晩春 [DVD] COS-021
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小津安二郎の「晩春」をDVDで観た。昭和24年、松竹。これまで京橋のフィルムセンターやら、8mmビデオ版やらで何回も見ているのだが、改めて良い映画だなあと思う。 学者の父、曾宮周吉(笠智衆)が娘をおもいやる、静かで、やさしい気持ち。 娘、紀子(原節子)が父をきづかう、これもやさしく、熱い気持ち。 そのふたつが絡み合い織りなすストーリー。 映画のなかで起きる大きなできごとはひとつぐらい。 娘を嫁がせるために父がうつ芝居(一世一代のうそ、なのかもしれない)。そして娘は嫁ぐ決心をする、それに尽きる。 能(観世流 杜若、恋之舞)を父娘で見ているうちに、父の知人の女性が別の...
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レビュー
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小津的世界観の普遍性 Date:2010-03-04 おすすめ度 ![]() 昭和24年といえば、敗戦からわずか4年しか経っていない。それにも関わらず、なんと品良く、きちんと暮らしているのかと愕然としました。美しく清純な原節子、友達役のモダンな月岡夢路(晩年も綺麗だったけど若い時はさらに綺麗)「お貰いになるの?」とか、「〜幸せになってみせますわ」などのセリフが現代では死語に等しいので驚きとともに、これは当時の日本人の習慣、気質を知る貴重な資料でもあります。 ストーリーは、父と婚期を逃がした娘を嫁がせる小津的世界観の十八番。 有名な能のシーンでの紀子(原節子)の表情の解釈は、色々言われてますがファザーコンプレックスのそれと感じました。結婚式から帰ってきた父(笠智衆)のあの何ともいえない寂しさ。小津作品の普遍性(テーマ)は、家族の愛情と孤独。最後は誰でも孤独(ひとり)になるんだよという無常観にあると思います。それが世界的にも評価される由縁だと。 |
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美しい国、日本 Date:2009-11-16 おすすめ度 ![]() 小津安二郎「紀子三部作」の1作目。嫁ぎ遅れの娘(原節子)とその娘を心配する父(笠智衆)の交流を親密に描いた本作品は、“近親相姦一歩手前のあぶない映画”のような評価のされ方をしている。これが普通のホームドラマならば、自分がお嫁に行った後一人残される父親とそれを心配する娘の間に、亡くなった母親の回想シーンなどワンクッション入れたりするものだが、母親はおろか紀子が結婚するお見合い相手も、小津は一切登場させていない。 後妻をもらった叔父さんを「汚らしい」と言ったり、「(お嫁に)行っちゃえばいいのよ」と結婚を促す友人に怒りとも思える感情を爆発させる紀子。しかも、お見合いを勧める父親には、「私このままがいいの。お父さんとこのまま一緒が一番楽しいのよ」なんて台詞を言わせるし、有名な狂言観劇シーンで後妻候補を盗み見する原節子の視線に明らかな殺意がこもっている。そんなこんなで、こりゃ度のすぎるファザコン娘の話なんじゃないかと観客(特に外国人)は想像せざるをえないのだ。 結婚前に訪れた京都の宿で一つの部屋に布団を並べて父と娘が眠るなんて行為も、当時の習慣からすればある意味“異常”であり、論争まで引き起こしたという“壺”にいたっては、紀子の性倒錯的欲求不満のシンボルなどと揶揄されてもいたしかたない演出を、あえて小津は選択している。笠智衆が「泣けませんなぁ」と断ったラストで、もしも周吉が監督の指示どおり号泣していれば、「やっぱり、あんたもそうだったの」と納得して終りなのである。 前年に東京裁判があったばかりの敗戦後間もない頃に発表されたこの映画には、GHQ占領下であることを全く感じさせない日本の美しい原風景がおさめられているが、紀子が頑なに守ろうとした(近親相姦的とも思える)純潔と重なってみえなくもない。だとすればこの映画、占領下政策によってアメリカに次々と“股を開いていく日本”に汚らわしさを感じ、<美しい国、日本>の復権を試みた小津のささやかな抵抗とみることはできまいか。 |
