寺島町奇譚 (ちくま文庫)
価格:¥ 1,208 (税込)
出版:筑摩書房
カテゴリ:文庫
ページ:645頁
JAN:9784480022080
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で57176位
おすすめ度:
[ Amazonの詳細ページへ ]
出版:筑摩書房
カテゴリ:文庫
ページ:645頁
JAN:9784480022080
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で57176位
おすすめ度:

[ Amazonの詳細ページへ ]
この書籍を買った人はこんな書籍も買っています
レビュー
|
これが本当の癒し系なんでしょ? Date:2009-11-16 おすすめ度 ![]() 滝田ゆうの代表作といわれています。 ボリュームもありますが、敷居が低いので誰でも楽しめるのではないでしょうか?(とはいえちょっと色っぽいシーンもあるので、中高生以上かな?) 戦中の玉の井の人々の生活を独特のユーモアを交えて描いています。 単にノスタルジックなものとはちょっと違っていて、そこで描かれる人々の生活の活写は解説で吉行淳之介氏がつげ義春と並べて指摘しているようにまさに文学的な趣があります。 とはいえ、主人公はキヨシという子供なので、自分に重ね合わせて読むことができますし、たぶん今の時代と照らし合わせてもかなり重なるところはありそうな気がしています。 この普遍性は優れた作品に共通のもので、悲喜こもごもが読むものの心にそっと入ってきて胸に残ります。 最後の玉の井が空襲で焼けてしまうあっけなさも、まさにドラマチック。作り事ではないのですが、氏独特のタッチで描かれるともう「寺島町奇譚」という作品として完結するファンタジックな世界以外の何者でもないというか、他に変えがたいものがあると思います。 あったかいタッチですが、丁寧に描かれた絵は文庫じゃなくてもっと大判で楽しみたくなりますね。 |
|
『寺島町奇譚』 Date:2009-03-14 おすすめ度 ![]() 著者は昭和7年生まれ。戦前から戦後にかけて過ごした、東京は隅田川の近くの町での少年時代が、懐かしく活き活きと描かれている。巻末の解説で作家・吉行淳之介が「暖かくて人間味があり、知識人向きのものとして親しんできた」と書いている。この漫画の特徴の一つは「吹き出しに小さな絵が描いてあることで」と解説は続く。私も、この「吹き出し」には随分悩まされた。この漫画の主人公はキヨシで、著者の少年時代を思わせる。一家は飲み屋をやっている。キヨシは時々、母をカアチャンと呼ばず「クソババアッ」と呼ぶ。勿論、母に聞こえないようにだが。猫も土足で上がると「足を洗ってはいってこいっ」と怒鳴られる。キヨシが友達と遊んでいると、母は「遊んでばかりいないで、べんきょうしなさい、べんきょう」と怒鳴る。毎朝、朝寝坊のキヨシは、父・母・祖母・姉に「オハヨウゴザイマス」と言ってから朝食を食べる。キヨシも姉も客も、よく戦前の歌を口ずさんでいた。私のような、著者と同年生まれの老人には、それが哀しく懐かしい。こういう漫画を傑作というのだろうか。そうに違いない。 |
|
玉の井ワンダーランド!! Date:2007-07-05 おすすめ度 ![]() 筆者が少年時代を過ごした戦前の東京都向島辺りの街の描写がなんともいえず素晴らしく、全19編を読んでいるうちに、いつのまにかそのワンダーランドに迷い込んだかのような錯覚に陥ります。自分の子供時代にもまだ残っていた、小さな家で家族が身を寄せ合って生きていたような濃密な人間関係(空気)が懐かしい。この本の中では街全体がそんな感じです。’玉の井、ぬけられます’というキーワードにピンとくる方がどれほどいるのか、わかりませんが赤線・娼街と子供たちの世界が自然につながっている感じが凄く好きです。「三丁目の夕日」みたいなモロ回顧趣味の作品とは違いますが、かの作品が好きな方にもオススメしたいと思います。 |
|
鮮やかな記憶 Date:2004-10-14 おすすめ度 ![]() 滝田ゆうさんの名を一躍高めた名作ですね。自身の少年時代を少年キヨシに託し、活き活きと描かれる戦前の玉の井風景。キヨシの自宅であるスタンドバー、オッカナイお母さん、飼い猫のタマ、銘酒屋の娼婦たち、玄米パンやキビ団子売り、メンコやベーゴマ、蛍狩り・・・よくこれだけ記憶されていたものだと驚嘆させられる描写。飄々とした線、語り口、そして独特の効果音に意味深な吹き出しが、何とも言えないペーソスを醸し出しています。空襲で玉の井が燃えるラストの章は、震えるほど感動的でした。何度も読み返している、永遠の傑作です。 |

