夢野久作全集 決定版 全157作品 (インクナブラPD)

エディターレビュー
 本書は大正から昭和にかけてSF作家、探偵小説家、幻想文学作家として人気のあった夢野久作の代表作を収録した電子書籍の決定版です。収録作品は全一五七作品となります。収録した作品は全十一巻からなるちくま文庫版の『夢野久作全集』に準拠して並べています。ちくま文庫版に収録されていない作品は第十二巻にまとめています。第十二巻ではわかる限り発表年代順に掲載しています。

●青空文庫にない「犬神博士」「氷の涯」「童貞」を収録
 本書では 日本探偵小説三大奇書の一つに数えられる『ドグラ・マグラ』は当然のことして、現時点で青空文庫に収録されていない「犬神博士」「氷の涯」「童貞」もテキスト化して掲載しました。
 「犬神博士」は『福岡日々新聞』に連載された長編です。犬神博士が幼少の頃、旅芸人としてさすらって筑豊の石炭を巡る利権闘争に巻き込まれていくというものです。夢野久作の父杉山茂丸や頭山満の壮年期時代の福岡を背景に描かれたものですが、途中で打ち切られた作品です。第11巻の「挿絵と闘った話」に少し触れられています。
 「氷の涯」は大正九年の哈爾賓《ハルピン》を舞台にしたエキゾチックなストーリーです。哈爾賓は明治四二年に伊藤博文が暗殺された場所ですが、緯度でいうと北海道の最北端あたりになります。哈爾賓から松花江伝いにハバロフスクを経てウラジオストックまでの逃避行が語られます。ロシア革命直後の中国東北部の様子がありありと活写される名作です。
 「童貞」は全てを犠牲にして天才ピアニストとして名声を得た一人の青年が、死の病にかかり、死の間際に病院を抜け出して町を彷徨い、艶かしい美少女に出会い心をときめかせる話です。しかしその美少女の正体は…。
 いずれも夢野久作ファンであれば必ず目を通しておきたい作品です。

●iPhone用目次を追加
 Kindle用電子書籍の目次は二種類あります。一つはKindle PaperwhiteやKindle FireなどのKindleデバイスで表示される目次です。もう一つはepub3で決められた目次で、iPhoneで目次をメニューに表示させるにはepub3の目次が必要です。本書ではそれぞれの作品にアクセスしやすくするために、iPhoneのメニューから目次ページにアクセスできるようにしています。iPhoneやAndroidのKindleアプリをお使いの場合、メニューから簡単に目次ページにアクセスできます。

●JIS X2013に含まれない漢字はすべて画像化
 本文中にはJIS X2013以外の漢字やユニコードにも存在しない漢字があります。それらの漢字は明朝体で作字して画像として埋め込んでいます。ユニコードに含まれていてもJIS X2013には用意されていない字形(主にJIS X2013にはなくて中国漢字に含まれる字形)もありますが、それらの漢字はiPhoneで表示すると、強制的にゴシック体に置き換えられてしまいます。本書ではそれらも含めてJIS X2013に存在しない漢字はすべて明朝体の画像として表示されますので、明朝体のままお読みいただけます。

●主要作品を発表年代順のリストを掲載
 本書の冒頭に国枝史郎の代表作を発表年代順に並べたものを作成しました。作品名をタップするとタイトルページが開きます。代表作を発表順に読みたい場合にご利用ください。

一九一七年(大正 六年)
  三月「謡曲黒白談」を『白黒』に連載。( - 一九一八年二月)
一九二二年(大正十一年)
 十一月「白髪小僧」を誠文堂より刊行。
一九二四年(大正十三年)
  十月「街頭から見た新東京の裏面」を『九州日報』に連載。( - 十二月)
一九二五年(大正十四年)
  一月「東京人の堕落時代」を『九州日報』に連載。( - 五月)
  五月「黒白ストーリー」『白黒』に発表。
一九二六年(大正十五年)
  五月「あやかしの鼓」が博文館の懸賞小説で二等に入選。
一九二七年(昭和 二年)
  七月「いなか、の、じけん」の初回を『探偵趣味』に発表。
  八月「うた(猟奇歌)」の初回を『探偵趣味』に発表。
一九二八年(昭和 三年)
  十月「死後の恋」を『新青年』に発表。
  十月「瓶詰の地獄」を『猟奇』に発表。
一九二九年(昭和 四年)
  一月「押絵の奇蹟」を『新青年』に発表。
  四月「支那米の袋」を『新青年』に発表。
  七月「鉄槌行進曲(鉄鎚)」を『新青年』に発表。
  十月「空を飛ぶパラソル」を『新青年』に発表。
一九三〇年(昭和 五年)
  八月「童貞」を『新青年』に発表。
  九月「能とは何か」を『新青年』に発表。
一九三一年(昭和 六年)
  九月「犬神博士」を『福岡日々新聞』に連載。( - 一九三二年一月)
一九三二年(昭和 七年)
  四月「焦点を合せる」を『文学時代』に発表。
 十一月「キチガイ地獄」を『改造』に発表。
一九三三年(昭和 八年)
  一月「暗黒公使」を新潮社(新作探偵小説全集 全九巻)より刊行。
  一月「けむりを吐かぬ煙突」を『新青年』に発表。
  一月「縊死体」を『探偵クラブ』に発表。
  二月「氷の涯」を『新青年』に発表。
一九三四年(昭和 九年)
  二月「山羊髯編輯長」を『オール読物』に発表。
一九三五年(昭和 十年)
  一月「探偵小説の正体」を『ぷろふいる』に発表。
  一月「ドグラ・マグラ」をを松柏館書店より刊行。
  六月「超人鬚野博士」を『講談雑誌』に連載。( - 十一月)
  九月「二重心臓」を『オール読物』に発表。
  九月「父杉山茂丸を語る」を『文芸春秋』に発表。
一九三六年(昭和十一年)
  一月「人間レコード」を『現代』に発表。
  三月「人間腸詰」を『新青年』に発表。
  三月「悪魔祈祷書」『サンデー毎日』に発表。
  三月「少女地獄」を黒白書房より刊行。

