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大聖堂―果てしなき世界 (上) (ソフトバンク文庫 フ 3-4)

翻訳 戸田 裕之
価格:¥ 998 (税込)
出版:ソフトバンククリエイティブ
カテゴリ:ペーパーバック
ページ:671頁
JAN:9784797346237
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で58124位
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レビュー
稀代のストーリー・テラーがつむぎ出す14世紀イングランドの人間ドラマ Date:2009-10-07
おすすめ度
1500万部を突破して世界が瞠目した『大聖堂』。ケン・フォレットは3年の歳月をかけて、邦訳版は文庫上・中・下巻合計1999ページという前作を凌ぐボリュームの巨編を18年ぶりに続編として送り出した。

舞台は同じイングランドのキングスブリッジ。時代はあれから約150年後の14世紀である。本書では大聖堂はあくまでシンボル的な存在であり、前作で活躍したトムやジャック、アリエナの末裔たちが織りなす人間ドラマが主流である。

主人公格のマーティンとカリス、グウェンダをはじめとする登場人物たちが幾多の試練に見舞われながら、物語は1327年11月から1361年11月までの34年間が描かれる。

はじめは橋の崩落、フランスとの100年戦争で荒れた国家、さらにはヨーロッパを席捲するペストの猛威。これらの災厄にくわえて、さまざまな人々の野心、貪欲、希望、愛憎、そして復讐、人間の生み出すさまざまな思いと葛藤。読者は、思わずマーティンやカリス、グウェンダらに感情移入してしまい、ある時は絶望し、ある時は憎悪し、またある時は喜びに打ち震えること請け合いだ。

また、彼らが子供時代に遭遇した“事件”の謎がこの長い長い物語の最後になって、“幸運の切り札”として解き明かされ、利用されるといった仕掛けもほどこされている。

本書は、前作ほどの歴史絵巻的なスケール感は感じられないが、個々の人間の営みがより一層身近に、まるでそこにいるかのように読者に訴えかけてくる。まさに稀代のストーリー・テラー、ケン・フォレットがつむぎ出した14世紀イングランドの一大ロマン小説である。
壮大な物語の幕開け Date:2009-07-22
おすすめ度
 前作という『大聖堂』を読み損ねたままだったので、続編だというこちらを読むことに。それにしても分量がたっぷり。読み始めてついていけなくなったら途中棄権しようと考えていたが、冒頭でのグウェンダのドキドキものの盗みに、まるで自分が盗人になったように心臓がバクバクし、そのまま物語へひきこまれてしまった。

 何より、登場人物の名前がファーストネームでの記載がほとんど、というのが有難い。これがいちいちフルネームで書かれると、それを判別するだけでしんどくなってしまう。それに登場人物はそこそこいるものの、この分量にしては、主要人物に絞って書かれているし、相関図もコンパクトにまとまるのがまた読みやすい。だけれど、それで話が小さくなると面白くないが、その簡潔な関係性の中からあれやこれやの壮大な物語が広がっている。

 上巻では1327年から1337年の10年間。主人公たちが子どもから大人へと成長するまでを中心に、イギリスのキングスブリッジという街が描かれる。中世の割に古臭さを感じないが、少々閉口してしまうのが、残虐な殺人もまたあることだ。

 ただ、冒頭すぎに、どうやらこれが下巻まで続くキーとなる秘密が出てくることや、マーティンとカリスという2人の恋愛の行方(純愛に思えるが、それにしてもマーティンは誰とでも、というふしがある。そこらへんに中世の雑多な様子が反映されているような・・・)や、街の要である橋が崩れることで大きく人の運命が変わること、理不尽な人たちが暗躍し、当初、ナイスガイと思われていた人物が身内にいるブレーンのおかげで権力をものにしていく様など、エンターテイメント性に溢れている。

 中世臭さはないものの、修道士と修道女が力を持っていたり、おまじない的なもの(「愛の薬」)などに特色があるが、それほど細かく当時のしきたりは、とか歴史的事実は、というものを省いて、分かりやすく読めるようにしてあるので、歴史物が好きな人には物足りないかもしれない。
神の御心 Date:2009-05-09
おすすめ度
自分で判断できないときに,他人に:時に神に:その判断をゆだねる教会と,現実問題を把握しきっている市民との埋めようのない溝が明らかになっていく。
今も昔も,権力者は私腹を肥やすことしか考えていないのだ。
救いとはみんなの物ではなく,まずは自分たち(教会)の物なのだろう。
橋の崩壊から急展開し始める話は,この後の巻でどんどん進みそうだ。
分厚いけれども,非常におもしろく,飽きさせない作品だと思う。
タイトルに釣られて Date:2009-04-18
おすすめ度
期待して読んでしまう。しかし、ちょっと違う。まず、アリエナのような女性は出てこない。
それから前作では、大聖堂ができるまでのプロセスが鮮やかに描かれていて、いつかこの目で大聖堂というものを直に見てみたいという衝動が沸き起こったものだ。今度の作品では、それよりも中世の価値観に暮らす人たちの人間模様を描くことに力が入っている。とはいっても、時代は変われど人間のすることなど、変わりようが無いのだ。今作品も建築物の話は盛り込んではあるものの、ストーリーにはあまり関係がない。
前作の大聖堂同様、読みでは確かにたっぷりある。冒頭に語られる、騎士の秘密とは?最後まで飽きずに読ませる仕掛けもちゃんとある。
前作よりおよそ150年後の未来へ! Date:2009-04-14
おすすめ度
 全世界でベストセラーになったケン・フォレットの小説「大聖堂」の続編「大聖堂─果てしなき世界」が出版されまして、私のブログのアクセス解析をチェックすると、「ケン・フォレット」「大聖堂」といった検索ワードで来ている方が毎日何人もおられます。
 私も上・中・下巻全て買いましたが、何せ1冊が分厚いもので、空き時間を見つけては少しずつ読み進め、ようやく上巻を読み終えましたので紹介と感想を書くことにします。

 舞台は前作からおよそ150年後のイギリスで、物語の中心地キングズブリッジも前作よりも一層繁栄を見せ、キングズブリッジ修道院も女子修道院が近くに建てられるなどといった繁栄ぶりです。
 それでも何かしら問題を抱え、富める者もいれば貧しい者もいるのは世の常で、キングズブリッジの町も橋の老朽化などの問題で衰退の危機に立たされております。それらをどうにか打開しようと奔走する町の人たちを含む登場人物には、前作の主人公であるトムやジャックの子孫が何人も登場してまして、その中に今回の主人公の1人である建築職人マーティンがいるわけです。
 一方修道院はと申しますと、修道士は生涯独身が原則ですから当然子孫などはおりませんが、前作のフィリップの業績が書き残されたり、何より大聖堂が健在です。こちらも財政問題や、修道生活の理想と現実の違いといった問題を抱えている上に、前作より規模・権威などの面で安定する代わりに保守的な雰囲気が支配するようになるのはどこの組織も変わらないようで。しかも、そうした現状を打破・改革しようと志し、苦労してトップに立っても、現実を目の当たりにすると結局前任者と同じように保守的になってしまうというのも良くある話で。
 そんな問題は山積みどころか、次々と降ってくる中、マーティンたちが何を考え何を為すか、夢を叶えるか破滅するか、中巻以降の物語、果ては結末が気になって仕方ありません。
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