猫殺しマギー

価格: (税込)
出版:産業編集センター
カテゴリ:単行本
ページ:160頁
JAN:9784916199539
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エディターレビュー
   3つの奇妙な物語を収めた著者のデビュー短編集。「俺の名前は猫殺しマギー。でも、猫は殺さない」という魅惑的な書き出しの表題作では、登場人物たちは性交したり溶け合ったり金魚に飲み込まれて巨大化して暴れてみたりと大忙し。なくしてしまったおっぱいを探して昔通っていた幼稚園を訪れる「甘夏キンダガートン」や、1枚しかないレコードをかけながら気の合う仲間で延々とおしゃべりを続ける「アカシック・レコードに乗せられて」など、あらすじを読めばわかるとおり、どれも普通のお話ではない。

   登場するのはとことんずれた人ばかりで、軸となるストーリーはなく、展開はひたすら唐突で不条理。時折かわいらしいイラストが挿入され、文字も自由に大きさや並びを変える。それでいて、そういう前衛的・実験的な小説にありがちな小難しく冷たい感じはまったくない。ぷにゅぷにゅとやわらかな文体が紡ぎ出すのは、読み手の現実をすっぽり包み込むポップでキュートな小説世界だ。

   物語の流れそのものを楽しむ作品ではないので、やはり読者を選ぶところはある。だが、シュールで尖ったスタイルと独特のやわらかさを同居させた本書は、頭でも心でも楽しむことができる。文中の言葉を借りれば、「理屈ぬきで、胸がどきどきする」、そんな魅力を持った作品集なのだ。(小尾慶一)

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