●夢野久作全集 決定版 収録作品

・夢野久作全集㈠ 白髪小僧・キキリツツリ
白髪小僧/正夢/猿小僧/三つの眼鏡/青水仙、赤水仙/白椿/黒い頭/若返り薬/クチマネ/虫の生命/雪の塔/キキリツツリ/お菓子の大舞踏会/先生の眼玉に/雨ふり坊主/奇妙な遠眼鏡/オシャベリ姫/豚吉とヒョロ子/ルルとミミ

・夢野久作全集㈡ 街頭から見た新東京の裏面
街頭から見た新東京の裏面/東京人の堕落時代

・夢野久作全集㈢ 猟奇歌・押絵の奇蹟
猟奇歌/あやかしの鼓/押絵の奇蹟/童貞/鉄鎚/怪夢/ビルディング/縊死体/月蝕/微笑/人の顔/卵/夫人探索/奥様探偵術/霊感!/悪魔祈祷書/白菊/髪切虫/けむりを吐かぬ煙突/涙のアリバイ/黒白ストーリー

・夢野久作全集㈣ いなか、の、じけん
いなか、の、じけん/巡査辞職/笑う唖女/眼を開く/空を飛ぶパラソル/山羊髯編輯長/斜坑/骸骨の黒穂/女坑主/名君忠之

・夢野久作全集㈤ 犬神博士・超人鬚野博士
犬神博士/超人鬚野博士

・夢野久作全集㈥ 氷の涯・死後の恋
氷の涯/死後の恋/支那米の袋/爆弾太平記/焦点を合せる/幽霊と推進機/難船小僧/人間腸詰/ココナットの実/戦場

・夢野久作全集㈦ 暗黒公使
暗黒公使

・夢野久作全集㈧ 瓶詰地獄・少女地獄
瓶詰地獄/一足お先に/狂人は笑う/キチガイ地獄/復讐/冗談に殺す/木魂/少女地獄

・夢野久作全集㈨ ドグラ・マグラ
ドグラ・マグラ

・夢野久作全集㈩ 二重心臓・人間レコード
老巡査/衝突心理/無系統虎列刺〈コレラ〉/近眼芸妓〈げいしゃ〉と迷宮事件/S岬西洋婦人絞殺事件/二重心臓/継子/人間レコード/芝居狂冒険/冥土行進曲/オンチ/斬られたさに/白くれない/名娼満月

・夢野久作全集(十一) エッセイ・評論・伝記
所感/ナンセンス/江戸川乱歩氏に対する私の感想/涙香・ポー・それから/挿絵と闘った話/路傍の木乃伊/書けない探偵小説/探偵小説の正体/スランプ/探偵小説の真使命/甲賀三郎氏に答う/私の好きな読みもの/創作人物の名前について/探偵小説漫想/近世快人伝/父杉山茂丸を語る/梅津只円翁伝/謡曲黒白談/能とは何か/鼻の表現

・夢野久作全集(十二) 童話・エッセイ・その他
寝ぼけ/キューピー/犬のいたずら/章魚の足/どろぼう猫/働く町/きのこ会議/キャラメルと飴玉/犬の王様/ドン/犬と人形/豚と猪/ペンとインキ/蛇と蛙/森の神/人形と狼/約束/二つの鞄/二人の男と荷車曳き/医者と病人/懐中時計/鷹とひらめ/狸と与太郎/鉛筆のシン/電信柱と黒雲/梅のにおい/がちゃがちゃ/ツクツク法師/虻のおれい/鵙征伐/お金とピストル/線路/ざんげの塔/「生活」+「戦争」+「競技」÷0=能/怪青年モセイ/実さんの精神分析/殺人迷路(連作探偵小説第七回)/塵/呑仙士/お茶の湯満腹談/道成寺不見記/ビール会社征伐/古い日記の中から/良心・第一義/雪子さんの泥棒よけ/恐ろしい東京/狂歌師赤猪口兵衛──博多名物非人探偵/能ぎらい/能好き/能という名前
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