学歴分断社会 (ちくま新書)
価格:¥ 777 (税込)
出版:筑摩書房
カテゴリ:新書
ページ:229頁
JAN:9784480064790
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で53052位
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計量社会学者・吉川氏の指摘する学歴分断社会が統計的に実証された客観的事実だとしても、若者の価値意識は学歴重視から乖離している。それをもっとも顕著に表しているのは、学校内身分、すなわちスクールカーストである。全体社会の社会階層が学歴によって決定されるものであるにもかかわらず、スクールカーストでは学歴と直結する学力は重要視されない。 スクールカーストでは、対人関係能力、運動能力、外見的魅力という基準によって身分差が生ずると言われ、学歴につながる学力はスクールカーストの基準ではない。学力が高くても、対人関係の苦手なガリ勉秀才は身分が低い。話が面白くスポーツができるヤンキーの方が、ガリ...
(大卒/非大卒)という区別コードが社会階層の人員配分を決定するという観察をしている学者がいる。「学歴分断社会」の著者であり、計量社会学者の吉川氏である。吉川氏は、学歴は正規の格差発生装置だというのである。 しかし、学歴は、終戦から高度経済成長期までは、世代間移動における格差是正装置として機能していたことを忘れてはならない。農村部から都市部へ人口移動が起こり、非高卒・非大卒の親の子が高卒・大卒という学歴を取得していき、社会階層の流動化が生じたことはよく知られている。 学歴主義は、そもそも生まれと関係なく、個人の才能と努力で一流大学に入れば、高い社会的地位を獲得できるという機会の平...
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レビュー
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著者の知識不足が… Date:2009-09-27 おすすめ度 ![]() 著者はこの本の中で「格差」を生み出す原因は学歴差にある、と主張している。確かにその主張にはある程度賛同できるが、それではどうすればいいのかという「処方箋」が満足に示されていないのが気になる。 また、現在の不況下では大卒であっても仕事が無かったり、ワーキングプアに陥ったりしている訳で、「学歴差が格差の元凶だ」という「ストーリー」が多くの人に受け入れられることは無いと思う。「ニートとも、フリーターとも、ワーキング・プアとも、「派遣」とも、「下流」とも言うな!かれらは、ほかならぬ若年高卒層なのだということです」(P221)というのはいくらなんでも乱暴すぎる物言いといえるだろう。 またところどころに著者が「世間知らず」であることが透けて見える部分があり、私がこの本の内容をそのまま受け入れられない理由の一つになっている。物理学者や科学者が「世間知らず」であってもあまり問題は無いだろうが、社会を研究対象とする社会学者が世間知らずだというのは致命的な弱点だといえるだろう。 著者は教育に関して、「上の学校」に進学する人が多いほど良い教育であるかというように考えているようだが(成人のなかでの大卒者の割合が世界的にみて高いという事実だけで日本の子育て世代の教育水準を世界のトップ・レベルにある、と述べている部分などから見て取れる)、単純に大卒者の割合を増やしたところで格差が解消しないのは火を見るより明らかだ。もし著者と会う機会があれば、現代の格差社会に対して、大卒者の割合を増やす以外にどのような処方箋を持っているのか聞いてみたいと思う。 |
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厳然と存在する学歴の壁を再認識させられる一冊 Date:2009-09-18 おすすめ度 ![]() そのものズバリの書名です。現代の日本は大卒(含む短大)と、非大卒(含む専門)に −社会的に認められた仕組みで−二分されていると。その二分化が所謂「格差」の正体だと。 本書では、先ず日本独特の制度である「学歴」の正体を解き明かしていきます。階級制の 代わりになっている現状、「大学全入時代」と呼ばれる時代なのに、それを選ばない層が 半数もいること、『学問のススメ』の事実(ま、これは類書でも紹介されている)等々。 更に「格差(指標の分布のばらつきの大きさ)」とか「不平等(格差を発生させる 《因果的な仕組み》を意味する)」とか「貧富の差(貧富の差は社会の姿を現す標準値 =GDP、平均所得、大学進学率等で、社会の姿を現したものであって、個別案件を述べる 指標では無い)」といった、似たような言葉の整理を行うことで、「格差論」を冷静に とらえる為の物差しを読者に提供しています。 そして本論です。2005年に行われた「社会階層と社会移動全国調査」を元にして いろいろ暴いていくのです。 例えば・・・親が大卒の場合は、子も大卒であることが多いこと(子を塾に通わせた 家庭教師をつける等、子への投資は母親が大卒の場合に多い)。