ダークストーリー・オブ・エミネム

翻訳 立神 和依 , 翻訳 河原 希早子
価格:¥ 1,890 (税込)
出版:小学館プロダクション
カテゴリ:単行本
ページ:319頁
JAN:9784796880091
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エディターレビュー
   ポップ・アイコンにして、レイシスト、セクシストのレッテルを貼られた社会の脅威…ポジ、ネガ両方の意味で、まさに時代の寵児(ちょうじ)となった白人ラッパー、エミネムの伝記だ。政治と経済に見捨てられたデトロイトのスラム街でいじめられっ子として育った少年時代から初の主演映画『8マイル』までの軌跡を、本人及び家族、関係者のインタビューをもとにたどっている。

   しかし、これはサクセス・ストーリーではない。貧困と人種差別の中で育ったマーシャル・マザーズという少年が、自分を育てた社会に復讐(ふくしゅう)するためにスリム・シェイディ、そしてエミネムになるまでを描いた復讐の物語だ。スキャンダラスという意味では興味深い。けれど、真実と虚構の境界線は曖昧(あいまい)だ。なぜなら、インタビューが著者によるものではないからだ。インタビューをもとにしていると書いたけれど、実は著者は本書を書き上げるにあたって、さまざまなメディアに発表されたインタビューを再構成している。よって、著者が描きたい「物語」にあう発言だけを選んでいる可能性は否定できない。もちろん、冷静な分析や筆致に、でっちあげの匂いは皆無だ。しかし、その点に留意しつつ読みすすめる必要はあるだろう。皮肉っぽい言い方をすれば、著者にそのつもりはなくても、本書もまたエミネム伝説、つまり虚構を作り上げることにひと役買ってしまうことになるんじゃないだろうか?

   ラストは、社会を戦慄(せんりつ)させることによって、復讐を遂げたエミネムが表現活動のモチベーションを失ってしまうんじゃないか? と、彼の未来に一抹(いちまつ)の不安を投げかけ、しめくくられている。(山口智男)

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