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怪獣映画より面白いな!(^^)! Date:2009-07-16 おすすめ度 ![]() こんな父娘が、いて こんな会話してたら、怪物君だ。演出さんも役者さんも 異常ですよ。怖い怖い映画です。Cinema Scapeがとっても言い タイ放題でためになりますなぁ。http://cinema.intercritique.com/movie.cgi?mid=1766 |
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萌えアニメにリライトできる Date:2009-01-04 おすすめ度 ![]() 父と娘の家庭。 父は娘が(嫁に)行き送れることを心配しているが、娘はこれからもずっと父と一緒にいたい。 それどころか、潔癖症で、妻を亡くした男性が再婚することを「不潔」とすら思っている。 「私は結婚なんかせず、ずっとお父さんと一緒にいたいんです。」 この設定だけで、「今の萌えアニメにリライトできるんじゃね?」と、アホなことを思ってしまう。 この映画は、その後の日本のホームドラマの一種の教科書のようなものになりました。 この作品に限らず、小津監督の映画は、半世紀前の日本と日本人のサンプリング、記録のようなものだと思う。 資料性すら感じてしまう。 その他、 ・「壺のカット論争」については、蓮實重彦の意見に賛成です。 ・ラストシーンは、笠智衆が唯一、小津監督の演出に反対したのだそうです。曰く、「明治生まれの男は、簡単に泣いたりはしない」 ・昭和24年(1949年)の鎌倉、北鎌倉、江ノ島近辺が見られます。松竹の撮影所が現在の大船の某マンション群がある場所にあったためなどからです。 ・米軍占領下の日本なので、そこら辺も伺えるシーンがあります。 |
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理屈をこねず、原節子の輝きを味わいましょう Date:2008-06-08 おすすめ度 ![]() 仲の良い父と年頃の娘が迎える縁談話を扱ったストーリー。ジェンダー批評の視点を取らずとも、ヒロインがあまりに父親思いの清楚な娘であるところが、限りなく男目線の映画ではある。(ただし、父離れできない娘に対する父親の優しさが、そのような薄っぺらな批評をかなりの割合で帳消しにしてくれるのが救い。) そして、この脚本を支えるべくその魅力が全面的にフィーチャーされている原節子は、モノクロ映画ながら輝くばかりに美しい。和装&洋装のギャップ、酒の相伴シーンでのオヤジ殺し、海辺の自転車デートでの爽やかな色気、等など、彼女の魅力に完全にオンブした構成になっている。が、それで良い(笑)。 なお、父娘の感情の機微を過剰に読み取ろうとしたポストモダン批評の象徴的事例として、終盤の京都旅行のシーンで現れる「壷のシルエット」を巡った論争がある。(詳細は日本版wikiを参照。)色いろな解釈が述べられてきたシーンだが、そこに精神的な性的関係を読み取ろうとする解釈も結構行われている。が、やはり普通に余情を盛り上げる1風景カットとしてみるのが自然だと思う。 80年代のポストモダン映画批評が無いと小津シネマの再発見など無かったことは確かだが、どうも偏愛の果てに妙ちきりんな議論にこの映画は晒されている気がする。大根スレスレな老け芝居を見せる笠智衆演じる父親のように、素直に原節子の魅力を愛でながらストーリーのやるせなさを味わえれば、それで十分良いと思うのだけど。。 星が1つ足りない理由は、僕が考える小津シネマの魅力は、ほのぼのしたヒューマニズムと冷徹な社会派リアリズムのバランスにあるのだが、この作品では後者の要素が無い。だから興業的に成功したということもあるのでしょうが、この点が個人的に減点対象でした。が、しみじみした良い映画だと思います。 |
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