝負。真犯人はいったい誰なのか?こんなに緊張して読んだミステリーは久しぶりです。これが著者の処女作だとは、またまた驚愕です。
すでに技術を持っていた、著者の原点小説 Date:2010-01-24
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 デビュー作には、読んでて「ここはおかしいではないか」と思うことがありますが、
これにはそれがありませんでした。
ストーリーはちゃんと成立しているし、
ミステリーとしての謎も、しっかりとしています。
読み応えはありました。
佳作になってしまったそうですが、いくらか改修して、原稿を出版社に持ち込めば、
ちゃんと本になっていたのではないでしょうか。
完成されたストーリー Date:2010-01-04
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 誰が犯人?ってのはあまり好きなジャンルじゃなかったけど
完成されたストーリーにグイグイ引き込まれて一気に読んじゃいました。
終盤、複線の繋がりはお見事。。時効がせまってドキドキハラハラ、、
無駄の無いキレイにまとまった作品に感じました。
横山秀夫さんの作品は共通して、登場人物が多くて人名漢字が難しいよね。。
熟達した手で再改稿されたこの作品には、未刊行だったとは思えない完成度の高さがある Date:2009-11-22
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この本の巻末の横山秀雄自身による「改稿後記」によると、この「ルパンの消息」は、まだ彼が新聞記者をしていた当時の未刊行の作品を改稿して、ようやく出版に漕ぎ着けたのだそうだ。いくら1991年の「サントリーミステリー大賞」の佳作に選ばれているとはいえ、そんないきさつから、私は、この作品を、それほど期待して読み出したわけではないのだが、読み進めるにつれ、この作品は侮れないと思い始め、読み終わったときには、この作品を、「半落ち」、「出口のない海」と並ぶ彼の長編作のベスト・スリーに入る傑作とまで、思うに至ったのである。 

さて、この作品は、「15年前の女教師の自殺案件につき、他殺の疑いが濃厚。女教師が死亡したとされる時間帯に、「ルパン作戦」と称して深夜の学校に忍び込んでいた教え子の3人が殺したらしい」という有力情報に基づき、時効まで24時間しかない捜査が開始されるという物語だ。事件の真相の解明は、「ルパン作戦」の首謀者、喜多芳夫の回想場面を中心に据えて、東京、府中で実際に起こった三億円強奪事件をも絶妙に絡ませて進められていく。そんなこの作品は、横山秀雄には珍しい堂々たる本格派ミステリであり、あっと驚く大どんでん返しも付いている。そのうえに、いかにも横山秀雄らしい、涙なしでは読めないほどの感動の人間ドラマが二段重ねで盛られているのだから、そのレベルの高さは、半端ではない。

「改稿後記」に、「書いた当時の熱っぽさと粗っぽさに驚く」という記述があるのだが、この改稿作には、熱っぽさは存分に感じるものの、粗っぽさは微塵も感じられない。横山秀雄は、この文庫本化にあたり、単行本から、さらなる加筆と修正を行ったそうなのだが、圧倒的な筆力を持つ現在の熟達した手で再改稿をしたのなら、おそらく、未刊行本とは比較にならないくらいの完成度の違いがあるのだろう。機会があれば、ぜひ、未刊行本と比較をしてみたいものだ。 
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