続いのちささげて -戦中学徒・遺詠遺文抄: 国文研叢書 No.20

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ページ:419頁
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【はしがき(一部)】

『続いのちささげて』と題したこの本は、一年前に出版した前編の『いのちささげて』の続編であり、前編と同じく、――戦中学徒・遺詠遺文抄――といふ副題を添へました。“前編”に収録し得なかったものを、ここに“続編”としてまとめたものです。
 内容としては、大東亜戦争における“戦歿学徒”の遺詠遺文のほかに、この諸君が出征する以前に、この諸君と一心同体となって活躍した人たち、すなはち、当時全国の旧制高等学校、旧制専門学校、ならびに官公私立の旧制大学に在学中、それらの学内にはびこつてゐた“日本の精神文化に対する軽蔑の言辞”に対して、また、それを不問に附してゐた当時の“学風”に対して、学生の身を以て身を挺して戦ひ続け、つひに不幸にも病魔に斃れていつた諸君についても、その遺詠遺文をあはせてこゝに収録いたしました。また、これらの諸君の先輩格としてすでに学窓を出て社会人として活躍してゐた数名の戦歿・病歿者も加へてあります。そのため、戦歿学徒のものが主ではありますが、あへて“戦歿学徒”とはせず“戦中学徒”の名を本書の副題に冠したわけであります。
 学業半ばにして軍籍に投じ、苛烈な戦局にあつて壮烈に戦ひ、その魂塊を祖国日本の悠久の生命に投じた人々と、死せる場所は戦場とかゝはりなくとも、尊い生命を燃焼しつゞけて学園の正常化に身を挺した人々との間に、深い友情の絆が結ばれてゐることを確認しつゝ編集されたのが、“前・後二編の本書”であります。「前編」には、戦歿七名、自刃一名、病歿四名、計十二名(数へ年、十七歳から二十九歳まで)のものを収録したのに続き、この「続編」には、戦歿二十九名、病歿五名、計三十四名(数へ年、二十一歳から三十六歳まで)のものを収録いたしました。これら二書に収録した合計四十六名の青年の間に通ひ合つてゐた“祖国日本の伝統への随順と没入”の精神は、必ずや読者各位のお心に深い感銘を与へずにはおかぬものがあるであらうと信じます。

 この前・後二編の「遺詠遺文抄」の編集は、これらの諸君とともにその時代に学徒であった仲間たちによって、戦後直ちに企画され、その後、昭和三十一年に現在の「国民文化研究会」が生れて、鹿児島県・霧島で「第一回学生青年合同合宿教室」を開いたその時から、さらに一層の熱意をもつて取り組み出しました。しかし、いくたびかの挫折をのりこえ、やうやくにしてこゝに上梓できたものであります。三十年といふ月日は、それは過ぎて見ればアッといふ間のやうでもありますが、さき逝きし友らの在りましゝ日々のことは、年月を経るに従つて鮮明に甦つてまゐり、委員諸氏を中核にして多くの同人の“果たさずにはやまぬ”追憶の一心が凝つて、こゝに至り得たのであります。
 住所もわからぬご遺族を探し求めて遠く訪ねる作業も、各委員諸氏が、多忙な生業・勤務生活の合間を縫つてのことでありました。さき逝きし友らへの敬仰と思慕の情なくしては、到底なしうることではなかつたと思ひます。逝きし友らの「死にやう」「生き方」が、本書を通じて、いまの若い人々に通ふものがありとするならば、在天の霊もいかばかり喜びたまふことかと思はれます。かくあれかし、と祈念しつゝ、この「続編」の「はしがき」の拙文とさせていたゞきました。どうか「前編」と合せてお読みくださるやう祈念いたします。

【目次】

はしがき
ここに登場する学徒たちが、在学中に所属してゐたグループとそのグループ活動について
凡例
目次

一 茶谷武 (戦死・二十四歳)
二 清水重夫 (戦死・二十八歳)
三 河崎由雄 (戦死・二十三歳)
四 手塚顕一 (戦死・二十六歳)
五 松浦秀宏 (戦死・二十五歳)
六 立元洋 (戦病死・二十一歳)
七 木野内為博 (戦死・三十歳)
八 奥村克郎 (戦死・二十四歳)
九 斎藤高明 (戦死・二十六歳)
一〇 桜林洋司 (戦死・二十六歳)
一一 秦音次郎 (戦死・二十四歳)
一二 長内良平 (戦死・二十二歳)
一三 一条浩通 (戦死・二十七歳)
一四 寺尾尚之 (戦死・二十三歳)
一五 吉野圭一 (戦死・二十五歳)
一六 官下宗夫 (戦死・二十三歳)
一七 辻本幸一 (戦死・二十四歳)
一八 松井英也 (戦死・二十四歳)
一九 寺村義季 (戦死・二十五歳)
二〇 高木三郎 (戦病死・二十四歳)
二一 平塚新 (戦病死・二十五歳)
二二 渡辺二郎 (戦病死・二十五歳)
二三 高瀬伸一 (戦死・二十二歳)
二四 松吉正資 (戦死・二十三歳)
二五 野中孝夫 (病歿・二十一歳)
二六 百武尚美 (病歿・二十一歳)
二七 工藤昌男 (病歿・二十四歳)
二八 末安悟郎 (病歿・二十三歳)
二九 近藤正人 (戦死・三十歳)
三〇 吉田昇 (戦死・三十四歳)
三一 安武弘益 (病歿・三十三歳)
三二 戎真男 (戦死・三十四歳)
三三 中山幸 (戦死・三十六歳)
三四 若野秀穂 (戦病死・三十四歳)

この冊子の遺歌・遺文にしばしば見られる「田所広泰さん!」といふ先輩について
補記
あとがき
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