そういった親元で 育てられた子供は活字を読む、文化的なものに触れる、百科事典が家にある・・・に より、文化資本の差という「潜在的な格差」が、そうで無い子との間に生まれる。 「下流」=非大学卒であること。一般的に希望(頑張れば報われる)・文化的なこと (本を読む、クラシックのコンサートに行く)・贅沢(雑誌等で取り上げらたレスト ランに行く頻度)と思われていることにお金を割くのは、大卒の方が多いこと等々 挙げればきりがありません。 つまり、著者は所謂「格差論」は、収入や勤め先の差では無く、大卒か否で二分 されている−書名の通り『学歴分断社会』−ことが原因だと喝破しています。 類書でも、お金が有るから大学に行ける、その結果、正規雇用に・・・という主張は ありますが、ここまでズバリと「学歴の差」を突いた本は(私の狭い視野の中では) 始めてみました。 また、最終章ではではどうするか?という点にも言及されていますが、特効薬は 見当たりません。 誰もが何となくは感じてはいながら、口には出してこなかった(実際、いろんな 意味で口にはしずらい)事実。「格差論」を超えた所にある本書は一読の価値有りです。 |
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クリアに説明されました。 Date:2009-08-28 おすすめ度 ![]() 何となく感じていたが、うまく説明できなかった点を明示してくれた。 私が大学生の時、EQという概念がもてはやされた時期があったが、 将来の年収(学歴)は幼児教育にあり、という重要性を見出すきっかけとなった。 その学歴は、本書の通り、公的な格差発生装置であることは、 高卒と大卒に横たわる生涯賃金の差のデータを当然のものとして捉える理由となった。 そして、遺伝子に「やる気」がコードされているという報道は、 それから私は恋愛をする際に、相手の学歴や親の学歴を考慮する価値を見出した。 学歴は「頑張り」のある程度の証明になるからだ。 断片的な情報が繋がり、私の中ではかなりすっきりした。 私の中で勝手に繋がった(繋げた)だけであるが、非常に価値のある提言であった。 また、格差云々の理由を知ることは、己や周囲がその境遇避けられることと、 このたびの衆院選のマニフェストを読む軸を提供してくれた。 |
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格差ではなく学差か… Date:2009-07-07 おすすめ度 ![]() 以前、『学歴社会の真実』という本を読んだ時に、 真実がはっきりしなくてモヤモヤ感が残っていたが、 こちらの本でかなりスッキリした。 学歴は正規の格差生成装置… ナーバスな問題なので、直接的に学歴をクチにする人は あまりいなくなったようだが、実は『ある』と思っていた。 「高卒?だいじょーぶ大丈夫、世の中、実力だよ、スキルだよ」 などと言いつつも、言っている本人は立派な大卒者… 実質的な差は歴然としているはず。 ちょっと名の知れた企業の役員名簿の最終学歴を見てみれば 一発で分かる。高卒者がどれだけ居るか… 18歳での大きな人生の岐路… 大卒、非大卒(専門卒含む)の境界線を学歴分断層というのは 成程良く分かるし、 最近の傾向大卒同士での『学校歴』の逆転は可能だが、 非大卒が大卒を逆転するは困難…も確かにある… 特に不況における就職競争状態では、 履歴書の段で、『高卒は大卒に競り負ける…』 残念ながら、これも言い当てています。 当面、日本社会における結論としては、 大学に行けるのであれば、行っておいた方が良い。 自分探しなどもけっこう、遊んでいてもいいから、 とりあえず大学には入っておけ! ということになると思います。 よっぽど、技能、技術、アイデアなどに 長けていなければ、『会社員において』の高卒以下はきつい… なんだかんだ言っても、10代を如何に過ごすかが 『人生のカギ』のようですね… |
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学歴と学校歴と学力は似て異なるもの Date:2009-06-21 おすすめ度 ![]() 著者は学歴と学校歴を区別しているが、現代の日本では学歴と学校歴をはき違えて、学歴差別はタブーでも学校歴差別はやり放題という状況である。早々とゲームから脱落した層である大学中退・高卒・中卒層にいかなる救済措置や挽回の機会を与えてもあまり効果はないだろう。経済的理由であれば奨学金などを手厚くすれば救済できるが、地方都市や第一次産業従事者など、大学教育の必要性がない層も確実に存在し、著者の考えるほど大学教育は万能ではない。あるいは、こころざしやキャリア設計の概念が全くない刹那主義や快楽主義の人間にはいくら進学を勧めても無駄だと思う。著者も少し触れているが受験競争とゆとり教育への移行過程で忘れられた、キャリア教育などを充実しなければ解決しない問題である。やはり家格などの家庭環境による影響も大きいだろう。あくまでも計量社会学的観点から書かれた本であるので、ややものたりない印象もある。 |



