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赤い水、黒い水

価格:¥ 1,470 (税込)
出版:作品社
カテゴリ:単行本
JAN:9784878936340
Amazon.co.jp 売上ランキング:本で454523位
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レビュー
アメリカ帝国主義という強権発動へのプロテスト Date:2008-04-01
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「あとがき」によると、アメリカの世界貿易センタービルに飛行機が突っ込んだのを契機に、ブッシュ大統領がイラクに宣戦布告。そのような事態に緊急に発表したのが「農夫と王の子」だった。鷺沢のウェブサイトで。
それがほぼ同じ内容で刊行されることになった。作者自らの英訳と韓国語訳を付して。
タイトルの「赤い水、黒い水」の意味は読めば分かることだが、あえて申し上げると
「赤い水」はブドウ酒。「黒い水」は石油。
前者は平和のシンボル、後者は火種。
この作品を危機感を持って書いたとなると、政治的なメッセージを読み取ることが読者としての任務だろう。
隣国が黒い水を求めて平和な国へ侵略するくだりは、イラクとそれへなん癖をつけて戦争を仕掛けたアメリカのことだろう。隣国が平和な国へ自分の神を押し付けようとするところは、じつにパンチの効いた風刺である。
つまり、作者鷺沢は、アメリカを困った国、イラクを平和な国と規定しているのである。
アメリカは、キリスト教国で正義の国。イラクはイスラム教国で悪魔の国である。侵略ではなく、イラクの抑圧された人民を救済するために乗り込むという形である。
こんなプロパガンダが当時はやけに浸透していた。今となってアメリカの石油獲得のための謀略だったということが明白になっている。これを鷺沢は最初から見抜いていたのだということが本作品によって証明されるのだ。
鷺沢のアジア人としての立場からアラブへの連帯のメッセージであるように読める。
ただ韓国もキリスト教徒多い国であるから、韓国人のスタンスを超越しているともいえる。
鷺沢は在日韓国人であることをウリにしているが、韓国批判はかえって辛らつである。ロマンチックな韓国郷愁者ではないのだ。欧米へ対抗するアジア・アフリカというだけのものでもない。強権発動者へのプロテスト、というところではないだろうか。
昔話を借りた現代の寓話 Date:2006-01-25
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 もし本書の題名が『葡萄酒、石油』であったら、どうでしょう。
実質そうなのですが、そんな味のない書名はありえないでしょう。
 本書は、ショートショートの掌編ですが、昔話形式で展開する現代の寓話なので、題名に象徴されるような、読み手にやさしい語り口がいいですね。装丁も絵も洒落ているし、英訳・韓訳も心遣いが感じられます。
筋の展開に無理なところはありますが、筆者が何を訴えようとして、「昔むかしのお話です」と語り出したかは、ほぼ読み取れることでしょう。
 結びはこうです。「窓から見わたせる大地では/光ときれいな水に恵まれた畑で/ひとびとが働いています」になっていますから、未来に光明を念じる著者の祈りが感じられ、ほっとします(雅)
追悼・大好きでした… Date:2004-05-19
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この物語は「大人の絵本」という様相を呈しています。しかも、著者の希望でハングルと英語の訳がついています。
「普通の生活」「平和」「手に入れたものと逃したもの」…それが何か?…読者に考えさせる部分を残します。

「〝守る〟ために〝失ったもの〟は何か?」というテーマに対して、今世界で起こっていること、ひいては古代から繰り返されてきたこと=戦争と日常に対して鈍感になっている昨今、考えさせられる本です。

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