長谷川路可: フレスコ、モザイクのパイオニア

価格: (税込)
サンパウロ
ページ:147頁
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旧国立競技場のメインスタンド正面の一対のモザイク壁画《勝利》(野見宿禰像)と《栄光》(ギリシャの女神)を制作した長谷川路可(1897-1967年)。松岡映丘のもと日本画を学び、フレスコ、モザイク、ステンドグラス……など多方面で才能を開かせ、信仰と芸術に生きた路可(ルカ)の没後50年を記念して、その生涯と作品をたどる一冊。サンパウロが心を込めてお届けする企画だ。

①代表作と言えるイタリア・チヴィタヴェッキアの教会壁画(1960年に第8回菊池寛賞を受賞)、②よく知られている旧国立競技場のモザイク壁画で新国立競技場に移設予定の《勝利》(野見宿禰像)と《栄光》(ギリシャの女神)、③遺作となった日本二十六聖人記念館のフレスコ壁画《長崎への道》についてはそれぞれ、路可本人の貴重な証言、壁画制作当時のF・M(フレスコ・モザイク)会員の記録、近年修復時の新発見を紹介している。とくに、この「路可本人の貴重な証言」とは、チヴィタヴェッキアの壁画制作当時に路可自身が語ったもので、イタリア語原稿であった。これを特別原稿「長谷川路可の自画像」として日本語で紹介しているのでご注目いただきたい。またフレスコとモザイクを日本の若者に教え広めたパイオニアとしての路可の活動と、壁画作品の現況や保存活動を取り上げているところも、本書のポイントと言える。

また美術評論家、壁画制作者、研究者、学芸員、修復家、ご家族など、各方面の8名の方々がご寄稿くださった。内容は、路可の画家としての特徴について、路可のもとで壁画制作をした武蔵野美術学校(武蔵野美術大学)のF・M(フレスコ・モザイク)集団について、近年行われたフレスコ壁画の修復について、路可の西域壁画模写とその修復について、また路可の人脈・人がらについてなど。ご執筆くださった方々は、ローマ日本文化会館元館長で東京都庭園美術館名誉館長の井関正昭氏、路可の弟子で壁画制作者の原田恭子氏、路可による日本初のフレスコ画を所蔵する大和学園聖セシリアの理事長・伊東公子先生、泉屋博古館分館長の野地耕一郎氏、路可の西域壁画模写を修復された東京藝術大学の荒井経先生、尾張徳川家との関係で徳川黎明会学芸員の香山里絵氏、日本二十六聖人記念館の《長崎への道》を修復された東京文化財研究所・壁画保存修復士の前川佳文氏、長谷川路可記念会代表の長谷川路夫氏だ。

本書は、これまでに語られてきた言説をもとに長谷川路可を紹介しているが、路可は若い時から様々なエピソードに事欠かない人物だ。明るく楽しい話、あっと驚かせる話、敬虔な話、俗っぽい話、冗談……、それらの一つ一つが本当の本当のことなのか、本当のような嘘なのか、嘘のような本当なのか、それは謎めいて私たちを引き込む。巻末の文献リストをご参考になり、壁画、ファッション、旅行、料理などについての、路可本人の文章をぜひお読みいただきたい。いま目の前で語りかけているような良い調子で、読者を楽しませてくれるはずだ。路可は、東京美術学校(東京藝術大学美術学部)の日本画科を卒業後、世界に出て、国際的に評価される重要な業績を残した。才能にあふれ、人々に愛された長谷川路可を、いま私たちはもっと知りたくなる。


目次
長谷川路可の人生と作品
(1 絵の道で宣教する 2 日本画の人 3 壁画への道 4 チヴィタヴェッキアでの大仕事 5 フレスコ、モザイクのパイオニア 6 旧国立競技場のモザイク画 7 現代に生きる路可 8 愛される人物、路可)


特別原稿
・長谷川路可の自画像  長谷川路可

ご寄稿
・線の画家、路可  井関正昭
・路可とフレスコ  原田恭子
 路可とF・Mの共同制作
・聖セシリアと長谷川路可  伊東公子
・長谷川路可の日本画  野地耕一郎
・長谷川路可の西域絵画模写について  荒井経
・徳川義親と長谷川路可  香山里絵
・フレスコ画《長崎への道》の保存修復  前川佳文
・父の思い出  長谷川路夫


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