つぎはぎだらけの脳と心―脳の進化は、いかに愛、記憶、夢、神をもたらしたのか?
原著 David J. Linden
, 翻訳 夏目 大
価格:¥ 2,310 (税込)
出版:インターシフト
カテゴリ:単行本
ページ:352頁
JAN:9784772695169
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で5788位
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レビュー
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インテリジェント・デザイン論に対する脳神経学者の反論 Date:2010-02-02 おすすめ度 ![]() インテリジェント・デザイン論、つまり、知性ある設計者(神)によって生命が設計されたという説。 最後の最後に宗教が出てくるまで、著者の意図が読めず、散漫な印象が否めない。 脳にまつわるさまざまなトピックのうち、一見無関係な感覚と感情、記憶、愛、睡眠と夢を、なぜ取り上げたのかが、宗教の成り立ちを説明する8章で始めて明らかになるからだ。確かにこの8章は面白い。その8章から、脳に知的な設計者はいないという9章の結論につながってくる。 専門用語についても、丁寧な説明がされているところと、さらっと流されているところの差が目立つ。NMDA受容体については結構丁寧に説明されているが、脳の発生のところで出てくるホメオティック遺伝子などの説明はない。ホメオティック遺伝子についての説明が不要な人は、NMDA受容体についても説明は不要だろうと思うのだが。 そして、脳の発生やNMDA受容体も説明が不要で、脳に関する本をよく読んでいる人にとっては、たぶん、ここであげられている脳にまつわるトピックはほぼ常識であり、帯にあるように、ぶっ飛ばされることはあまりない。しかし、それまでが常識的だからこそ、8章以降から結論までがより際立つのかもしれない。だから、インテリジェント・デザイン論にそれなりの関心があるアメリカ人は、この本をもっと楽しめるのだろう。 ただ、この本からは常識的で偏りのない脳についての知識が得られる。だから多少の専門用語はものともしない初心者にはお勧め。 |
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他に類を見ない・・ Date:2010-01-31 おすすめ度 ![]() 本書が、近年はやりの脳科学本の中にあって一際目立っているのは、その網羅性の高さと深さにおいてである。 人間の脳がいかに非効率的に進化してきたか、いかに日常の意志決定にバイアスがかかっているかが、豊富な事例を交えて述べられている。 分子レベルでの信号伝達にこれほど詳細な説明を与えている本は、他に見たことが無い。 脳科学にまつわる主要な論点を一つ一つ丁寧に詰めていく本書は、一読の価値は十分にある。 だが同時に、本書の難点も、そこにある。 その専門書っぽくない表紙やタイトルからは想像もできないほど細かな脳のメカニズムまでもしっかりと言及していく事が、本書の価値を危うくしているとも感じた。 かなり気合を入れて読まなければ読み通せないんじゃないかと思うほど、”専門寄り”なのだ。 一応は初心者が理解できるようにという触れ込みなのだろうが、全くの素人には少し難解すぎる内容が続く感は否めない。それに加えて、このボリュームである。 それなりの読書体力が求められる一冊と言えると思う。 その点も考慮して、☆3つ。 |
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詳細で専門的説明の良質な書籍。一般読者が全て理解して読むのは少し難しいか Date:2009-12-21 おすすめ度 ![]() とにかく「脳」についてカバーする範囲の広い書籍。しかも詳細でかなり専門的である。タイトルと副題からは脳心理学的な内容を想定していたがむしろ脳生理学の局面から、遺伝子工学ではないがニューロンや脳細胞の構造、脳の機能・成長に相当力点が置かれている。この説明が前半を占め、しかも一般読者には相当難解である。愛、記憶、夢、神が出てくるのは後半であり、また脳の進化との関連も(レビューアーの理解の限界かもしれないが)やや不明確な気がする。各項目の一つ一つの内容は極めて質が高く素晴らしい。ただ、どの項目も同力点で並行的に説明されており、項目間の関連、次項目への流れが分かりにくい。読み終わってみると、脳についての難解な教科書を読破した気分です。繰り返しだが、副題(英文でも同じなので翻訳や出版社の仕業ではない)と書籍内容の力点が少し違っていないかなとの印象です。でも文句のつけようがない良書。一読以上の価値があります。 |
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おバカな人間の素晴らしさ! Date:2009-10-05 おすすめ度 ![]() 近年の脳科学では、脳が多くの錯覚や認知エラー、無意識のウソなどをしょっちゅう侵していることが注目されている(こうした研究は、行動経済学やニューロ・マーケティングなどにも応用されつつあるという)。 本書は、まさに私たちの脳がいかに不完全で非合理であるかを、脳の進化から明らかにし、さらに心の問題にまで踏み込んだ面白い本である。 私たちが奇怪な夢を見るのはなぜ? 記憶の間違いはどう起こる? どうして人間だけがおかしな愛と性にひたっている? 神や宗教がけっしてなくならないのは? ・・・ そんな余りにも人間的なテーマに、著者は脳科学の最前線から切り込んでいく。とりわけ著者の研究分野である「記憶」とそれに関わる「夢」のパートは、最新の研究成果も盛り込まれていて読み応えがある。 おバカでしょうもない生き物――それが人間。でも、それでいいのだ。どんなスーパーコンピュータでも、人工知能でもかなわないチカラが「つぎはぎだらけの脳」に潜んでいるのだから!! (・・久々に劇画のように、哲学書のように、楽しめる脳科学本だった) |


