怪を訊く日々 (幻冬舎文庫)

価格: (税込)
出版:幻冬舎
カテゴリ:文庫
ページ:247頁
JAN:9784344407138
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エディターレビュー
   創作の中にさりげなく実話怪談をもぐりこませる、という作風を得意とするホラー作家福澤徹三。本書は、その福澤が蒐集した不可思議な話の数々を収録した実話怪談集。「忘れられた記憶」「怪の棲む場所」「怪を見るひと」「学生時代」「怖い宿」「再会」「夢」「いにしえの怪」「タクシー」「酒場にて」の10章に分けられた70あまりの怪談が披露されている。福澤のもとに吸い寄せられるよう集まってきたこれらの怪談は、どこか因縁めいた不気味さを漂わせたものばかりだ。

   子どものころ、見知らぬ男と友だちが入っていった茂みの中で、恐ろしいものを見たと語る母親(「花嫌い」)。真っ黒な小鬼を背負った若い女(「客の背中」)。行方不明事件から生還した娘の家に、ある日やってきた娘とそっくりの少女(「ほんとうの娘」)。湖面に浮かぶまぶたのない男と女(「水面に立つひと」)。命日になると現れる緑色に輝く友人の霊(「緑色の男」)。ホテルの戸棚に潜む白目をむいた小さな女(「戸棚の中」)…。

   作家の手によって息吹を与えられた怪談たちは、淡々とした筆致ながら、まるで一篇の短編小説のような味わいがある。とくに福澤自身の体験を物語った「祀られた車」や、叔父の見た不思議な夢の話「小指をくれ」などは、余分な装飾を削ぎ落とされた文章のひとつひとつが、じわりと読み手に恐怖を感じさせる珠玉の怪談といえるだろう。怪談随筆集といった趣の本書は、新たな怪談文学の萌芽を予感させるものである。(中島正敏)

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