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もうひとつの視覚―〈見えない視覚〉はどのように発見されたか

翻訳 鈴木 光太郎 , 翻訳 工藤 信雄
価格:¥ 2,625 (税込)
出版:新曜社
カテゴリ:単行本
ページ:197頁
JAN:9784788511033
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で69003位
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レビュー
行為システムは視覚の光学的配列をもとにボトムアップ的なやり方で自動的に働く Date:2008-12-12
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 一酸化炭素中毒の事故に遭って脳の一次視覚野を損傷してしまい、モノが見えなくなったイニシャルDFという患者の記録を担当医が一般読者向けに書いたもの。 DFは何を見ても、どう見えるかについて答えることはできませんでしたが、色は認識できるほか、ハイキングコースを歩くことができたのです。医師はDFが視覚的な形の認知に関しての視覚形態失認の状態ではあるが、どうして運動システムに影響がないのかを調べます。

 この結果、視覚には一般的な知覚表象を作りあげることのほかに、行為を制御するという働きがあることが、よりハッキリとわかります。この二つの機能は生物の視覚脳の進化の過程でつくりあげられましたとのこと。

 視覚脳は腹側経路で視覚表象をつくり、背側経路では行為の誘導を行うという分業体制が敷かれているといいます(5章のまとめ)。また《知覚は受動的なプロセスではない。私たちはたんに、ある瞬間に網膜上に映っているものすべてを体験するわけではない。知覚とは、入力情報とこれまでの視覚体験から構成され保持されている鋳型とのたんなる照合以上のことである。私たちの「見る」もののの多くは、そこにあるものについてのもっともありうる仮説にもとづいた内的創造物なのである》という部分は、知覚表象について書かれたもっともラディカルなテキストのひとつだと感じました。
「見えない」のに「見える」不思議 Date:2008-08-05
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これまで視知覚や視機能に興味を持っていたので、某新聞の書評を見て即注文して読んでみた。
知的刺激に満ちた書であった。
一般向けに書かれたとはいうものの、脳の領域名などある程度は脳科学や生理学の知識がないと読みづらいかもしれない。しかし、人間のからだの不思議や精妙さを改めて実感できる良書であると思う。

ほとんどものが見えていないのに見えているかのように行動できる人がいる。
逆にきちんとものは見えているのに見たままに行動できない人がいる。
人間の視覚は見たままを捉えるだけのものではないということはある程度理解はできるものの、体験できる視覚以外にも視覚の機能があるということは驚きであった。人間(人間だけではないらしいが)の視覚には二つの経路と機能がある。知覚のシステムと行為のシステムである。

知覚システムはあまりにも印象が強烈である。実際、旧来の視覚研究はこの知覚のみに意識が向いていたようだ。だが、視覚には行為を制御する別系統の経路が存在するのである。通常意識しない視覚のシステムがあり、さまざまな行動の基盤となっていることは非常に興味深いものであった。

まだまだ人間の脳の機能というものはわからないことが多いものだ。そして、素朴な認識を科学的な認識により覆すと言うことは知的に興奮する作業である。そんなことを思わされた書であった。
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