誰も書かなかった日本医師会

価格:¥ 1,785 (税込)
出版:草思社
カテゴリ:単行本
ページ:240頁
JAN:9784794212375
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エディターレビュー
   日本医師会に「医療費の増額にしか興味ない圧力団体」というイメージがつきまとうのも無理はない。何しろ、1957年から25年間会長を務めた武見太郎も「会員の3分の1は欲張り村の村長」と著者に漏らしているほどだ。しかし、実際にはより複雑な役割を持つ組織であり、医療行政にさまざまな影響を与え続けてきた。本書は、医療問題の第一線に身を投じ、40年間にわたりその日本医師会を見詰めてきたジャーナリストの集大成である。

   GHQの占領時代にスタートした日本医師会は、吉田茂の姻戚である武見を会長にいただいてから多大な影響力を持ち始めた。以来、会長のワンマン体制が慣例となった。そのため本書では歴代会長の人物論を軸に、その時々の医療問題への反応を見ることで捉え難い組織の内情を描き出している。

   大きな比重を占めるのはやはり武見時代である。医師優遇税制の導入や、制限医療の撤廃、前代未聞の“医師のストライキ”といった個々のアクションだけでなく、医師会が厚生省を牽制し、自民党が調整するという政策決定パターンを確立したのも武見だった。本書では約3分の2を費やして、その光と影をあぶり出している。武見と親交のあった著者ならではの貴重な証言録である。

   小泉首相の医療改革は単なる財政処理であるという卓見も見逃せない。右肩上がりの経済が終わり、少子高齢化が進むこれからの時代、医療問題はとりわけ深刻だ。日本医師会の歴史を通じて医療政策の決定システムを俯瞰できる本書は、今後の医療問題を考えるうえでも必読書である。(齋藤聡海)

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